干さオレ~三軒茶屋逢瀬篇~(第四回)
文芸時評・10月 荒木優太 朱喜哲『〈公正〉を乗りこなす』(太郎次郎社エディタス)で目を引く「乗りこなす」という交通的比喩は、要するに用語を区別して運用できる能力を意味している。ジョン・ロールズ『正義論』は善と正義(公正)を区別した。個々人の価値観、善いことが競合するなかで、正義(公正)はそのレヴェルよりも一段上の、より公共的な社会のインフラに等しい制度やシステムに関与している。この観点を採れば相対主義的解釈(正義の向こう側には別の正義がある!)を防ぐことができる。複数の正義