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2019年あたりから読書が趣味に。アウトプットできる場があるといいなと思い始めました!…

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2019年あたりから読書が趣味に。アウトプットできる場があるといいなと思い始めました! 趣味なので、温かく見守っていただけると嬉しいです。 おすすめの本なども教えていただけると喜び舞う。

最近の記事

日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-/森下典子

これは小説ではなくエッセイだそうだ。祖母がお茶をやっていたということからタイトルに惹かれて手に取ってみた。 お茶の世界は未知で、お金持ち、お嬢様の趣味という言う程度のイメージだった。 森下さんのエッセイを通じて、お茶は様々な複雑な手順を追っていくうちに「今この瞬間に集中する」という言わばマインドフルネスのようなものなのだと感じた。 飾ってある掛け軸。活けてある花。出される和菓子。茶室で流れる時間。ただただそこにあるだけで見逃してしまうことが多いが、意味が分かると面白くな

    • カツラ美容室別室/山崎ナオコーラ

      遅ればせながら、山崎ナオコーラさんの虜になり、読み漁っている最中である。 今回はカツラ美容室別室を読んだ。はじめの1文を読んだだけで、あ。この物語、好きだと思った。 「桂美容室別室」の店長である桂孝蔵や、働いているスタッフ桃井さんとエリ、お客さんである淳之介と梅田さん。登場人物全員のことが好きになった。 登場人物の見た目や性格、それぞれの場面である建物や街並み、背景を山崎ナオコーラさんがとても丁寧に描写されているので、みんなと一緒に時が流れるのを感じ取ることができる。日

      • イノセント・デイズ/早見和真

        出会ってしまった。私の人生においてこの作品はずっと心のどこかにあり続けるだろう。 読み始めたときは、家庭環境や友人、社会に恵まれない女性が元恋人を恨み事件を起こした。その女性の過去を綴っていく作品なんだなと思っていた。 裁判で死刑の判決を言い渡された内容が章になっており、その時関わった人物から当時の幸乃がどういう子供だったのか、家庭だったのか、性格だったのかが語られる。 ニュースで犯人の写真を観ると人はよく「犯罪起こしそうな顔だよね」という。しかし、それは犯罪を起こした

        • 劇場/又吉直樹

          昨年、映画化されて話題の作品。又吉さんの作品を読んだのは実はこれが初めて。 恋愛小説と呼ばれる部類となるのだろうか。永田と沙希の数年間にわたる生活を永田目線で語られている。永田のクズっぷりに半ば呆れ笑いをしてしまっていた。素直という言葉はポジティブでもあり、ネガティブでもある。そして、素直さと強情がこんなにも入交りやっかいになっている人が作品ではこんなに愛おしく感じるのかと感動も覚えた。 ありのままの永田を好きだからこそ、沙希が永田に求めるものが永田自身を変えてしまう怖さ

        日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-/森下典子

          ユートピア/湊かなえ

          湊かなえさんを知ったのは「告白」だった。作品に触れたのは映画が先だった。友人についていったので、前情報なしで告白を見たのだが、当時の衝撃は今でも覚えている。無自覚にハッピーエンドを好んで選んでいた自分を強く自覚したのも覚えている。 今回はユートピアを読んだ。湊さんの作品を読む前はいつも自分がどんな感情になるのかいつもドキドキしてしまう。決して共感したいとも、進んで読みたいとも思わないと思っているはずなのに、どうしても手にとってしまうし、どこかで共感してしまう自分がいる。怖い

          ユートピア/湊かなえ

          私にふさわしいホテル/柚木麻子

          小説家になりたい加代子が才能がありながらも、中々芽がでない。そんな加代子が紆余曲折あって売れっ子になるサクセスストーリー。そんな単純な説明では終わらせられないのが、この作品、いや、柚木麻衣子さんである。 予想外というのか奇想天外な加代子に振り回されていく周りの人達。なんだか、なりふり構わず、自分の夢を追いかけ、叶えるために手段は選らばない。そんな加代子のパワフルさや執念に笑わしてもらいながらあっという間に読み切ってしまった。 実在する小説家やモデルとなった賞や場所がわかる

          私にふさわしいホテル/柚木麻子

          派遣社員あすみの家計簿/青木祐子

          幸せって何だろう。 20代の時に幸せをバロメーターであらわすためには、有名な企業に就職、良い男と付き合う、ブランド品を身に着ける、女としてチヤホヤされる。そんなことにすがりながら幸せをアピールしたい。でも一体誰に? 自分が何も持っていないのではという不安から焦り、何かを持っている人と関係があることで自分の価値を求めてしまう。そんな主人公あすみが寿退社した直後に婚約者に逃げられ、どん底から這い上がっていく物語。 名前を言えばだれもが知っている会社に勤めているものの、仕事内

