皐月まう

物語と思考と何気ない日常。 吹奏楽団所属のどこにでもいる大学生です。 お写真と秋がすき。 Twitter・Instagram ▶ @maumau__5

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マガジン

  • まうセレクション

    初見さんにも、お久しぶりのあなたにも。個人的なお気に入りと何かの記念です。気まぐれに入れ替えます。

  • まうの思考回路

    エッセイもどきと、何やらいろいろ考えてみたもの。増えてきたのでそろそろ細分化したい。

  • まうの物語

    単発の小説のみでまとめています。 気になるものを覗いてみてくださると嬉しいです。

  • まうの就活体験記

    就活が嫌すぎてたまに吐き出す本音です。喉元過ぎればなんとやらなこの気持ちも、きちんと残しておきたくて。

  • 【短編】少女よ、星になれ

    連載小説『少女よ、星になれ』全4話をまとめています。星になりたかった少女と、とあるOLが織り成す生きるための物語。

最近の記事

秋空の下、明日の匂いなんて誰にもわからないから

浸る、溶ける、沈む。少し浮かんで、浮かびきれずにまた沈む。 そんなことを、朝からずっと繰り返している。カーテンの隙間からこぼれる日差しは部屋をゆるやかにあたため、私は私の体温でぬくもった布団から抜け出せずにいる。最近てんでだめだなあ、と思うたびにまたひとつ自信をなくし、現実世界に反抗するかのように再び睡魔に引き寄せられていく。 こんないいお天気はお昼寝日和なのか、はたまたお出かけすべきなのか。この地方では晴れ自体が珍しいから、こうしておひさまの光を浴びるたびに考える。今の

    • 自分に甘く、口には苦く、隣の芝生

      今年の秋はどうやら長いらしい。11月も下旬になって未だに気温が5℃を下らないのは、確かにちょっと不自然だ。秋こそおれの時代!と毎年のように騒ぎ立てる私としては喜ばしいことなのだけれど、来るはずの凍てつく寒さがなかなか訪れないとそれはそれで調子が狂う。いっそのこといつまでも秋のままであってほしい。だって今年もまた大雪が降るんでしょう? やめてください、切実に。 初秋に変な気温の上下が続いてからというもの、私は常に調子が悪い。というか高校生以来、今日は調子がいいぞ! なんて日は

      • 言葉には大きな力があり、そして無力だった。

        早朝にスマホのバイブ音で目が覚めた。それはアラームでも着信でもなく、連続するLINEの通知音だった。 来春から就職する私を案じた、父からのLINEだ。こんな朝早くに送るくらいならメッセージをひとつにまとめてくれたらいいものを、なおもスマホは震え続ける。苛立ち紛れに内容を見て、ため息が出た。 ……びっくりするほどなんにも響かない。 そこには申し訳ないけれど当たり前、としか言いようがない文面が並んでいた。ここに載せるまでもない、本人も一方的に伝えたいだけだったようだけれど返信

        • 目標:一人で東京の街を歩ける女になる

          人間が多い、と何度もつぶやいた。首をめいっぱいに反らすまで、大きくて高いビルを見上げる。夜行バスを降りたばかりの早朝でも、もう街は動き出している。一年ぶりに訪れた東京はやっぱり東京で、私は相変わらずの田舎者だった。 私の隣で大きなバッグを抱える彼女は、来年の春から東京の人になるらしい。ディズニーチケットの期限が切れてしまうからと突然この旅行に誘われたのだけれど、私たちが会うのは久しぶりで、そういえば二人で遠出するのなんて初めてだった。 入社先のイベントがある彼女とは、2日目

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          だからエッセイと呼ばないで。

          自分の書いたものを読み返すのは、実はあまり好きではない。 けれどもいい加減エッセイもどきマガジンを整理しなければと思って、少しずつ仕分け作業を進めている。今や週1投稿というのんびりとしたペースで書いているものの、なんやかんやで私の思考は170本あまりの文章に収められていた。 今のところ、食べ物関係、音楽関連、恋愛話、お気持ち表明、そこに収まらない日常の記事あたりで分けようとしている。 どんなものを書いたかほとんど記憶にない記事も少なからずあるから、確認のために読み返したも

          本日、ダイエット日和につき。

          汚いものから目を逸らし、臭いものには蓋をする大人にだけはなりたくないと、常日頃胸に刻みながら生きている。 私は濁りのない瞳で綺麗事を並べたてる人よりも、ちょっと悪い顔をしながらも芯の通った生き方をする人の方が好きだ。人間らしさはその醜さにこそあると信じている。 世界を形づくるのは表面の美しさばかりではなくて、人間の真のどす黒さ、欲の深さが根底にあることを忘れずにいたい。 そう、だから私は現実を見る。いつまでも逃げていてはいけないのだ。おそるおそる体重計に足を伸ばし、重力を

          普通、凡庸、どこにでもいる私は何も知らない。

          昔から、何かを評価したり意見を主張したりすることが苦手だ。常に自信がない。私ごときが何をわかったような口で、と一度思ってしまうと言葉が何も出てこなくなってしまうのだ。読書感想文で賞をもらっても、私の考えが正解でも不正解でもないことがわかってはいても、私は自分で自分を認められた試しがない。 世のオタクが得意とする考察も苦手で、作品について深く考えてみることはあれど、それを表に出すことはとてもできない。そして他の人の考察を目にすれば、自分の考えの至らなさ、思考の浅さに愕然とする

