彼女の中に自分を見る。

彼女の中に自分を見る。

気分が明るくなるような作品を読めばよいものを、なぜか自然と手が伸びてしまうのは、一歩踏み外すと心底気が滅入ってしまうような作品なのである。 角田光代さんの『紙の月』を読んでから数日間、わたしは重たい気持ちを引きずっていた。生活に支障が出るほどの落ち込みではなかったが、ことあるごとに梅澤梨花のことを考えてしまう。彼女は自身が働く銀行から一億円を横領した容疑者で、しかしどこにでもいる”普通の”女性だ。 彼女のことを考えずにいられなかったのは、横領した金額が一億円という巨額なも

スキ
2
「小説 野性時代」10月号発売!
+2

「小説 野性時代」10月号発売!

赤川次郎の新連載スタート! 最新刊『民王 シベリアの陰謀』刊行を記念して特集【池井戸 潤「民王」の世界】を掲載。 今勢いのある小説を集めた文芸誌「小説 野性時代」10月号お見逃しなく。 ※画像をタップすると詳細ページへとびます。 ◆ニュース①【最新刊『民王 シベリアの陰謀』刊行記念】 特集 池井戸 潤「民王」の世界  刊行記念インタビューや、書評など「民王」の世界がわかる特集を掲載! ②【新連載】 〇赤川次郎「余白の迷路」 住宅街で起きたホームレス殺人事件。 赤川次郎が

スキ
1
【連載】明日も一日きみを見てる 第6回 | 角田光代
+9

【連載】明日も一日きみを見てる 第6回 | 角田光代

「小説 野性時代」で連載中の大人気エッセイをnoteでも特別公開! 毎月22日(にゃんにゃんの日)に更新予定です。お楽しみに! ◀第5回へ 角田家の庭で出くわした、とらちゃんとサバトラ猫。 これはけんかになる、と慌てて飛び出した角田さんでしたが、 そこから想像もしなかった大事件が起きて……。 第6回 鉢合わせと最大事件 (前編)  私の人生においても、トトの猫生にとっても、最大となるだろう事件が起きたのは、引っ越してから一年と少し過ぎたころである。  家の外でよく見か

スキ
73
対岸の彼女を読んで。

対岸の彼女を読んで。

私たちは周りの人と関わりながら生きている。 なんとなく人付き合いが億劫になることや1人でいることが気楽に感じる瞬間もある。それでも人の温もりが恋しくなったりする。 人生に別れや終わりはつきもので同じ相手と同じ関係がいつまでも続くとは限らない。 『対岸の彼女』を読み終わった後に自分自身が高校の卒業式でバカみたいに泣いたことを思い出した。 大好きなクラスメイトや一緒に3年間命懸けで部活に取り組んできた仲間たちと離れることが悲しくて苦しくて仕方なかった。それで、これでもかという

スキ
3
『坂の途中の家』

『坂の途中の家』

前回あげた、この本がやばくて! 「私ってダメな母親すぎる…」 と思ったことのある人に、読んでほしいような、読むとよけいしんどくなるような… 主人公ぜんぜん好きじゃないし、 読んでて明るい気持ちになれる本じゃないのだけど、 なぜか一気読みしてしまいました。 一言でいうと、 「角田さん、すごいな…」 です。 調べた範囲では、角田さん、お子さんいらっしゃらないような感じなんですが。 なんかリアルなんですよ、イヤイヤ期の子どもの様子とか、パパとのやりとりと

スキ
6
ラン気分を高めてくれた本
+1

ラン気分を高めてくれた本

12日目 暑さにくじけそうだけど今日も暑いなあ 昨日とほとんど変わらない気温だなあ 朝からテンション低く、天気アプリを眺める。 でも、走ろう せっかく始めたんだから と、靴をはく。 走り始めから、ふくらはぎがやや張ってる気が。 特に痛くはならず、無事、11週。今日は1.3キロ。 帰宅して、カレンダーにスタンプ押して、くじけずよかったとほっとする。 この走ろうの気持ちを起こせたのは、なんでだろな? 好きな作家の書いたもの走り始めるずいぶん前から読んでいた本と、走

スキ
3
コロナ禍とクーデターのなかで実現した翻訳コンテスト
+5

コロナ禍とクーデターのなかで実現した翻訳コンテスト

2019年から日本の作家さんをエスコートしてミャンマーを訪れるようになりました。国際交流基金ヤンゴン日本文化センターさんのご尽力により、毎年ヤンゴンで開催される文学交流イベントに招待していただけることになったのです。私はそれまでシンガポールやロンドン、イタリアを含むさまざまな国に作家の方々と訪問(あるいは旅)してきましたが、ミャンマーは初めてのことでしたので、2019年に田口ランディさんとヤンゴンでイベントに参加した際は本当に興奮しました。 国際交流基金ヤンゴンオフィス前で

スキ
6
そういえばミャンマー。
+3

そういえばミャンマー。

最近読んだ本の著者がとにかく旅エッセイを書いている。そうか、物書きってのは旅をするのか。それとも、旅人は物書きでもあるのか?そんな疑問を持ちながら今日も旅エッセイを読んでいます。 角田光代さんの『いつも旅のなか』(角川文庫)を読み終えました。 きっかけは『対岸の彼女』を読み終え、角田光代さんの他の本も読んでみたいと思ったから。旅エッセイを読むんだ!と言うつもりはなかったんです。でも、読み始めたらアッという間!面白すぎて読み終えてしまいました。 角田光代さんって『対岸の彼

スキ
25
電子書籍で本を読むメリット・デメリットに気付く
+2

電子書籍で本を読むメリット・デメリットに気付く

こんにちわ。映画監督の堂ノ本です。最近、映画制作の取材のためにいろんな本を読んでいます。盲目の主人公、ブラインドボクシングという視覚障害者のスポーツを扱う、ということで、本を買い漁っています。 「本を探すなら、まずは本屋さん」 私のようなデジタルネイティブ世代であっても、この考え方は変わりません。 ただ、本屋さんというのは意外と不便なものです。そもそも、目当ての本を探すのに苦労する上に、私の住む奈良県のような「イオンモール」に支配された街では、その大型店舗になければ、だ

スキ
42
校閲ガール

校閲ガール

宮木あや子さん著書の「  校閲ガール  」読了しました〜 宮木あや子さんの作品は2つ目! 最近は色々あり心労が絶えず、読書どころではありませんでした。なので久々の読書です。 最初はドラマ化されてたしおもしろいのかな〜と軽い気持ちで読み始めたんですが、冒頭全然おもしろくない。 おもしろくなってきて、またおもしろくなくなって、またおもしろくなって、気付いたらのめり込むようになって読み切ってました。 この本を読んで校閲ってお仕事に興味を持ったのですが、解説の角田光代さんが仰

スキ
8