祐川尚素

介護事業経営のコンサルタントです(1998年~) シナジーワーク・プランニングセンター…

祐川尚素

介護事業経営のコンサルタントです(1998年~) シナジーワーク・プランニングセンター代表取締役 http://www.synergy-work.co.jp/

マガジン

  • 介護事業経営コンサルタントの介護雑記

    介護事業経営コンサルタントを25年超やっておりますが、自分が入りたいと思う施設は本当に少ないです。施設の職員に聞いても自分の働いている施設に将来入りたいと答える職員はほとんどいないでしょう。  より善い介護施設を「如何に創るか」という課題に取り組む前に、日本の劣悪な介護施設の現状を分析し、その原因を構造的に把握することが先決問題だと思います。  介護施設の悲惨な現状の背景、原因等を構造的に把握するということは、マキャヴェリ の名言、「天国へ行く最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである。」に通じることだと思っています。

  • 福祉・介護事件簿

    福祉・介護の事件からも学べることがあるように思われます。

  • 虐待論ー高齢者介護施設におけるー

    高齢者介護施設において何故虐待が起こるのでしょうか?  虐待は職員の教育不足の結果なのか、それとも、職員の倫理観の欠如によるものなのか?  abuse/虐待の概念整理、虐待の構造的理解、背景理解が必要と思われます。

  • 外国人労働が提起すること

    日本の少子高齢化、人口減少により生産年老人口が激減している中で、外国人労働者に期待がかけられています。この外国人労働者を通して世界の日本の立ち位置、日本の課題が透けて見えてくるのではないでしょうか?

  • 徒然なるままに

    文字通り、徒然なるままに書いたものです。

最近の記事

認知症論―爺のお勉強note

 松本卓也(精神医学)さんの「症例でわかる精神病理」(2018年 誠信書房)はとても勉強になります。  「認知症とは忘却の障害」というのは目から鱗でした。  認知症について、この本から学んだことを少しまとめてみたいと思います。  1.Dementiaからneurocognitive disorders 2013年のDSM-5では、認知症 dementiaという名称が神経認知障害群 neurocognitive disordersへと改められました。 (参照:松本卓也 20

    • 北見市の障害者向け「デイサービス彩雲」が指定取り消し

       「株式会社スマイルサポートゆたか」が運営する障害者向けの介護施設「デイサービス彩雲」が介護給付費385万円を不正に受給していたということで道は指定取り消しの処分を行ったとのことです。  保険者の北見市はこの施設に対し、追徴金を含めて539万円の返還を請求するといいます。  ことし3月、北見市に通報があったのということですから、内部告発でしょうね。  内部告発は大切ですね。  名前は言えませんが、ある市町村では 内部告発情報を握りつぶすようなことをしていますが・・・内部告発

      • 五島市のデイサービス「天意(あい)」が「指定取消し」

         長崎県五島市の有限会社グループホーム天意(あい)が運営するデイサービス「天意」(定員35名)で利用者への虐待や介護報酬の水増し請求などが発覚し、県が「指定取消し」にすると発表しました。  このデイでは、次のようなabuse/虐待が行われていたと言います。 なんと1年以上にわたりトイレの入り口を施錠し自由に利用できない状況にしてた。 入浴の際、男性と女性の利用者を同じ脱衣室で同時に脱ぎ着させていた。 医療行為をする資格がない介護職員が胃ろうを行ったりしていた  どう

        • 有田市の特養の介護福祉士が傷害の疑いで逮捕

           和歌山県有田市にある特別養護老人ホームで、勤務する介護福祉士(男性・23才)が入所者(女性・89才)に暴行を加え傷害の疑いで逮捕されました。  容疑者は「入居者とのやりとりで腹が立ったので殴った」と容疑を認めているようですが、事件はやはり夜勤時に起きたようです。  介護施設の夜の闇は深い!  以下のnoteをご参照願います。

        認知症論―爺のお勉強note

        マガジン

        • 介護事業経営コンサルタントの介護雑記
          59本
        • 福祉・介護事件簿
          15本
        • 虐待論ー高齢者介護施設におけるー
          11本
        • 徒然なるままに
          43本
        • 外国人労働が提起すること
          22本
        • 大丈夫か「意思決定支援」
          5本

