【10月のAudible読書メモ②】
『今日も一日きみを見てた』角田光代
猫愛溢れるエッセイ。猫を飼っている方なら、きっとずっと共感しながら読むのだろうと想像しながら、読み進めた。楽しかった。猫を飼う疑似体験をさせてもらっているかのような気持ちになった。擬音語・擬態語の使い方がとてもよくて、じんわり、ほっこりする。もふもふの毛のやわらかさや匂い、鳴き声まで知った気持ちになる。
ボーナストラックに入っている短編小説『任務十八年』に泣いてしまった。
『ピアノマン 『BLUE GIANT』雪祈の物語:』南波永人
漫画も映画もあることは知っていたが、この小説から読み始めた。衝撃的だった。「ワン、ツー、 ワン、ツー」とカウントを取ったあと必ず頭の中で音楽が、ジャズが流れてくる。文字でしか表現されていないのに、テンポや音のうねり、音楽のすべてが言葉で表現されている。同じ空間でジャズを聴いたように、耳にもお腹にも全身で音を感じることができた。雪祈のジャズへの向き合い方、仲間を思う気持ちに途中何度も鼻の奥がツンとなり、のどがぎゅっと狭められた。読み終わると小説を読んだというよりも、映画を観終わったあとのような感動が残った。
『流 上』『流 下』東山彰良
もっと重苦しい話なのかと思っていたが、前半は爆笑シーンが多くてびっくりした。続きが気になりすぎて、買い忘れた食材をわざわざ遠くのスーパーに買いに行き、往復の時間を使ってAudibleのために時間を使ったほどだ。
心情や情景の描写が素晴らしく、思わず「上手い」「すごい」と声をあげながら読んだ。メモを取りたくなる表現がそこここにある。ミステリーの要素もあるが、子どもの頃に親戚が集まると毎度同じ話を聞かされる場面を思い出すような、そんな懐かしさがあったり、一方で戦争をテーマに凄惨さに胸を締め付けられたり、青春の甘酸っぱさがあったりでジャンルを特定するのが難しい、だけど読んでよかったと思う本だった。
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また、次のnoteでお会いしましょう。