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絵里奈の消滅:香納諒一:後味、悪くていいね。

「絵里奈の消滅」(100/2022年)

後味、悪くていいね。所謂「イヤミス(この言葉、好きじゃないけど便宜上利用させていただきます)」とは異なる嫌な感じ。昔の単語で言えば「ほろ苦い」とかになるのかな、ハードボイルド的な。ラスト一行で、シニカルな笑いを残して去っていく感じ。全体を通して、俯瞰して見れば、良い事は皆無だったのに、最後に笑い。いいね。

私立探偵ものです。主人公は元刑事の鬼塚。ハードボイルド要素を重視している作品なので、鬼塚は超絶的なスキルで案件を処理していきます。それをご都合主義と否定するも、エンタメ重視と容認するも、読者次第です。

刑事時代に逮捕した男が水死体で発見された。男は鬼塚に娘、絵里奈の居場所を探して欲しいと依頼をしたかったらしいが、それが伝わる前に死んでいた。で、ここからがハードボイルド、鬼塚は依頼されていない、金にならない娘探しを初めてしまう。
絵里奈の幼馴染が自殺していたり、絵里奈は偽名を使っていたり、調べれば調べるほど不可解な事実が積みあがっていき、絵里奈を見つけるも、更に事情は混線していく。
でも、安心してください。ちゃんと解決します、事件というか事柄としては。でも、当事者たちにとっては、なんというか、最悪の事態は免れたが、最悪に近いところのままの状態は変わらず、というか、事件は今はじまり、これから解決しなくてはいけないことだらけ、といった感じ。

後味は悪い。鬼塚、どうするのさ。

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