最近思ったこと、考えたこと

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カズオ・イシグロ「リベラルな考えを持つ人たち以外の声も取り上げていかなければ」

イギリスの作家、カズオ・イシグロが最近『クララとお日さま』という小説を発表したことで、さまざまなメディアでインタビューを受けています。いくつかのインタビューを読んで、ショックを受けたことがあったので、それについて考えてみたいと思います。

タイトルで引用したのは、以下のような話の中にあったもの。

 小説であれ、大衆向けのエンタメであれ、もっとオープンになってリベラルや進歩的な考えを持つ人たち以外

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東川賞、すごいな! 写真賞を探索する

1週間くらい迷ったあげく、4950円の写真集を買ってしまいました。写真集は一般に高額なので、特別高いというわけではないけれど、普通の書籍に比べるとやはり高いので、買うまでにだいぶ迷います。

今回買ったのは高橋健太郎さんという写真家の『A Red Hat』(2020年8月、赤々舎)。これは写真集としても本としても、ずっしりと心に残る素晴らしい作品集でした。買う前の期待を裏切らない、それ以上の、期待

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小説の背景:エストニア探検 by Street View

ヨーロッパには何度か行っていますが、エストニアには行ったことがありません。平均的な旅行者と同じように、中央・西ヨーロッパや南ヨーロッパが中心で、北欧や東ヨーロッパには足を踏み入れたことがないのです。だからこの3月からエストニアの作家の小説を日本語にして、葉っぱの坑夫で出版することになって初めて、どんな地域なのか、その文化や風景を探索することになりました。

第1回目は、『沈黙の16年』という小説で

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クローズドなら何を言ってもいいのかなぁ?

少し前に話題になっていた「オリンピッグ」問題、いろいろな言い方がされているみたいだけれど、わたしが東洋経済オンラインの2つの記事を読んで気になったのは次の2つのこと。これはコラムニスト木村隆志という人と、コミュニケーション・ストラテジストという肩書きの岡本純子という人、二人の寄稿者が、それぞれの記事でほぼ同じような方向性で問題点をあげていたことにかなり驚いてしまったからです。

メディアがこのよう

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読者は少数。エストニアは小さな国だから。

エストニアは人口たった100万人ちょっと。自分の読者はおそらく500人から1000人くらいだと思う。でも自分にとってこれは大変な数です。こうエストニアの作家、メヒス・ヘインサー(写真)は言います。さらに、ある作曲家の例を引いて、その人は客席数17のホールを自分のために建てた、それが彼にとって適切な数だったから、と。

人口の多い国、そして商業が活発でその成果によって何事も計られる場所に住んでいると

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なぜ写真をとるのか(という間抜けな質問)

なぜ山に登るの か → そこに山があるから。なぜ写真をとるのか → 手にスマホがあるから。

写真、日常的に撮りますよね。特別なことがなくても、おやつを食べたり、音楽を聞いたりするくらいの動機で、誰もが写真を撮っています、スマホで。そこにスマホがあるから撮る。

フィルムからデジカメに移行したとき以上に、電話端末で写真を撮るようになって、写真を撮るという行為が(その機会や回数も)すごく変わったなと

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外国人に日本の言葉を説明してわかったこと

日本の社会では「空気をよむ」ことが大切と言われているけれど、最近、アメリカの友人と話していて、「read the airってわかる?」と聞いてみました。ヒントをいくつか言ったところ、「read the room」っていう言い方が英語にもあるけどそれかな、と返されました。

彼によると、「read the room」というのは、話し手がそこにいる人々(聞き手や聴衆)がどういう人か、何を期待しているか

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料理は犯罪、、、刑務所の秘密レシピ

シンガポールのフードライターSheere Ngさんの『料理が犯罪だったとき(When Cooking was a Crime)』という本を新年早々に注文しました。1970年代、1980年代と、シンガポールの刑務所(及びドラッグ更生施設)内で行われていた、驚くべき秘密のクッキングのドキュメントです。(2020年11月、IN PLAIN WORDS 出版)

刑務所で料理ができるのか? もちろんできま

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食のサステナブルって?

「あなたという人間は、食べたものそのものです」(You are what you eat)という言い方が英語にはあります。何を食べたか、それが自分を構成しているという意味でしょうか。栄養や健康面、体をつくるという意味だけでなく、おそらく生き方とか知性、脳の働きにも関係しているということではないかと。

大昔の考えでは食の問題とは、栄養学上どうなのか、ということに集約されていたように思います。タンパ

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葉っぱの坑夫の本のつくり方

やっと、『オオカミの生き方』が発売になりました! ペーパーバック版につづいて、年明けにはKindle版も発売開始。野生に生き、森や荒野をかけめぐるオオカミとは、いったいどんな生きものなのか、著者のウィリアム・ロングが長年にわたり追ったドキュメントです。(まえがき:大竹英洋)
以下は、前回「新刊 & 12月の半額セール案内」のつづきです。

それから10年くらいたって、アメリカのアマゾンがKindl

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