          遺しておきたい20分の1

          タイムリミットは無情にも迫る。時間は誰にでも平等に流れて、とめどなく季節を次へ次へと進めていく。気がつけば蝉の声はすっかり鳴りを潜め、代わりに空の雲が高く薄くなってきている。 秋だ、散歩だ、コスモスだ!と外へ繰り出す日が増えた。極端に暑かったり寒かったりする季節はどうしてもこもりがちになってしまうから、春と秋は好きだ。中でも秋はいっとう好きだ。絵画みたいな雲と彼岸花やコスモス、紅葉の鮮やかさ。それらを目にするとわくわくする。ずっと秋でいいのに、と思う。 だけどそうはいかな

          人生最後の夏休み、最終日

          だだっ広い田んぼと山ばかりが広がる、車窓を眺めている。実家から帰る列車からの景色はいつも同じで変わり映えしないくせに、なぜだか飽きない。どこまでも続く緑に囲まれ、私は一人で暮らすあの街へ帰る。 この夏、帰る場所がまたひとつ増えた。地元と今住む場所を合わせると、私には3つの故郷があることになる。地元にもその場所にも同時に「来る」という言葉を使ったら、さすがに彼に笑われた。けれどそれくらい、私にとってはどの場所も私の家なのだ。 そして今回の短い帰省の課題は、その第三の故郷につ

          きっとみんな、それなりに生きづらい

          生きづらさ、みたいなものをみんながこぞって掲げだしたのはいつだったろうか。HSPという言葉が世に出回りはじめたのも、同じ頃だったような気がする。 最初に言ってしまうけど、正直ずっと違和感が拭えない。生きづらさがまるで特別なことのように扱われている、そんな世の中が不思議でならない。だってそんなの当たり前のことで、今更主張するほどのことでもないと私は思っていたから。 私も遊びでパーソナル診断なるものをやってみたことがある。INFPという結果を見て、まあそうだろうな、というなん

          これは小説、ということにしておいてください。

          目が覚めたとき、視線の先には彼の背中があった。窓から覗く薄闇に目を凝らし、無音の空間に耳をそばだてる。微かな空気の音とともに上下するそれに安堵しつつ、さらに何かを確かめるように手を伸ばす。 いつもは私と張り合えるくらい細いくせに、こうして触れてみるとやっぱり私より筋肉質で、広くて逞しい。そして私のとは全く違う肉感をもつ腕と、分厚く浮き上がった肩甲骨。自分にないものを求めるからこそ性差が存在するのかもしれない、とふと思う。そのまま腕をまわし頬をつけ、きちんと穏やかな鼓動に耳を

          抹茶パフェとカフェラテと、借りてきた本

          まさかエアコンのよく効いた部屋でぬくぬくと毛布にくるまりながらお昼寝する生活が戻ってくるとは、思ってもみなかった。少し前にはまだ8月よ!?と快適な気温に驚いていたというのに、今はもう9月よ!?とその暑さにげんなりしている。 明日の卒論中間発表の原稿を無事提出したから、今日はやりたかったことをする日だと決めていた。午後を過ぎると雲が出てきて、日差しが少しずつ和らいできたので相棒の自転車に乗り、図書館へと向かう。 しかし今日は風がひどかった。幸い真夏みたいな熱風ではないものの

          【ピリカ文庫】さそり座のあなた

           病院へ行くのは面倒だけど、病院そのものは好きだった。特に清潔に整えられた薬品の香りは、いつも私に病院という世界を意識させ、安心を与えた。街の喧騒から一歩距離を置いた人々が行き交い、皺ひとつないナース服を着た看護師さんが健康的な笑顔で私を受け入れる。潔癖な私には申し分ないほど、病院という空間は余計なものから私を守ってくれた。  あの日は確かに晴れだった。朝の白い光が待合スペースの大きな窓から燦々と差し込み、さらに白い床に反射して眩しかったのをよく覚えているから。週に一度、午

          全部あの日に置いていく。

          最近の密かなマイブームは、フレンチトーストを作ること。いつもの朝ごはんがちょっぴりリッチに感じられるひそやかな喜びのために、私は朝から台所に立つ。 フレンチトーストは程よく焦がすくらいがちょうどいいと思っていて、砂糖とメープルシロップの底なしの甘さとほんのりとした苦みのバランスを大切にしている。材料を混ぜているときから香り立つ甘みにうっとりと酔いしれながら、私の一日はゆっくりと幕を開ける。 自炊の頻度を上げたおかげで、料理に対するハードルが下がった。前まではちょっと面倒な

          結末をたずねて三千里

          エッセイもどきを書きかけてはそれ以上進まない、ということを何度も繰り返している。下書きは溜まっていく一方で、結局これは何が書きたいんだ?おもしろくなるのか?と考えてしまったが最後、筆が突然止まってしまう。 小説なんかもっとひどくて、思い浮かんだ書きたい部分だけをざっと書いてしまえば満足してしまうことなんてざらだ。よく映画監督や漫画家、小説家なんかが「このシーンを描きたかった」と語ることがあるけれど、私はそのおいしいとこ取りしかしていない。 いろんな小説を読んでいるとたまに

          音楽を聴かない

          自分ひとりの空間、というものに憧れて一人暮らしを始めたものの、私は一人で生活するのが向いていないと自覚するまでには時間がかからなかった。気がつけばこの部屋は何かのタイミングで放置することを選ばれた物に溢れ、収拾がつかない状態に近づいていく。私一人しか暮らしていない部屋は、私が動かないことには私の呼吸とともに物が積み上がっていくばかりだ。 洗い物も洗濯物も部屋の隅にある埃も、私が生み出した負の産物で、それは酸素を吸って吐き出した二酸化炭素と同じようなもので、どう足掻いたって私