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【勝訴】誹謗中傷者・ツイ廃伊東麻紀は16万5千円支払え

 伊東麻紀とかいう人がいてですね。埼玉県川越市在住の60代女性で、昔SF小説を何冊か出していたらしい。一応作家の肩書を持っている人です。

 こんな感じの人です。

 この人は2021年12月から、9か月にわたって、私・李琴峰に対して執拗に誹謗中傷をしていたので、やむを得ず提訴しました。
 その裁判の判決が先日下りました。「伊東麻紀は16.5万円支払え」とのことです。

 この伊東麻紀という人は普段どんな発言をしているかというと、こんな感じです(注:反知性とLGBTQ+差別に注意)

「裁判って非常識な人間の方が勝ちやすい」と宣う伊東麻紀、裁判でめでたく敗訴。さてここで問題です。非常識なのはどちらでしょうか?
まあ、だからといって自分より売れる作家を誹謗中傷するのはよくないですね。
誹謗中傷が正義とされてなくてよかったです。
……あれ?
自認だけならいいんじゃないでしょうか、ベストセラー作家さん。

 このような発言をしてきた御仁ですが、誹謗中傷で訴えられた時にどんな答弁をしていたかというと、

被告は自他共に認める、いわゆる「ツイ廃」であり、被告がツイッターを始めてから11年半で、25万件を超えるツイートを越えている。
(中略)
既述のとおり、被告はツイ廃であり、1年間に約2万5千件の投稿を行っているなかで、原告に対する投稿頻度は極めて低いといえる。

被告第一準備書面より

 ……はい?
 えっと…………はい???

 つまり「自分はツイ廃で、普段からめちゃくちゃツイートしてるから、その中に原告(李琴峰)を誹謗中傷するものが何件か入っていても、まあ被害の程度は低いっしょ、大目に見てくれよ」って、そういうことを言っているんですよ。
 この御仁、自分が何を言っている、分かってるのカナ??

 念のため繰り返しますが、被告・伊東麻紀自身が、自分の準備書面の中で、「自分はツイ廃ですッ」と宣言しているのです

 なるほど、被告はツイ廃のアイデンティティをお持ちの奇特なお方ですね。本人のアイデンティティを尊重する観点から、以降、被告のことは「ツイ廃伊東麻紀」と呼ぶことにします。

 ちなみに、ツイ廃伊東麻紀は慰謝料を少しでも減らすために、自ら作家の肩書を捨てています。

被告はかつて、書いた小説が出版されたこともあるが、それは今から20年以上前の話であり、現在は、出版社から校正の仕事を受託して生計を維持している。(中略)したがって、被告の行うツイートは、特段注目されている訳でも、また、特段影響力があるものでもない。

ツイ廃伊東麻紀の被告第二準備書面より

 なるほど、自分の行為の責任を軽くするために、作家という肩書まで自ら捨ててしまうようなプライド皆無の御仁ですね。そんな御仁が書いたものをわざわざ出版するような、誇りの欠片もない出版社はきっとこの日本にはないと思います。ないですよね?? ね??

 ツイ廃伊東麻紀の「私はもう作家ではありませんッ! 一般市民ですッ! 影響力ありませんッ!」という主張は、見事裁判所に採用されました。これは慰謝料が少額になった理由の一つです。

被告自身は現在小説を執筆しているわけではなく、社会的影響力のある人物でもないこと等その他の事情を考慮すると、本件各ツイートによる原告の名誉毀損の慰謝料は、15万円とするのが相当である。

判決書より

 ほほう、ツイ廃伊東麻紀は今小説を書いていない、と。書いていないよね? いないよね???

 それにしても、ツイ廃伊東麻紀が一体なぜ私を誹謗中傷し、慰謝料を払う羽目になったのかというと、作家・笙野頼子の差別的な恐怖扇動の駄文がきっかけです

 2021年12月、作家・笙野頼子は「日本文藝家協会」の会員通信紙「文藝家協会ニュース」で、粗雑でデマ交じりの差別的な恐怖扇動駄文を発表しました。それを偶然にも読んでしまった私は深い悲しみに襲われ、自身の悲しみをTwitterで綴りました。
 私のツイートを読んで「腹が立った」ことが、ツイ廃伊東麻紀が私を誹謗中傷した理由だそうです。ツイ廃伊東麻紀は自身が提出した陳述書の中で、涙なしでは読めない笙野頼子愛を綴っています。

一番尊敬している日本作家は誰かと訊かれたら、私は何のためらいもなく笙野頼子さんだと答えます……女の作家は恋愛や性のことだけ書いていればいいのだとされ、笙野さんの作品は女性作家らしくないという理由で担当編集者から拒否され続けたのです。それでもくじけずに書き続けた笙野さんを私は心から尊敬しています。

ツイ廃伊東麻紀の本人陳述書より

 (過去の)笙野頼子が偉大な作家であったことは私も否定しませんが、それにしても、こんな熱烈なファンが人を誹謗中傷して賠償命令を受けたことを知れば、笙野頼子もきっと悲しむのではないでしょうか。

 ちなみに、笙野頼子の「文藝家協会駄文」、ならびに彼女が発表してきたトランスジェンダーに関する一連の発言の問題点について、私は新刊『言霊の幸う国で』の中ではっきり指摘しています。裁判とは関係がないのでここでは割愛しますが、気になる方はぜひ新刊をお読みください。

李琴峰新刊『言霊の幸う国で』

 ツイ廃伊東麻紀が準備書面の中で行った答弁は、何も「ツイ廃」だけではありません。「トランスジェンダリズム」とやらの、Twitterの焼き直しのような答弁も、準備書面の中に書かれています。

