葉っぱの坑夫

2000年4月からウェブ上で、翻訳作品を中心にさまざまなコンテンツを公開してきました。…

葉っぱの坑夫

2000年4月からウェブ上で、翻訳作品を中心にさまざまなコンテンツを公開してきました。内容としては移民文学、野生動物観察、音楽家インタビュー、外国語で書かれたハイクなどです。コンテンツの中から紙の本や電子書籍も作っています。 https://www.happano.org

マガジン

  • 【新世代作家が描く小説のいま】From Africa!!!

    葉っぱの坑夫が2024年5月末から連載する短編小説集、アフリカの新世代作家によるコンピレーションです。ナイジェリア、ガーナ、ウガンダ、南アフリカ、カメルーン、ザンビア、ケニアの英語作品を翻訳して紹介します。チアヌ・アチェベの孫世代、子供世代はいま何を、どう書いているか、どうぞお楽しみください。Photo by James Cridland (CC BY 2.0), Accra, Ghana

  • 最近思ったこと、考えたこと

    ブログサイトで書いてきたジャーナルを、2020年6月からnoteで発表することにしました。テーマはその時々関心をもったこと、もう何年も続けています。葉っぱの坑夫の出版活動と直接的には繋がっていないけれど、ここで考え調べながら書いたことが、あとで役に立って、企画が生まれることもあります。トップの画像:Graham Knott(CC BY-NC 2.0)

  • 葉っぱの坑夫 Updates-J

    2000年4月スタートの非営利ウェブパブリッシャー&翻訳プロジェクト、葉っぱの坑夫の更新情報を掲載します。ほぼ月に1回、更新しています。

  • オオカミと狼伝説(ウィリアム・J・ロング)

    アメリカ北東部の荒野を長年にわたって旅した作家が、『赤ずきん』にはじまる「オオカミの恐怖話」のウソを解き明かす。 2024年3月中旬公開予定 【その1】 ミネソタの森で 【その2】 アラスカの鉱山技師 【その3】 イタリアの村にて 【その4】 雪嵐の森で

  • 作曲する女たち:19世紀生まれ、20世紀生まれ

    女性 X 作曲をテーマに、「小評伝」「インタビュー」二つの形式で、19世紀生まれ、20世紀生まれそれぞれのアメリカの作曲家のキャリアの軌跡と思想を一人ずつ追っていきます。19世紀、20世紀、それぞれ5人ずつ計10人を紹介します。 2023年10月17日スタート。

最近の記事

癒合:Fusion ハワード・メブ・マキシマス (カメルーン)

COMPILATION of AFRICAN SHORT STORIES アフリカ短編小説集 もくじ 今日、キミはきみになり、ボクはぼくになる。  頭に浮かぶのは、わたしたちは奇異で、人騒がせで、読み書きがあまりできない人(わたしの父のように、そしてここに暮らすみんなのように)の目には、異種の存在であったときのことだ。わたしたちは複数であり、異常に接近していて、1人、2人とも数えられるし、1人の中に2人とも言えた。統計では、4万9000人に一人、10万9000人の出生に対

    • ルチャン・バン&マット・マネリ『トランシルバニアン舞曲』から「Poor is my Heart」がプレリリース(ECM)

      先日プレビュー記事を書いたニューアルバム(8月30日リリース)の第1曲目「Poor is my Heart」がプレリリースされました。 Title photo by Dani Amariei Poor is my Heart:トランシルバニア舞曲より Spotify Apple Music

      • 民謡は世界の音楽をつなぐ「結合組織」。バルトークの発見に新たな視点! 『トランシルバニア舞曲』 8月30日リリース(ECM)

        『トランシルバニア舞曲』(Transylvanian Dance)は、100年前にハンガリーの作曲家、ベーラ・バルトーク(1881〜1945年)が収集した民謡や舞曲のtranscription(採録・採譜・編曲)を出発点としています。 2022年にティミショアラ(ルーマニア西部トランシルバニア地方の都市 )でライヴ録音されたもので、1909年から1917年にかけてトランシルバニアでバルトークが収集した民謡を、ルチャン(ルシアン)・バンとマット・マネリが再解釈しています。 6

        • 言語の可能性を押し広げるのが文学の役割(by 李琴美)であるとき、翻訳は何をすれば? 言葉のUpdateについて

          いま、李琴美さんの『透明な膜を隔てながら』を読んでいます。日本語を学ぶようになった中学生時代の話、日本語で書く小説のこと、台湾から日本への移住、台湾での学校時代の出来事、さらには自身の性的嗜好(指向)と作品への反映などを綴ったエッセイ集で、興味深く読んでいます。 李琴美さんはあるとき日本語を学ぶことを思いつき、コミックやアニメ、JPOPなども利用しつつ、大学で学ぶようになるまではほぼ独力で言語を獲得していった人です。こんな風に学んでいったら、そりゃ身につくわ、と思わせられる

