【特別掲載】『パンクの系譜学』刊行記念エッセイ「パンクとの出会い」(川上幸之介)
パンクとの出会い
私は行き場のない怒りと、それを変えることのできない自分の非力さを抱えながら、グレたり家出する勇気もなく悶々とした思春期を過ごしていた。だけど、そんな気持ちを解放してくれたのが当時、ドラマの主題歌で流れていたザ・ブルーハーツを通して出会ったパンクと、新しい世界を垣間見せて
くれたアートだった。パンクに傾倒し始めていた私は、せっせと小遣いを貯めては新しいバンドとの出会いに胸を踊らせ、実家の山梨から東京のレコードショップへと通い詰めた。当時はグリーン・デイの