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福田村事件 映画感想 嘘や噂を信じてしまう人々

震災後、福田村に訪れた行商人がデマによって村人から暴行される事件の映画化 福田村はそこまで閉鎖的な村ではない 行商人が行き来しているくらいには開けていると思った しかし一旦、自警団の間違った正義感に火がつくと止められない それは閉鎖的じゃなくても、同じなんだなという印象 武器を持って行商人達のところへ向かう村人達は、生活を脅かされる、だけじゃなく面子や村八分が怖いからという理由で集まっている どんなに村長が止めても、臆病者と言って跳ねのけて、ついには暴行が始まる デマや

    • ひなた商店街 山本甲士 読書感想

      近江貴仁は故郷に戻り親戚のおでん屋を継ぐことに決めた アクション俳優として売れなかった為、すっぱりと夢を諦めた しかしおでん屋が立地している商店街は既に寂れていて、客もそう多くない 学生時代の先輩からもう商店街を取り壊そうとしている動きがあると聞かされる それも人生と思っていたが、ある依頼を受けてから運命は別の方向へ転がり始める ひなたシリーズと言っていいのかな 繋がりはないけれど、大筋は同じ まず嫌な人がいない(ちょっと障害はあるものの) 主人公がくよくよせずに前向き、で

      • スオミの話をしよう 映画感想 長澤まさみさんを存分に撮った作品

        詩人・寒川の妻スオミがふらっと出掛けたまま帰って来ない 誘拐ではないかと疑う寒川を担当している乙骨が警察に届けようとするのを寒川が止める。大事にしたくない。 スオミの前夫の警官の草野にこの件を打ち明ける。スオミの話をしている内に、二人に食い違いがあると気付く それを切っ掛けにスオミの前夫達が集合する スオミの印象はそれぞれによって違う 一体スオミはどんな女性なのか? 長澤まさみさんを撮りたいんだ、その為の作品という印象 ストーリーもわかりやすいし、真相もきっと全員わかると

        • 地雷グリコ 青崎有吾 読書感想

          都立頬白高校は文化祭前に忙しくなる 一番人気の屋上スペース ここを狙って愚煙試合が行われる カレーを売りたい1年4組は代表として射守屋真兎を出した 鉱田は真兎が勝負強いことを中学の時に知っていた そして試合は地雷グリコというゲームで行われた タイトルで地雷踏んで死亡する死のゲームかと思ったら違っていた 学生たちが行う頭脳ゲーム この連作短編集 グリコにカルタ、じゃんけん、だるまさんなど、馴染み深いゲームがルールにより頭脳戦となる そして最後のゲームへと繋がっていく 真

        福田村事件 映画感想 嘘や噂を信じてしまう人々

        • ひなた商店街 山本甲士 読書感想

        • スオミの話をしよう 映画感想 長澤まさみさんを存分に撮った作品

        • 地雷グリコ 青崎有吾 読書感想

          エイリアン ロムルス 映画感想 人災じゃないか

          採掘植民地で働いている人々 太陽のない地から移動しようにも会社は認めず人生に行き詰まる レインにはアンディという亡き父から守るようプログラムされたアンドロイドを連れている 同じようウニ採掘場で働くタイラーからの呼び出しに行くと、近くに漂流するロムルスという宇宙ステーションで設備を得れば別の星に行ける計画を話す その為にはウェイランド社製のアンディの協力が必要だと言う 未来を掴む為にロムルスへ乗り込む仲間達 しかし待ち受けていたのは恐ろしい生命体だった エイリアン、映画館で観

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          サマー・オブ・84 映画感想 ジュブナイル作品と思わせて実は

          80年代 連続殺人の犯人が近所の警官でないかと疑うデイビー 仲間達と一緒に証拠を見付ける為に探りを入れる 親達には勿論秘密 妄想で片付けられるから証拠を集めようと作戦を開始する 途中まではよくあるジュブナイル作品だなと思って観ていた 危険なことが大好きな子供達 事件を解決しようと危ないとわかっていても、怪しい相手を見張り、証拠を集めようとする 途中で親に報告し、ものすごく怒られる だって夜に行動したり、不法侵入したりと危ないことも悪いこともしているから。 しかしなんだか

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          魂婚心中 芦沢央 読書感想

          死後婚のマッチングが当たり前となっている世の中 相手がいないとかわいそうとされる 主人公には推しがいる 推しを崇めているが近付こうとはしない ただ調べているだけ その情報を得るだけで満足しているはずだった ところが推しのリアルアカウントを見付け、魂婚のマッチングアプリに登録していることに気付く ホラーかと思ったらSF作品の短編集だった 魂婚というタイトルからもっとおどろおどろしいものを想像していた これはよくない方向へいくぞと予感させておいてから、意外なオチ そこから読

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          骨灰 冲方丁 読書感想

          上司からの依頼により松永光弘は悪評とも捉えられる呟きの原因を突き止めようと現場へ向かう 施工ミス、有害なもの、作業員入院、人骨が出た穴 マイナスな呟きに原因を突き止めるために向かったが、その地下で繋がれている人間を見付けた 恐ろしい話 地下の様子の熱くて乾いた空気がかなり不気味 そこに人が繋がれていたらパニックになる この薄気味悪い空間を出たところからがまた恐怖の始まり 家に誰もいないはずなのにインターフォンが鳴る 変な足跡が残っている 変な臭いがする そして、主人公

