書肆侃侃房 web侃づめ

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出版社の書肆侃侃房のウェブ連載マガジン「web侃づめ」です。近刊・新刊の情報もお知らせしていきます。 http://www.kankanbou.com/

マガジン

  • 北村紗衣「素面のダブリン市民」

    1年間アイルランドのダブリンに住むことになった『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』著者の北村が、ゆるい感じでアイルランド生活について発信します。

  • 本のあるところ ajiro

    福岡・天神の本屋&カフェ。海外文学と詩歌を中心とした書籍を販売。トークショー、読書会、歌会などのイベントも開催しています。 http://www.kankanbou.com/ajirobooks/

  • 書肆侃侃房営業部より

    書肆侃侃房営業部が近刊やフェア、イベントなどの情報をお届けします。

  • 北村紗衣「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」

    2015年10月から2023年12月まで、サイゾーのウェブサイトであるwezzy(当初はmessy)で連載されていたシリーズのアーカイブです。映画や演劇、小説から時事問題、人生にかかわるいろいろなことまで、フェミニスト批評やクィア批評の観点から切り込んでいきました。一部は書肆侃侃房より書籍としてまとめられ、刊行されています。2024年4月のwezzy閉鎖に伴い、書肆侃侃房ウェブサイトに引き取っていただくことになりました。 ※書籍版『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』(書肆侃侃房、2019年)に未収録の記事を掲載。

最近の記事

【素面のダブリン市民】第1回 プロローグ(北村紗衣)

 皆さんこんにちは。今日から『素面のダブリン市民』の連載を始めることになりました、北村紗衣です。ふだんはシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史を研究している他、映画批評なども書いています。書肆侃侃房からは『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』を2019年に刊行し、もとになったウェブサイトwezzyの連載の一部もWeb侃づめのアーカイブにありますので、興味がある方は見て頂けますと幸いです。  『素面のダブリン市民』では、私が1年間、サバティカルで滞在することになったアイルラ

    • 【試し読み】山野辺太郎『恐竜時代が終わらない』冒頭より

      山野辺太郎『恐竜時代が終わらない』 *** 山野辺太郎『恐竜時代が終わらない』冒頭より   ただいまご紹介いただきました岡島謙吾です。ふだんは所沢のスーパーの鮮魚売り場で働いています。どうも皆さん、こんにちは。  わたし、講演というのは初めてなんです。生まれてこのかた半世紀、誰かの講演を聴きに行ったことさえありません。講演とはどんなものかもよくわかっていないのに、こうしてしゃべりはじめているわたし。本当にこんなことが起こってるんでしょうか。自分でもびっくりしています。いま

      • 【試し読み】『フルトラッキング・プリンセサイザ』(「フルトラッキング・プリンセサイザ」より)

        「フルトラッキング・プリンセサイザ」  今日はバスタオルで体を拭こう。うつヰは出かける前に思いつき、それをメモするかどうか迷った。忘れないうちに、アパートの階段を下りながらアプリケーションにメモしておくのがよいのだろうけれど、そのこと自体を忘れてしまわないよう玄関を出る時にアイフォンをポケットへは入れてしまわず、手に持ったまま靴を履いたり施錠をしたりすればいいのだとして、どこにどう書くのか。どこにというのはどのアプリケーションで書き留めておくのか、ということで、打ち込んだそ

        • 韻踏み夫×大谷能生『20世紀ジャズ名盤100』出版記念『日本語ラップ名盤100』vs『20世紀ジャズ名盤100』(5/13)

          韻踏み夫×大谷能生 『20世紀ジャズ名盤100』出版記念 『日本語ラップ名盤100』vs『20世紀ジャズ名盤100』 ★お申し込みはこちら ①会場参加チケット ②配信視聴チケット 大谷能生さんの『20世紀ジャズ名盤100』(イーストプレス)の出版を記念して、著者の大谷能生さんと、同じく「100」シリーズから『日本語ラップ名盤100』を刊行した韻踏み夫さんをお招きしてトークイベントを行います。 大谷能生さんより イーストプレス社発行の好評「100」シリーズ、その『日本語ラ

        【素面のダブリン市民】第1回 プロローグ(北村紗衣)

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        • 北村紗衣「素面のダブリン市民」
          1本
        • 本のあるところ ajiro
          58本
        • 試し読み
          69本
        • 書肆侃侃房営業部より
          29本
        • 北村紗衣「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」
          71本
        • 崔盛旭(チェ・ソンウク)「極私的」韓国大衆文化論序説
          6本

        記事

          【試し読み】『韓国映画から見る、激動の韓国近現代史』崔盛旭より(「『キングメーカー 大統領を作った男』選挙の負のレガシーを作った男たち 「カルラチギ」の起源をたどる)