被告の認識では、原告はトランスジェンダリズムを支持する立場の者であり、被告はトランスジェンダリズムに対して批判的な立場にある者である。

ツイ廃伊東麻紀の被告第一準備書面より

 トランスジェンダリズム? 何それ? おいしいの?
 そんなものを支持した覚えがない私としては、困惑するばかりです。

 まあ、もちろん、こんなくだらない非論理的な答弁は、判決ではまったく採用されなかったけどね。

 あ、ちなみに、ツイ廃伊東麻紀が読んでもいないのに「パクリ」だと誹謗中傷した小説は、こちらです。朝日新聞出版、『生を祝う』

パクリでもなんでもないオリジナルの小説なのでぜひ読んでください。

 読んでもいない小説を「パクリ」だと断言できるなんて、何かの超能力をお持ちかもしれませんね。まあ、名誉毀損ですけれども。

裁判所「誹謗中傷です」

 さて、ツイ廃伊東麻紀に賠償命令が出たところで、ここではもう一つ、別のアカウントを想起しなければなりません。
 このゲスアカウント(以下、「外道」と呼びます)です。

 この外道は過去に私だけでなく、私の大切な友人も誹謗中傷しています。「ヘイトを許さない」と標榜しながら、やっているのはヘイト以外の何物でもありません。外道としか言いようがありません。

 さて、この外道が編者となって出版したヘイト本があります。あえてタイトルは書きませんが、不思議なことに、ツイ廃伊東麻紀も執筆陣に加わっています。
 人を傷つけ、不法に名誉を毀損した誹謗中傷者が執筆陣に加わっていることについて、外道は何か釈明することはないでしょうか?
 まあ、釈明なんかしないでしょうね。外道も同じ穴の狢なのですから。

 ちなみに同じヘイト本で、なんと、弁護士の仲岡しゅんさんを名誉毀損して80万円の賠償命令が下った、あの「ネオフラワーデモ茨木/よもぎもち/赤羽雅/山●●美」も執筆陣に加わっているのですね。

※このように煽りまくった赤羽雅はその後めでたく訴えられ、80万円の賠償命令が下りました。

 なんという偶然でしょう! 自分が編著した本の執筆陣に、なんと誹謗中傷者が2人もいるなんて! 外道さんは何か釈明することはないでしょうか?
 まあ、釈明なんかしないでしょうね。外道も同じ穴の狢なのですから。

 ちなみに、誹謗中傷者が2人も執筆陣に加わったこのヘイト本を擁護した著名な方が何人かいました。そのうちの2人が、文芸評論家の栗原裕一郎と、経済学者の田中秀臣ですね(『週刊読書人』第3502号参照)。だからなんだ、とは言いませんが。

栗原裕一郎の名言を一つ。ただ私としては、魂が汚れるのは恐らくご本人の本来の素質によるところが大きいと思われますので、文学のせいにしないでいただきたいですね。

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 ……とまあ、ここまで長々と書いてきて、私も疲れました。裁判に勝ったからついイキってしまったという自覚はあります。

 でも、少しイキってもいいんじゃないですか? 私はもう、何年も何年も理不尽な誹謗中傷に耐え、生活をめちゃくちゃにされ、心身ともに不調をきたすところまで追い詰められました。勝訴した時くらい、少しイキらせてくださいよ。

 しかし本当の気持ちを言うと、私はこの勝訴に対して、喜びよりも、巨大な空しさを感じています。空虚です。

 裁判に勝ったからといって、だから何なんでしょうか?

 本件で認められた慰謝料16.5万円は、まあ短編小説一本の原稿料相当くらいの額に過ぎません。この勝訴を勝ち取るために私が払った裁判費用や弁護士費用、さらには時間的コストや逸失利益等を勘案すると、ゆうに100万円を超えています。勝訴しても大損です。
 そして被告のツイ廃伊東麻紀もまた、いくつかのTwitter投稿で16.5万円+弁護士費用を支払う羽目になりました。被告からすれば、これも大損でしょう。
 裁判所や裁判官だって、こんな幼稚な誹謗中傷に時間と労力を割いて審理するなんて、きっと不毛感でいっぱいではないかと想像しています。

 そう、結局誰も得しないのです。圧倒的な不毛にして、絶対的な空虚。
 このように、誰も得しない一番愚かな行為こそが、誹謗中傷・名誉毀損なのです。

 だから、これは心からのお願いであり、想いなのです。誹謗中傷は絶対にやめてください。色々な人が傷つくだけで、マジで誰も得しないのです。

 しかし、そう書いておきながら、私もまたよく分かっています。ネット上の、SNS上の誹謗中傷がなくなることは決してないでしょう。
 誰でもスマホを持っている現代、SNSの誹謗中傷はあまりにも手軽な娯楽になっているのです。

 それだけではない。私はよく分かっています。
 この世界には、言葉の刃で誰かを殺すことで悦に入る人がいます。
 この世界には、あなたがあなたであるというたったそれだけの理由で、あなたを殺したいほど憎悪する人たちが、たくさんいるのです。

 だからきっと、このような不毛で、下劣で、愚鈍で、何の生産性もない空虚な行為が、これからも繰り返されるでしょう。
 これはもう、どうしようもないことです。

 しかし、と私はここで誓います。
 これまでもそうだったし、これからもそうです。私が被害者になった時にはちゃんと闘います。ちゃんと怒ります。決して泣き寝入りしないし、加害者を見逃しません。

 だからどうか、一緒に闘ってください。一緒に怒ってください。
 対ツイ廃伊東麻紀訴訟は勝訴になりましたが、まだほかの闘いがあります。
 これからもご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。

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