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          なんどでも生まれる 彩瀬まる 読書感想

          チャボの桜は逃げ出したところを茂に拾われた 茂は仕事と人間関係がいかずにジイちゃんの家に避難した どうにか茂が元気になれる人と会えないものかと、桜は散歩をしながら探し始める チャボ目線のお話 しかしファンタジー要素はなし 桜に話し掛ける人や鳥は大勢いる けれど奇跡が起こるとかはなし あくまで茂は自分が出来ることだけをやり、桜さんはそれについていくというスタイル 鳥が喋ったとかでなく、人の話していること理解してそう、でも人は桜さんの考えは全くわかっていないよという流れ 都

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          婚活中毒 秋吉理香子 読書感想

          婚活がテーマの短編集 お見合い相談所 街コン 婚活番組 代理婚活 ミステリーホラーっぽいのは最初の話 あとは現実でもありそうな設定で、ホラーではないけど薄っすら怖かった 街コンは作戦がお見事 単純すぎて笑った 婚活番組はなるほど、成立したとしても結婚が確約されたわけでない 手段を選ばない人がいると思うと、なんとなく予測出来る 代理婚活 当人の代わりに両親が会って、見合いするかどうかを決める 主人公の父親が相手の母親を気に入って、おいおいと思ったら、とても素敵なラスト

          婚活中毒 秋吉理香子 読書感想

          ミスター・ガラス 映画感想 ヒーローは出現するのか?

          アンブレイカブル、スプリットからの続編 不死身のデヴィット 多重人格のケヴィン 壊れやすい肉体のミスター・ガラス 三人が集められた施設 その施設で禁断の実験が始まる アンブレイカブルでヒーローはいるもん、絶対いるもんとサイコパスっぷりを発揮し、各地で事故を起こしてヒーローなら生き残るはずだという超理論からデヴィットを見付けたミスター・ガラス 今回のタイトルが何故彼の名前なのか 観終わった後に納得した 何度か見逃していた作品 今やヒーロー映画が珍しくなくなったからこそ、

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          レトロ喫茶おおどけい 内山純 読書感想

          商店街にひっそりとたたずんでいる喫茶大時計 レトロな空気が流れるお店に訪れると、いつの間にか店内が昭和時代に戻っている そして立ち止まっていた人達が歩き出していく 不思議な喫茶店レトロ喫茶 孫のハヤテと祖母のハツ子さん 二人が営む喫茶 悩みがある人達が訪れ、何故か昭和にタイムスリップして、その時代にいる人に憑依?みたいになって会話をする いつの間にか悩みはそう深刻になるものではないと捉え、店を出るときには気持ちが前向きになる その話が続く 全員、昭和にタイムスリップして慌

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          RRR 映画感想 熱い熱い熱い

          ゴーンド族のビームは村から連れ去られた娘マリを連れ戻す為に英国軍に立ち向かおうとしていた 警官のラーマは暴徒達を止めようとしていた 本来なら敵対する立場にあるビームとラーマ しかし列車事故で少女を助けたのを切っ掛けに素性の知らない同士意気投合する 話題になったインド映画 どうもインド映画とはこれまで合わなかったためにどうかなと思ったけど、とても熱い映画で楽しめた 敵となる立場になるとも知らずに仲良くなるビームとラーマ あの海での救助場面が迫力満点で引き込まれた ラーマは警

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          吐きたいほど愛してる。 新堂冬樹 読書感想

          凶悪な短編集 妄想が激しい被害妄想の男 病気から夫に暴力を奮う妻 言葉を発することが出来ない怪我した美少女 娘に虐待監禁されている老人 怪我をしていた美少女は完全に被害者で悲しい話だった あとはもう自分勝手な人達で気分が悪くなる(褒め言葉) 蛆を食料にって、コオロギなんてまともに思えるのが怖い 浮気は心を壊す そして老人虐待がかわいそうと思ったら、安易に同情してはいけないという戒めの話 人の暗部をこれでもかというくらい暴き立てた作品 読んで平静でいられるか、試

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          ロスト・キング 500年越しの運命 映画感想 手柄をかすめ取ろうとする人達 

          フィリッパは別居中の夫と二人の息子がいる 仕事では病気を理由に上司から正当な評価を得られない ある日、リチャード三世の舞台劇を観てからリチャード3世の姿を見るようになる まだ遺骨が見つかっていないリチャード3世 フィリッパは遺骨探しを始める 実話ベースだそうです フィリッパがリチャード3世の姿を見ているのはさすがにフィクションだけれど、遺骨探しに情熱を燃やして見付けたというのは真実とのこと とはいえ、彼女一人でスコップで掘ったわけでもなく(当たり前)、フィリッパはレスター

          ロスト・キング 500年越しの運命 映画感想 手柄をかすめ取ろうとする人達 

          気がつけば生保レディで地獄みた。忍足みかん 読書感想

          会社説明会で生命保険の会社の福利厚生のページを見て、この会社に飛び込んでみようとした主人公、みかん それは地獄の始まりだった 生保レディ どんなイメージを持っているか 大体思った通りのことが、いやそれ以上の辛いノルマやパワハラ、セクハラが横行していて笑えない業界話 スカートをもっと短くしたら?と言われるのはまだ軽いというのが恐ろしい クールな先輩が胸元開けて客先に行って、でも枕はしてないからセーフって、そうまでしないといけない業界 だんだんと死にたいという気持ちに支配さ

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