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ひとりでビールを飲んだ話

今日聞いたところによると、コロナに罹患し隔離生活をスタートさせると、途端に性欲がなくなるらしい。

言われてみると確かにここ数日、性欲を全く感じない。

というか、性欲以外の欲求たちも、割とプレゼンスを失っている。冷蔵庫にあるものをテキトーに食べれば満たされる程度の食欲しかないし、昼間に眠くなることも全くない。私にしては珍しいほどオンラインショッピングもしていないから、物欲も影を潜めているようだ。なんなら外に遊びに行きたいとも思わないし、早く誰かに会いたいとも一切思わなくなった。

ひとりの生活がだんだん心地よくなってきている。

何かが削ぎ落されている。自粛生活を手中に収めつつある。
昨日まで感じていたはずのしんどさが、少しずつ前進の種に変化を遂げようとしているんだと思う。図らずもコロナ菌は、私を着実にどこかへ連れて行ってくれている。

なんなら、このままずっと隔離していたい。。


そんな話を親友にしていたら

「ひとりでしか辿り着けないところって結構ある。」

と。


いいなそのセリフ、と思いながら、ふと思い出した大好きな本を紹介します。

孤独を連れて行こう、誠実に、けっして裏切らない孤独を、そうすれば北へ走る高速道路でヒッチハイクするイエス・キリストだってひろえるだろう――――意味はぼくにもまだよくわからない。でも、それでいいんだよ。理解されないことを恐れていたら、きっとどこへも行けないから

隔離明けもすでに予定が詰まっている。会社の飲み会で幹事を務めなくてはいけないし、友人とのホームパティ―ではもつ鍋を振る舞う予定だ。キャンプへ行くための買い物にも時間を割く必要がある。ジムやネイルも再開しないと、あっという間にお尻は垂れ下がり、爪は割れてしまう。

有難いことに私の生活は生々しいことで溢れている。セックスをしたり、お歳暮を贈ったり、ビールジョッキで乾杯をしたり、カラオケで手拍子をしたり、焚火に薪をくべながら語り合うようなことで。

だからこそ、もう少しだけ生々しいことから身を隠して、辿り着けるところまで行きたいなと思っている。


なんだか無性に酒が飲みたくなった。

久々にひとりで缶ビールを飲もうと思う。



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