[エストニアの小説] 第7話 #4 お伽話(全10回・火金更新)
「きみはいい子だ」 そうニペルナーティが嬉しそうに言った。「だけどわたしがきみのところに来ることはないだろう。とはいえ、年老いた船乗りは海を越え陸を越えたずっと北の土地、地球の端っこギリギリのところできみを待っているだろう。一つの船がそこで沈んだ、ずっと北の土地だ。そして老いた船乗りを岸に打ち上げた。だけど船乗りはもう年老いていて、ふるいか何かみたいに顔がシワだらけだ。船乗りは苔と白樺で作った小屋に住んでいて、その頭上には星々とオーロラが輝いている。来る年も来る年もそこで暮