          『キングメーカー 大統領を作った男』 選挙の負のレガシーを作った男たち 「カルラチギ」の起源をたどる ◎物語 世の中を変えたい一心で選挙に挑み続けるも、落選続きでなかなか前に進めない政治家キム・ウンボム(ソル・ギョング)のもとに、彼と志を共にしようとする男、ソ・チャンデ(イ・ソンギュン)が現れる。選挙参謀になったチャンデは、正当な戦法を求めるキム・ウンボムの意に反して狡猾な戦略を編み出し、劣勢の状況にもかかわらず次々と当選させていく。 ついに、キム・ウンボムは党を代表し

          【試し読み】『韓国映画から見る、激動の韓国近現代史』崔盛旭より(「『キングメーカー 大統領を作った男』選挙の負のレガシーを作った男たち 「カルラチギ」の起源をたどる)

          ★『ブンバップ』刊行記念特設ページ★『ブンバップ』と聴きたい川村有史さんプレイリスト ほか

          ★『ブンバップ』刊行記念特設ページ★ 《みんなして写真のなかで吸う紙のたばこ 爆発前のSupreme》第3回笹井宏之賞永井祐賞受賞! 川村有史第一歌集! 書籍の詳細はこちら! 『ブンバップ』と聴きたい川村有史さんプレイリスト ★Spotify で聴けるプレイリストはこちらから! 1.I’ll Still Love You/King James Version  スペシウム光線はフィニッシュの技だけど、べつに最初に打ったっていい。 2.Gas Face / 3rd B

          ★『ブンバップ』刊行記念特設ページ★『ブンバップ』と聴きたい川村有史さんプレイリスト ほか

          カワイ・ストロング・ウォッシュバーン『サメと救世主』(日野原慶訳)著者紹介

          【著者プロフィール】 カワイ・ストロング・ウォッシュバーン(Kawai Strong Washburn) ハワイ島ハマクア海岸で生まれ育つ。デビュー作『Sharks in the Time of Saviors』(※『サメと救世主』原題)が、2021年PEN/ヘミングウェイ賞デビュー作部門と2021年ミネソタ・ブック・アワードを受賞し、2020年Center For Fiction First Novel Prizeのロングリスト、2021年PEN/Jean Stein B

          カワイ・ストロング・ウォッシュバーン『サメと救世主』(日野原慶訳)著者紹介

          【試し読み】ローラ・カプラン『ジェーンの物語 伝説のフェミニスト中絶サービス地下組織』(塚原久美訳)より(「プロローグ」)

          プロローグ  一九七三年にアメリカの連邦最高裁判所は、ロー対ウェイド訴訟の判決によってアメリカ国内での中絶を合法化した。それまでの四年間に、一万人を超える女たちが〈ジェーン〉に電話をかけた。〈ジェーン〉とは、正式には「女性解放の中絶カウンセリング・サービス」として知られるシカゴ[イリノイ州]のグループが、連絡用に使ったコードネームである。毎週、毎週、あらゆる階級、あらゆる人種、あらゆる民族の女たちが、切羽詰まって〈ジェーン〉に電話をかけてきた。夫や恋人に避妊を禁じられていた

          【試し読み】ローラ・カプラン『ジェーンの物語 伝説のフェミニスト中絶サービス地下組織』(塚原久美訳)より(「プロローグ」)

          「書肆侃侃房の海外文学フェア」開催店情報(2024年4月27日時点)

          このたび、全国の書店で開催中の「書肆侃侃房の海外文学フェア」にあわせ、書肆侃侃房の海外文学カタログを創刊しました。 書肆侃侃房ではこれまで「韓国女性文学シリーズ」「韓国文学の源流シリーズ」や「現代台湾文学選」など東アジア圏文学のシリーズを刊行してきた他、国際的に高い評価を受けるジョゼ・サラマーゴ(ポルトガル・ノーベル文学賞作家)やアン・カーソン(カナダ)の著作、シンガポール、チベットなどの知られざる名作、文学者・翻訳者によるブックガイドやエッセイなど、海外文学に関する幅広い

          「書肆侃侃房の海外文学フェア」開催店情報(2024年4月27日時点)

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】「ガウェインの結婚」を歴史の授業で使わないで!~中世の英文学と女性がもっとも望むこと(北村紗衣)

           2年ほど前に「世界史講義録」というウェブサイトの「最初の授業」という記事がバズったことがありました。これは高校世界史の授業初回で、アーサー王伝説の「ガウェインの結婚」をとりあげ、歴史は面白い……というような話の枕にするというものです。    詳しくはリンク先の元記事を読んでいただきたいのですが、非常にざっくり説明すると、アーサー王が敵の騎士から「すべての女性がもっとも望むことは何か」という問いを出され、それの答えが「自分の意志を持つこと」だったという話をネタに、「700年か

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】「ガウェインの結婚」を歴史の授業で使わないで!~中世の英文学と女性がもっとも望むこと(北村紗衣)

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】外の世界とつながる外国語学習~内部告発者への尋問テープをもとにした映画『リアリティ』(北村紗衣)