        記事

          精神病理学の人間理解とDSM ~爺のお勉強note~

           年とともに少々ポンコツになってきている今だからこそ、勉強って大切だと思います。年老いても承認欲求は強いので、お勉強noteを厚かましくも公開させて頂きます。  松本卓也(精神医学者)さんの 『症例でわかる精神病理学』(2018年 誠信書房)は、さまざまな症例ごとに①記述精神病理学、②現象学的精神病理学、③力動精神医学・精神分析による解説が記載されていて、とても分かり易く勉強になります。  なにより、さまざま人間理解の方法の特徴をよく理解させてくれます。  私は特に、DSM

          精神病理学の人間理解とDSM ~爺のお勉強note~

          吹田市の福祉施設介護職員が逮捕~複数の施設で暴行か?~

           大阪府吹田市の福祉施設で派遣の介護職員(女性・62歳)が入居者(女性・80歳)に暴行を加えて加療約1ケ月の重傷を負わせたとして、傷害の疑いで逮捕されました。  被害者の娘が交番に「母が施設で虐待を受けた」と訴えたことで、事件が発覚したということです。  容疑者は容疑を否定していますが、警察は、この容疑者が複数の派遣先の福祉施設などで利用者に暴行を加えていた可能性があるとみて、捜査していると言います。  東京中野区でも複数の施設で虐待を繰り返していたと見られる事件がありまし

          吹田市の福祉施設介護職員が逮捕~複数の施設で暴行か?~

          ゴミ分別が事件に!~「モラルゼロ!?」~

           ゴミの分別を巡ってここまで話がこじれるとは・・・少々理解に苦しみます。しかし、この事件からも学べることはあると思います。  会社の担当者は次のように言っています。  たぶん、担当者は、一生懸命にゴミ分別のことを伝えようとしたのでしょうね。  でも、公的空間に貼りだされたビラに「カン・ビンを別々にする」だけだったら問題はなかったと思いますが、思い余って?「理解しないベトナム人、モラルが無いベトナム人」という意味内容の文言を付け加えてしまうことがレイシズムになるとは思えな

          ゴミ分別が事件に!~「モラルゼロ!?」~

          湖山医療福祉グループ:高崎市の特養が虐待行為で行政処分

           高崎市の社会福祉法人「苗場福祉会」が運営する、特別養護老人ホーム「シンフォニー」(2021年6月1日開設・定員160人・ユニット型)の介護職員(男性)が、入居者に暴行を繰り返したとして、高崎市は施設に対して、来月から3か月間、新規の利用者の受け入れを停止させる行政処分を行うといいます。  高崎市によると、加害職員は入居者の身体を抱えて投げつけるようにベッドに戻したり、ベッドから起き上がろうとした際に蹴りつけたりする行為が複数回確認され、入居者は手首を骨折したといいます。

          湖山医療福祉グループ:高崎市の特養が虐待行為で行政処分

          「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」~エビデンス主義は「ノイズ」を許さない~

           清野由美(ジャーナリスト)さんの書評が素晴らしいと思いました。流石プロのジャーナリストです。ポイントを突いています。  三宅香帆さんの「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(2024年集英社新書)は私も読みましたが、「ノイズ」が鍵という視点は、なるほどな、と思います。   確かに、三宅香帆さんは「読書とはノイズである」けれど「自己啓発書はノイズを除去する」のだと喝破しています。(『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』集英社新書 p135,137)  ノイズを除去する自

          「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」~エビデンス主義は「ノイズ」を許さない~

          寄り沿うケアマネジメント 意志決定批判 Ⅴ

          10.非自立的同意(1)非自立的同意  ケアマネジメントにおいて、当事者(障がい高齢者)がケアマネジャーの提示する介護サービス種類、サービス事業所等々を「選択」するとして、はたして当事者たちは「自発的」に同意しているのでしょうか。  この場合の「自発的」とは純粋に自発的な能力としての「意志」に他なりません。  もちろん、ケアマネジャーは自らの提案を当事者に強制しているわけではありません。当然、複数案を提示し選択してもらうのでしょうが、厳密な意味で「自発的に同意」する当事