        癒合:Fusion ハワード・メブ・マキシマス (カメルーン)

        • ルチャン・バン&マット・マネリ『トランシルバニアン舞曲』から「Poor is my Heart」がプレリリース(ECM)

        • 民謡は世界の音楽をつなぐ「結合組織」。バルトークの発見に新たな視点! 『トランシルバニア舞曲』 8月30日リリース(ECM)

        • 言語の可能性を押し広げるのが文学の役割(by 李琴美)であるとき、翻訳は何をすれば? 言葉のUpdateについて

        マガジン

        • 【新世代作家が描く小説のいま】From Africa!!!
          5本
        • 最近思ったこと、考えたこと
          116本
        • 葉っぱの坑夫 Updates-J
          56本
        • オオカミと狼伝説(ウィリアム・J・ロング)
          4本
        • 作曲する女たち:19世紀生まれ、20世紀生まれ
          12本
        • シバの女王
          11本

        記事

          H a p p a n o U p d a t e s - No.263

          □【新世代作家が描く小説のいま】From Africa!!! アフリカ短編小説集 もくじ  巻頭エッセイ(ニイ・パークス) 2. 織る:Weaving イヴォンヌ・クシーマ(ウガンダ) 正直いうと、この小説を訳しはじめた最初の数分間、いらだち&うんざり感に襲われました。ティーンエイジャーの女の子の、いつ果てるとも知れないタランタランとした、ときに意味不明の、そして脈絡なくあっちへこっちへと飛びまくるひとりごとの乱打。 が、途中からこんな面白い翻訳作業はあるか、というくらい

          H a p p a n o U p d a t e s - No.263

          織る:Weaving イヴォンヌ・クシーマ(ウガンダ)

          COMPILATION of AFRICAN SHORT STORIES アフリカ短編小説集 もくじ 「パー!」 婆(バア)の杖があたしの手指の上に降ってくる、まただ。1本は大人になったとき、もし婆の杖にやられてなかったら、結婚指輪(キラキラしたダイアモンドのはず、血に染まったやつじゃない。姉さんのジェシカは、アフリカのどこかの村でとれる血に染まったダイアモンドのことを話してた。あたしたちの村じゃないよ。聞いたことある?)をはめることになる指の上に、そしてもう1本は、あたし

          織る:Weaving イヴォンヌ・クシーマ(ウガンダ)

          日本の小説が英語小説になるとき 『穴』『工場』

          前回、英文テキストの段落はなぜあんなに長いのか、について書いたとき、最後のところで日本の小説にも段落の長いものがあった、と書きました。小山田浩子さんの小説『穴』だったり『工場』だったりで、その流れで各小説の詳しい解説が英語版ウィキペディアの項目にあることを発見しました。 これが、ちょっと読んでみると、えっそういう小説だったの?というような解説で、改めてすでに読んでいた『穴』をパラパラと読み返し、『工場』の方はKindle版をサンプルで試し読みしたのちに購入。 穴:The

          日本の小説が英語小説になるとき 『穴』『工場』

          英語 → 日本語で起きる様々な不具合。英文はなぜ、あんなに段落が長いのか?!

          アフリカ出自・在住の作家たちの作品を翻訳していて、英語のテキストと日本語のテキストの違いについて、改めて注目しています。 ガーナの作家ニイ・パークスの巻頭エッセイを訳していたとき、パラグラフ(段落)の取り方の(日本語との)違いに気づいたのがきっかけでした。 と、ここまで書いて、上の二つの段落は英語のテキストであれば、間違いなく一つの段落に収まるはず、と。しかしわたしは二つに分けました。一つにはネットの記事は、(日本では)なるべく段落を短くすることが推奨されているから(no

          英語 → 日本語で起きる様々な不具合。英文はなぜ、あんなに段落が長いのか?!

          H a p p a n o U p d a t e s - No.262

          □【新世代作家が描く小説のいま】From Africa!!! 0. スミマセン(巻頭エッセイ) ニイ・パークス(ガーナ/イギリス) 1. 娘たちよ、われらの手で エケミニ・ピウス(ナイジェリア) 日本とアフリカ、実はとても関係が深いことが今回わかりました。少なくとも、アフリカ側から見たときは。 日本から見ると、地理的に遠いし、心理的にも他の地域より(南米や中東と比べても)アフリカは距離がある気がしていました。でもアフリカの人たちは、1970年代以降、日本の製品や文化に日常

          H a p p a n o U p d a t e s - No.262

          娘たちよ、われらの手で エケミニ・ピウス(ナイジェリア)