           ローリング・ストーンズの新アルバム『ハックニー・ダイアモンズ』の先行シングル「アングリー」のビデオを見た方はおられるでしょうか。ロサンゼルスの道路を走る赤い車にやたらゴージャスな髪の長い女性が乗っていて、ストーンズのロゴみたいに舌を出したり、エアギターを披露したりする内容です。道の脇には大きな看板が何枚もあり、車が通るといろいろな時代のストーンズが看板から飛び出すよう動き出して演奏をしてくれます。  今回の記事で紹介するのは、この女性を演じたシドニー・スウィーニー主演の新

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】外の世界とつながる外国語学習~内部告発者への尋問テープをもとにした映画『リアリティ』(北村紗衣)

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】歌って踊って窮地を脱するへんてこなヒロインのロードムービー~『ジャム DJAM』(北村紗衣)

           トニー・ガトリフ監督の映画『ジャム DJAM』は、エーゲ海を舞台に若い女性2人が右往左往するロードムービーです。タイトルロールであるジャムを『ベネデッタ』ではバルトロメア役だったダフネ・パタキアが演じています。2017年に作られましたが、このたび9月29日に日本公開されることになりました。アルジェリア出身のロマ系の監督であるガトリフは音楽をふんだんに取り入れた映画作りで知られていますが、この作品ではギリシャの音楽であるレベティコがたくさん使われています。 ◆ミュージカルの

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】歌って踊って窮地を脱するへんてこなヒロインのロードムービー~『ジャム DJAM』(北村紗衣)

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】知られざるプレコード映画の世界(10):嘘っぽい芸術と真摯な芸術~『奇蹟の処女』(The Miracle Woman)(北村紗衣)

           フランク・キャプラといえば、最後のプレコード映画のうちの1本であり、スクリューボールコメディが流行るきっかけとなった『或る夜の出来事』(It Happened One Night、1934)を撮った監督として有名です。今回の連載では、キャプラの非常にプレコード的な作品を紹介しようと思います。アメリカにおけるラジオ伝道とメガチャーチを批判したバーバラ・スタンウィック主演の『奇蹟の処女』(The Miracle Woman、1931)です。 ◆プレコード宗教映画  ヒロイン

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】知られざるプレコード映画の世界(10):嘘っぽい芸術と真摯な芸術~『奇蹟の処女』(The Miracle Woman)(北村紗衣)

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】知られざるプレコード映画の世界(9):メイ・ウェストが男たちを魅了する『わたしは別よ』(She Done HimWrong)(北村紗衣)

           プレコード映画の時代の大スターとして忘れてはならないのがメイ・ウェストです。ウェストはもともとバーレスク業界出身の舞台のスターで、パフォーマーとして活動する一方、セクシュアリティを扱った戯曲を書く劇作家として物議を醸していました。ウェストの戯曲は1920年代末の基準では過激すぎたため、猥褻だとして逮捕もされています。    こんなスキャンダラスな才人だったメイ・ウェストがハリウッドで初めて主演したのが1933年の『わたしは別よ』(She Done Him Wrong)です。

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】知られざるプレコード映画の世界(9):メイ・ウェストが男たちを魅了する『わたしは別よ』(She Done HimWrong)(北村紗衣)

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】知られざるプレコード映画の世界(8)番外編:航空アクション映画の祖『つばさ』(Wings)(北村紗衣)

           今回の記事で紹介するウィリアム・A・ウェルマン監督『つばさ』(Wings、1927)は、厳密に言うとプレコード映画ではありません。プレコード映画というのはトーキーが始まってからヘイズ・コードが厳密に施行されるまでの映画を指す言葉です。サイレント映画である『つばさ』はこれに該当しません。    それなのにこの連載で『つばさ』をとりあげるのには、ふたつ理由があります。ひとつめとして、『つばさ』はプレコード映画に見られるような描写は既にサイレント映画にもあったのだ、ということを説

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】知られざるプレコード映画の世界(8)番外編:航空アクション映画の祖『つばさ』(Wings)(北村紗衣)

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】知られざるプレコード映画の世界(7)画期的なプレコード映画、ただし今見ると…?『結婚双紙』(TheDivorcee)(北村紗衣)

           1930年の映画『結婚双紙』(The Divorcee)はプレコード映画の中でも重要な作品だと言われており、主演女優のノーマ・シアラーはこの作品でアカデミー主演女優賞を受賞しました。しかしながら今の観客が見ると、ヒロインであるジェリーとさまざまな男性との出会いを扱ったこの映画はいろいろ面白いところはありつつ、単なるよくあるロマンティックコメディに見えるかもしれません。    今回の記事ではこの『結婚双紙』のどういうところがプレコード映画として重要だったのかを見ていきたいと思

          【お砂糖とスパイスと爆発的な何か】知られざるプレコード映画の世界(7)画期的なプレコード映画、ただし今見ると…?『結婚双紙』(TheDivorcee)(北村紗衣)