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『流』 東山 彰良 著

ストーリー
一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で?無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。

amazonより

祖父の謎の死。屈強な祖父を誰が殺したのか?
と、謎に迫るミステリのように書かれているが、これは青春小説。

若いがゆえに暴走していく若者。プライドのために戦いながらも自分の中にある恐れを感じながら喧嘩をする。そんな心情が鮮やかに描かれている。

戦争時代にあった理不尽な殺し合いや仲間との絆。
現在と過去が絡み合い複雑な流れに巻き込まれていき逃れられないカルマに絡め取られ翻弄される。

もちろん時代もあるんだろうが、この主人公のように熱い人生を送ってこなかったな〜と思う。
誰にも派手には反抗せず、基本的には嫌われないように憎まれないようにしてきたように思う。

自分の心に正直に突き進みながら、それで起こる喧嘩や親からの体罰も了解した上で行う強さを感じる。
ここまで行かないにしても見習いたい。

読後、熱くなる。優しさ、人の儚さも感じる。

第153回直木賞受賞

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