白髪GG

1か月間で文庫本12冊読了がノルマ。毎年約2,000km以上走ってます。演劇も好きで年間30~50作品観劇。好きな音楽は20世紀アイドル/泡沫アイドル/安室奈美恵/X/ROXYMUSIC/水谷麻里/南野陽子/田中陽子/マルシア。 twitter:@dj_silverhair

白髪GG

1か月間で文庫本12冊読了がノルマ。毎年約2,000km以上走ってます。演劇も好きで年間30~50作品観劇。好きな音楽は20世紀アイドル/泡沫アイドル/安室奈美恵/X/ROXYMUSIC/水谷麻里/南野陽子/田中陽子/マルシア。 twitter:@dj_silverhair

    最近の記事

    ドーン:平野啓一郎:過剰がクセになる超大作

    「ドーン」(111/2022年) 「分人(デイヴイジユアル)」という概念はとりあえず置いておいて… 有人火星探査プロジェクトと、アメリカ合衆国大統領選挙という実に大きな2つのテーマを一気に書き上げた超大作といってよいでしょう。重めの読書を堪能しました。文庫で600頁越えです、今までならば手にずっしりきたのでしょうが、kindleなのでそれは無いのが残念です。でも、それはそれ、作品はある意味エンタテインメントしてました。 そもそも宇宙系は基本エンタテインメントですよね、行く

      • 睦月童:西條奈加:ラストシーンに震えてください

        「睦月童」(110/2022年) 江戸モノのファンタジーです。で、思ったよりスケールが大きいので驚きました。山の中から連れて来られた座敷童を中心に市井に転がる種々雑多な人情噺が繰り広げられるのかと思いきや、なんと、大変な展開ですよ。 酒問屋のどうしようもない跡取り息子、央介をどうにか更生させるために、親がとった手段が、なんと、あの座敷童をとある東北の村から江戸の自分の家に連れてくることだった。ってところからぶっ飛んでいるのですが、名前はイオといいます。イオは特殊技能、「人

        • いけない:道尾秀介:紙の本ならではの素晴らしい読書体験、しかしPR文に異議あり。

          「いけない」(109/2022年) 最後の写真にたどり着く。そこから二周目がスタート、頁をめくって前に戻り読み返す、そして更に気になる部分が出て来て、前に後ろに、真相の糸口を探して文字を、文章を見直す。ちょっと前かな、いやもっと前かも。少し前の読書の記憶をたどりながら、紙という物質を触りながら、読書を楽しむ。 4つの連作集。各章、最後に一枚の写真(画像)があって、それで締め。以下がPR文章だけど、僕はちょっと納得がいかない。 ここ最近の「ドンデン返し」至上主義にノルため

          • ヴァイス 麻布警察署刑事課潜入捜査:深見真:真の善人、悪人は面白いが、偽善者、チンピラはウザイだけ

            「ヴァイス 麻布警察署刑事課潜入捜査」(108/2022年) 久しぶりに素敵な悪な主人公に出会いました。酷いね、彼、悪いね、非常に、でも面白い、実にかっこいい。突き抜けた悪には爽快感が伴います。 麻布警察署、仙石が主人公。彼の業務は事件を解決してもみ消すこと。司法に委ねる前に処理すること。警察官が「本気」で「真剣」に悪いことをしようと思えば、この位のことが出来そうな気がするクライム・ファンタジー的なノリがやばい。 薬物事件なんかは余裕、殺人事件だって無かったことにしてし

            QED 河童伝説:高田崇史:最早、旅も不要なのかなぁ?

            「QED 河童伝説」(107/2022年) 今回はちょ~っとミステリ要素が多かったかも、殺害方法に関して、いつもより色々な問題があったりして。あと病院と製薬会社との関係とかさらり社会派テイストを入れ込んでありました。あの取り扱いが面倒くさいサブキャラ2名も継続出演したり、前作の登場人物が殺されたり、シリーズ感も出してきてます。でも、このシリーズなんで、そこはあくまでも余興で。そこは華麗にスルーして、河童ですよ、河童。 相馬野馬追祭を見ながら、岩手県遠野から帰ってきた男と一

            二人道成寺:近藤史恵:こういうの読んじゃうと歌舞伎に行きたくなってしまうじゃないか!

            「二人道成寺」(106/2022年) 歌舞伎の世界を舞台にしたミステリ、という紹介になっているかと思いますが、これは間違い。素晴らしき歌舞伎の世界を表現するために、ミステリという手法を選んだミステリ系梨園小説、でしょ。著者あとがきを読んで、こんなにも歌舞伎愛に溢れていることを知りました。勝手に「自転車の人」と思っていたことを、申し訳ありませんでした。 「探偵今泉シリーズ」の第5弾です。まあ、探偵が出てきますが、そこはあくまでもサブ的要素だと思って、それよりも歌舞伎という演

            夢を与える:綿矢りさ:なぜかダークじゃないのはなぜだろう

            「夢を与える」(105/2022年) 綿矢が子役、芸能モノを書くと、こうなるのか。重いようで、軽いようで、やっぱり重い。2006年作品か、ドラマ化もされている。キャステイング、ハマり過ぎですね。 主人公夕子はクオーター、幼児モデルからスタート。6歳でCMに大抜擢。その後、高校1年生の時のとある案件をきかっけに大ブレイク。しかし、闇に飲み込まれ、スキャンダルで二十歳を前に事実上の引退に追い込まれる。 ダークな物語なんだけど、どこか柔らかさを感じる。もっともっと悲惨になってもお