          寄り沿うケアマネジメント 意志決定批判 Ⅴ

          外国人嫌悪と日本の凋落

          1.顕在化するゼノフォビア(外国人嫌悪)(1)ゼノフォビアとは  次の記事は日本人のゼノフォビア(xenophobia)について考える良いきっかけを与えてくれています。  ゼノフォビアとは「外国人嫌悪」「外国人恐怖症」を意味する言葉ですが、単なる恐怖や警戒ではなく憎悪や軽蔑の感情を強く含んだものとして用いられます。  少し前までは、「爆買い」する金持ちの中国人観光客に対して嫌悪感を隠さない人も多かったですし、いまでは東南アジアからも多くの観光客が日本に来てくれていますが

          外国人嫌悪と日本の凋落

          7.7 都知事選 七夕ショック

           7月7日の東京都知事選の結果に打ちのめされています。 1.組織の長は組織の病理を代表する  自由で真摯な討論も行われず、権力欲異様に強く、平気で嘘をつき、弱者を馬鹿にし虐めるようなパワハラ系で、なおかつ自惚れ屋で、マッチョな言動で、内実は薄っぺらな候補者が勝ったり、躍進してしまったことに恐れおののいています。  岸田秀(精神分析学者)さんの言葉だったでしょうか「組織の長はその組織の病理を代表する。」  東京都民の病理が白日の下に晒された日になってしまったように思いま

          7.7 都知事選 七夕ショック

          虐待の常習犯?介護職員を逮捕(東京都)

           有料老人ホームで入居者(男性・81歳)に暴行し、左手関節の捻挫など3週間の怪我をさせたとして、介護職員(男性・40歳)が傷害容疑で逮捕されました。  被害者(入居者)が家族に被害を伝え、家族から施設側に申告し、施設の調査では容疑者は暴行を否定したといいます。  しかし、家族が個室にボイスレコーダーを設置し、暴言や体をたたくような音を録音して証拠を確保したところ、やっと、容疑者は暴行を認めました。  でもその直後から音信不通になって、施設側が警察に中野署に相談していたのだと

          虐待の常習犯?介護職員を逮捕(東京都)

          ケアマネジメントと意志決定ー意志決定批判 Ⅳ

          7.ケアマネジメント過程と「意思」決定(1)ニーズの社会性   ケアマネジメントのプロセスを単純化すれば次のようになると思います。 ニーズの形成 → 課題解決のための目標設定 → サービスの選定・決定 → サービス提供 → モニタリング  ケアマネジメントの始点はニーズです。  上野千鶴子(社会学者)さんによると、そもそも、ニーズとは社会的なものだといいます。  ニーズは社会的なもので、ただ単に当事者の訴えや要望がニーズとなるわけではなく、ケアマネとのコミュニケー

          ケアマネジメントと意志決定ー意志決定批判 Ⅳ

          大阪のデイサービスで経済的虐待

            これはスクープですね。この事件の被害者や関係者のやり取りがリアルです。  大阪市鶴見区のデイサービス「りはびりぷらす」を運営するアッラサルテ株式会社(2012年1月に設立)の元代表・西影由貴容疑者(38才)は、施設に通う80代の姉妹からキャッシュカードを預かり、現金約2000万円を不正に引き出し、業務上横領で逮捕されたといいます。  記事では、この事件のキーワードを「金銭的支配」だとしていますが、私はカルト宗教っぽいなと感じました。  上記の記事では、この事件の他に

          大阪のデイサービスで経済的虐待

          介護施設の週休3日制

           介護付き有料老人ホームのチャーム・ケア・コーポレーションは、2025年5月までに約90カ所ある全施設で介護職員を対象に週休3日制を取り入れるといいます。  約1100人の正社員のアンケートでは、約5割の職員が週休3日制を「利用してみたい」と答えたといいます。  この週休3日制は、別に週の総労働時間が少なくなるということではなく、1日8時間労働(休憩時間1時間とすれば拘束時間は9時間)を10時間労働(拘束時間は11時間)にして、週3回の休みにするということです。 ① 週休

          介護施設の週休3日制