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見た目レシピいかがですか?:椰月美智子:見た目、重要、以上。

「見た目レシピいかがですか?」(98/2022年)

もう少し良きタイトルは無かったのかなぁ。適当な「軽さ」はいいんだけど、レシピという単語がしっくりこない。服装、髪型、メイクなどの見た目に関して、その人にあったモノを提案するイメージコンサルタントが活躍する物語です。テーマ自体の根は深いのですが、それほど深刻な案件は登場しないのですが、レシピじゃないよな~と悶々としております。

4つの短編で構成されています。「純代の場合」、娘からダサいといわれたお母さんがイメージコンサルタント、繭子さんのアドバイスによって「見た目」を変えることで、中身も変わっていく。
「あかねの場合」、不倫相手の私服がかっこ悪いのを繭子に修正してもらっていい感じだったんだけど、ふとした弾みに全てが壊れていく笑い話。 
「美波の場合」、見た目によって相手の接し方が劇的に変化し、それに伴い自分も変化していく。ただ、その変化は良い面も悪い面も両方あって、最終的に彼女の選択は。
「繭子の事情」、主人公がなぜ今に至り、そしてこれから、大いなる壁に向かって闘いを挑もうとしている姿を描く。

見た目は本当に大事です。中身は見た目、見た目は中身、表裏一体。気分を変えたい時に服装、髪型をイメージチェンジするのは良くあること。なのに見た目を注意しない人が多すぎる。見た目で自分をコントロールすれば良いのに、それに気が付いていない。

そして、本作品最大のポイント。自分の好きな「見た目」が良いわけではないということ。もちろん、好きならばいいじゃん、という考えも否定はしないけど、本当にそれで物事が良い方向に進むかどうかは疑わしい。自分で好き勝手やるんだから、自己責任で不幸になっても良いんです!ということで本当に人間は正しく生きることが出来るのだろうか?
これは全てにあてはまることだと思いました。自分の意見、気持ち、意志は大事、無いとフラフラして生きずらい、でも、他人の意見も聞かないとダメ。そして、自分を自分で冷静に見つめる力も大切。

そうだよ、大切なことはたくさんあるんだよな。

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