            バードドッグ:木内一裕:ヤクザだねぇ

            「バードドッグ」(104/2022年) 元ヤクザ探偵、矢能シリーズの第3弾です。「水の中の犬」「アウト&アウト」「バードドッグ」、そして「ドッグレース」「ブラックガード」と連なる激エンタテインメントです。 普通の探偵じゃありません。元ヤクザですから通常ルールとは異なった方法で事件を解決していきます。その前提条件が楽しめない人は読まない方が良いと思いますが、読んだ方が良いと思いますよ。 今回は現役のヤクザからの仕事依頼で物語が始まります。幹部の一人が連絡が取れなくなった。探

            【番外編】ゲーム・オブ・スローンズ:全73話:HBO(ちょいネタバレ)

            「ゲーム・オブ・スローンズ」 生まれて初めて見る連続「大作」海外ドラマです、「ゲーム・オブ・スローンズ(GOT)」。あの「24」ですら未見でした、もちろん「イカゲーム」も見ていません。一気に見ることが出来るので逆に避けていました。でも、GOTくらい長ければ生物的に一気に見ることが無理だろうと思い、またどうせ見るならば有名な作品をという気持ちもありました。 長かった、73話。私が取った視聴方法は少し変わっているかもしれません。週に2,3回行くスポーツジムでのトレッドミルをや

            QED~ventus~ 御霊将門:高田崇史:我らがヒーロー

            「QED~ventus~ 御霊将門」(103/2022年) やっぱり将門は東軍(フォッサマグナの東側の日本のこと)のヒーローですね。京都の奴等に負けない男、将門は東日本を守ってくれています、1000年以上経った今も、間違いなく。という気持ちにさせてくれる作品です。 このところのQEDシリーズは神様寄りの話が続いたので、こうやってイメージが湧きやすい人物がテーマだと嬉しくなってしまいます。歴史の教科書に載っている人物の力って凄いですね。あと首塚は何回か行ったこともあるし、靖国

            カエルの楽園:百田尚樹:筆力、圧倒的

            「カエルの楽園」(102/2022年) 2016年発表ですか、まあ問題作。 凄いのが、カエルが主役の寓話なのに、この分量の作品で緩みがないこと。この筆力は圧倒的。ストーリーが圧倒的に完成しているからこそ読み通せるんですよね。百田の作家としてのパワー、感じます。登場人物の緻密な心理描写とか、恋愛模様とか、人間世界ではないので書き込めないじゃないですか。なのに飽きない、物語の強さです。 ご存知の通り、非常に政治的な話です。憲法第9条によって「軍隊」を持つことが出来ない日本のこ

            善人長屋:西條奈加:設定の勝利

            「善人長屋」(101/2022年) この設定、素晴らしい。 江戸モノというそもそもの設定を最大限活かした本作品、最近NHKでドラマにもなっています。主な登場人物である通称「善人長屋」の住人全員が犯罪者なんです。表の合法的な仕事をしっかりしつつ、裏の稼業もバッチリこなす優秀な町民軍団が集う長屋に、ある日、手違いで超真面目で真の善人である男、加助転がり込んできたことから物語は始まります。 裏がバレないように注意して行動しているから、自然といい人たちになってしまっているだけの長

            絵里奈の消滅:香納諒一:後味、悪くていいね。

            「絵里奈の消滅」(100/2022年) 後味、悪くていいね。所謂「イヤミス(この言葉、好きじゃないけど便宜上利用させていただきます)」とは異なる嫌な感じ。昔の単語で言えば「ほろ苦い」とかになるのかな、ハードボイルド的な。ラスト一行で、シニカルな笑いを残して去っていく感じ。全体を通して、俯瞰して見れば、良い事は皆無だったのに、最後に笑い。いいね。 私立探偵ものです。主人公は元刑事の鬼塚。ハードボイルド要素を重視している作品なので、鬼塚は超絶的なスキルで案件を処理していきます

            QED 神器封殺:高田崇史:美しき日本地図と頼もしき新キャラ

            「QED 神器封殺」(99/2022年) まさかの新キャラ登場、御名形史紋さん。主人公のタタルさんのおかげで、御名形さんが非常に頼もしく感じます、ユーモアもあるし、人と人とのコミュニケーションにも配慮しているし、御名形さんにはタタルさんを一度「叩きのめして」ほしい感じです(笑)。変人も、一人だと暴走が痛々しいだけですが、二人いるとそれなりにラリーが続いて見ている方も安心しますね。 さて、前回の熊野の旅の続きなんです、舞台を和歌山に移して。そして殺人事件も連続してちゃんと起

            見た目レシピいかがですか?:椰月美智子:見た目、重要、以上。

            「見た目レシピいかがですか?」(98/2022年) もう少し良きタイトルは無かったのかなぁ。適当な「軽さ」はいいんだけど、レシピという単語がしっくりこない。服装、髪型、メイクなどの見た目に関して、その人にあったモノを提案するイメージコンサルタントが活躍する物語です。テーマ自体の根は深いのですが、それほど深刻な案件は登場しないのですが、レシピじゃないよな~と悶々としております。 4つの短編で構成されています。「純代の場合」、娘からダサいといわれたお母さんがイメージコンサルタ

            祝葬:久坂部羊:死って、何だ?

            「祝葬」(97/2022年) 数代に渡る医者の一族。共通するのはみんな早死に、60歳まで生きられない男ばかり。 命を救うこと、生を伸ばすことが仕事と思われている医者という立場から見る生命は、大事な仕事の糧、金儲けの素でもある。そういう視点がきっちり書き込まれているので、本作品は残酷であり、シビアである、そして笑える。 生きてどうする。5つの短編が問いかける。 「祝葬」は「真令子」「ミンナ死ヌノダ」「希望の御旗」、ここまでが現代社会の死に対する向き合い方をブラックに描いてい