にっぽん味ごよみ

東京のとある街で小料理屋を経営しています。 昔の食文化や郷土料理に興味があり、当時の料…

にっぽん味ごよみ

東京のとある街で小料理屋を経営しています。 昔の食文化や郷土料理に興味があり、当時の料理に思いを馳せて本を読むのが好きです。 自分で書くのは全く初めてですが、美味しい日本の食文化を伝えてゆきたいと思っています。

最近の記事

鱈の白子の下処理

冬到来! 秋の食材と入れ替わるように、鱈や白子や牡蠣、あんこうや肝、カニなど、鍋に欠かせない魚介が美味しくなってくる時期になりました。 飲食店もこれから暮れに向けて忙しくなってくるし、私も健康管理に気を付けて乗り切ろうと思ってます。 今お店で出しているメニューの中で一番人気は、鱈の白子です。 家だとなかなか食べないからね~と皆さんおっしゃいます。 お店で売っていても自宅で調理するのも下処理が難しそうだし、面倒だし…やはりお店で食べようという方が多いのでしょうか。 お鍋に入

    • 【小説の料理を再現】イワシのなめろう/下鴨料亭味くらべ帖

      ここ数年は食やグルメ系の小説や漫画がとても多いですよね。人気になるとドラマ化されたりして、夜中に観ていると急にお腹がすいてきたり… 話の中に出てくる料理を再現して作っている方がSNSで発信している記事も楽しくてつい読んでしまいます。 仕事柄、料理の雑誌ばかり読んでいた私ですが、【みをつくし料理帖】に出会ったのをきっかけに、いろいろな食系の小説なども読むようになりました。特に時代小説に出てくる食べ物など、和食屋の私には興味が湧きます。 さて、最近読み始めた「下鴨料亭味くら

      • 黒枝豆の炊き込みごはん 

        黒枝豆は、夏のフレッシュな枝豆とは味と食感も異なる秋の枝豆です。 お正月用の黒豆を色づく前に収穫したものですが、とにかく粒が大きくてしっかりした豆の旨味があります。 兵庫県の丹波地方が有名ですね。昔から栗や豆などを育てるために粘土質の豊かな栄養が作物に影響しているそうです。 丹波栗なんかも大きくて立派ですよね。 今日は黒大豆を主役にして、五目炊き込みご飯を作ります。たっぷり2人分の量です。 米1合   ご飯の炊き汁:水170cc/醤油15cc/酒15cc  黒枝豆150g

        • 子持ち鮎も終わりの季節

          夏のイメージが強い鮎ですが、食べられる時期は一年を通じて意外と長かったりします。  4月から5月に出回る稚鮎(ちあゆ)は8センチほどの大きさで、骨も柔らかいので揚げれば丸ごと食べれます。市場に並ぶようになると、あ~もう夏かと一年の早さを感じるようになります。 初夏からはいよいよ成魚が出回る季節。 スーパーなどで気軽に手に入る鮎はたいてい養殖のものですが、鮎特有のスイカの香りはしっかりとあるし脂ものっていて美味しい。 もし天然ものと並べてあったらむろんそちらに手が伸びると思い

        鱈の白子の下処理

          江戸の庶民はふわふわが好き?

          江戸の料理書の中でよく登場する【しんじょう】。 柔らかいはんぺんのような食感で、日本料理の【椀物】では主役の椀種としても使われます。 歴史を遡ると1690年(江戸中期)に書かれた料理書【茶湯献立指南 ちゃのゆこんだてしなん】 には、魚のすり身に山の芋をすりまぜて形どり、茹でたり蒸したり揚げたりしたものとして、しんじょうの歴史の中では最も古い文献として紹介されているようです。 江戸料理研究家の松下幸子さんの本を読んでいたら急に作りたくたったので、今日は1764年に発刊された

          江戸の庶民はふわふわが好き?