          COMPILATION of AFRICAN SHORT STORIES アフリカ短編小説集 もくじ  巻頭エッセイ(ニイ・パークス) I. エメがパニックに陥ったのは、娘のアニエマがあと5ヶ月で18歳を迎えるというときだった。娘は明らかに女へと変化し始めていた。14歳で生理がはじまり、定規のように固くまっすぐだった体に丸みが増し、胸や尻が膨らんでカーブを描くようになった。いまでは自分が、一人前の女になりつつあるのを十分自覚してるような歩きぶりである。でもエメは不満だっ

          娘たちよ、われらの手で エケミニ・ピウス(ナイジェリア)

          スミマセン (巻頭エッセイ) ニイ・パークス(ガーナ)

          COMPILATION of AFRICAN SHORT STORIES アフリカ短編小説集 もくじ ++++ わたしの育ったアクラでは、身のまわりに日本のあれやこれやがたくさん転がっていた。それはわたしたちの生活の一部となっていた。奇妙なことに、わたしたちはこの繋がりようにそれほど気をとめず、ごく当たり前のことと受けとめていた。 (アクラはガーナの首都) 北カネシエにある学校からの帰り道、よく友だちのエムの家に寄って、母親秘蔵の第二次世界大戦もののコミックを借りて読

          スミマセン (巻頭エッセイ) ニイ・パークス(ガーナ)

          もくじ【新世代作家が描く小説のいま】From Africa!!!

          アフリカ新世代作家による短編小説コンピレーション。ナイジェリア、ガーナ、ウガンダ、南アフリカ、カメルーン、ザンビア、ケニアの作家の短編小説を毎月1作品ずつ翻訳します。チアヌ・アチェベの孫世代、子供世代はいま何を、どう書いているか、どうぞお楽しみください。 以下は2024年6月現在の仮もくじ、仮タイトルです。

          もくじ【新世代作家が描く小説のいま】From Africa!!!

          まもなくnoteでスタート! 【新世代作家が描く小説のいま】 From Africa!!! 第1回作品は、ナイジェリアから

          タイトル写真はアクラ(ガーナ)の空撮写真、手前はわたしのスマホの世界時計。ここのところ、アフリカの作家たちとメール交換をしているので、それぞれの居住都市の時刻を登録しています。メールを書いてからこれを見て、あ、もうすぐ起き出すな、といった具合。 Photo (landscape) by Livvy Adjei, Accra, Ghana(CC BY-NC 2.0) アフリカは広いので東のケニアと西のガーナでは、3時間の時差があります。またオーストラリアに留学中という作家もい

          まもなくnoteでスタート! 【新世代作家が描く小説のいま】 From Africa!!! 第1回作品は、ナイジェリアから

          ニペルナーティ出版後日談(お孫さんは人違い? 著者の生家、海外アマゾンの販売)

          4月は二つの出版物があり、それぞれ無事発売。今は5月末にnote上でスタート予定の、アフリカの新世代作家の小説集の準備をしています。その話は次回にまわすとして、この間に『トーマス・ニペルナーティ 7つの旅』のことでいろいろ面白いことが起きたので、それについて書きます。 *タイトル写真:ニーペルナーティの著者アウグス・ガイリ(1891〜1960) 著者の孫娘との出会い ニペルナーティの作者のアウグス・ガイリ(エストニア人)は、1960年に死んでおり、日本ではすでにパブリック

          ニペルナーティ出版後日談(お孫さんは人違い? 著者の生家、海外アマゾンの販売)

          H a p p a n o U p d a t e s - No.261

          □ オオカミと狼伝説 ウィリアム・J・ロング著 【その3】イタリアの村にて、【その4】雪嵐の森でを更新しました。 野生のオオカミとそれをめぐる嘘と本当が入り混じる伝説めいた話、オオカミと出会い、恐怖に陥った人間の想像力たくましい体験談。著者のロングはユーモアをまじえて、伝えられた逸話と本来のオオカミの姿の違いを指摘します。通説というのはどこにでも存在し、人々は特に深く考えることなく、それを信じてしまうことがあります。それは自然や動植物に関してだけでなく、普段の生活の中、ある

          H a p p a n o U p d a t e s - No.261

          オオカミと狼伝説 【その4】 雪嵐の森で

          文:ウィリアム・J・ロング(1867~1952年、アメリカ北東部で野生動物を観察して、多くの作品を書いた作家) 1頭のオスのオオカミを追っていたときのこと、非常に体の大きなやつで、獲物をたらふく食べて動きが鈍かった。わたしは森から凍った湖に出てきたところで、オオカミは100メートルほど先の岸辺のそばをブラブラ歩いていた。オオカミは氷の岩棚の下を、人間への警戒心もなく通り過ぎるところだった。パンッ! オオカミの足元の氷面に銃弾を飛ばしたのはそのときだった。 距離があったしち

          オオカミと狼伝説 【その4】 雪嵐の森で