          派遣社員あすみの家計簿/青木祐子

          そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ

          本屋大賞にも選ばれていいて、ありとあらゆる本屋に平積みされているのを数年前に見ていた。読みたい、読みたいと思いつつ機会がなかったのだが、今回は巡り会った。 瀬尾さんの作品を読むのはこの作品が初めて。まず、驚かされたのはストーリー設定。父が2人、母が3人という異色の設定にも関わらず、なぜかすんなりと受け入れてしまうのは瀬尾さんの巧みな語り口と登場人物の嫌味のなさからくるのかな。 私は個人的に森宮さんが大好きだ。自分が変わり者と自覚していなくちょっぴりズレている彼の発想や主人

          そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ

          ツナグ/辻村深月

          最近、学生時代に購入した小説を再読することが多い。 本屋にふらりと寄ったときに辻村さんの作品を見て、「ツナグ」を思い出して今回もうん年ぶりに再読してみた。 辻村さんの作品は「ツナグ」以外に読んだことがないので、ぜひおすすめを教えて欲しい。 さて、物語は一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」のもとに依頼をする人たちと「使者」の役割を受け継ぐ家系とのお話。 依頼人であるOL、おじさん、サラリーマン、高校生など。それぞれいろんな事情があるり、すべ

          ツナグ/辻村深月

          ラン/森絵都

          森絵都さんの物語は学生時代によく読んでいた。たしか「カラフル」が私にとって初めての森絵都さんの作品だった。 物語は大体のあらすじしか覚えていないけれども、感想だけは今も覚えている。もっと早くこの本に出合っていれば...中学時代に出会いたかったと。 「ラン」も学生時代に読んだ後ずっと自宅の本棚にあったのを、久々に手に取ってみた。再読すると学生時代とはまた違う感覚になった。 昔から死に対して不安があった私にとって、死後の世界がこんな感じだったらいいなと思えた。溶けてなくなっ

          ラン/森絵都

          神去なあなあ日常/三浦しをん

          今回は三浦しをんさんの「神去なあなあ日常」を読み終えた。いつも三浦さん(やその他の作家さんもだが)の博識さに驚かされる。 読み始めたときは18歳の夢もやりたいこともない少年が夢を見つけるサクセスストーリーと思いきや、林業や昔からの言い伝え、現代では見過ごされがちな日本に伝わる神秘まで奥の深いストーリーで一気に読み上げた。 三浦しをんさんの作品に出てくる登場人物はとても人間らしさを感じる。人間らしさというよりは人間臭さの方が近いかな?読んでいると、あぁ!こういう人いるよねと

          神去なあなあ日常/三浦しをん

          ありふれた愛じゃない/村山由佳

          堅実な年下の彼とワイルドで危ない匂いがするけど猛烈に惹かれてしまう元彼。 20代後半から30代になると誰しもふと考えてしまうのではないか。このままあれふれた人生を歩んでいってもいいのか。若い頃は少年すぎる刺激のある彼氏に安定を求め、歳を重ねる毎に刺激を求めてしまう。周りからの評判も良く、会社でも信頼されている、豪華な生活はできなくてもお金に困ることはなさそう。彼といると落ち着くし、安心する。彼と結婚して、子供ができて、家を建てて。そんな未来が安易に想像できてしまう事に安心感

          ありふれた愛じゃない/村山由佳

          窓の魚/西加奈子

          西加奈子さんは天才なのか変態なのか。 西加奈子さんの小説を読むといつもこの疑問が浮かぶ。 今回読み終えた「窓の魚」の文庫本のウラスジに新たな恋愛小説の臨界点と紹介されているが、私からすると変態と天才の臨界点である。(褒め言葉) 読み終えた直後の感想は「ハッとした」である。季節にちなんだ名前の2組のカップルが温泉旅行に行き、旅館での出来事をそれぞれの視点で語られていく。それぞれの視線で語られることで、かけられた言葉や行動のちょっとした解釈の違いがあり、決して交わることがな

          窓の魚/西加奈子

          ロマンシェ/原田マハ

          恥ずかしながら、原田マハさんの作品と出会ったのはここ数か月のことである。 たまたま図書館で本を適当に探していた時に表紙の絵にひかれて借りたらそのままハマった。 今回はロマンシェを読了。読み終わった後の正直な感想。ミシェル、ハルさんを抱きしめたい!というか登場人物全員抱きしめたい。何でみんなこんなに愛くるしいのか!!美智之輔の軽快な語り口調にテンポよく展開されるストーリー、風を感じそうなほど勢いのあるこの小説に影響され、思わずあー!好きと叫びたくなりながら読み終えた。 小

          ロマンシェ/原田マハ

          反人生/山崎ナオコーラ

          山崎ナオコーラという強烈な著者名だけで、面白くないわけがないと思えてしまう魔力。すばらしきかな。 山崎ナオコーラさんを知ったのは「人のセックスを笑うな」だった。確か、文庫版の解説?か何かに「人のセックスを笑うな/山崎ナオコーラ」というだけで今年の文藝賞はこれが受賞作だなと思ったみたいなことが書いてあった。それだけでやっぱり山崎ナオコーラはパワーワードである。 今回は「反人生」を読んだ。こちらは「T感覚」「越境と逸脱」「社会に出ない」と4つの短編で構成されている。 「反人

          反人生/山崎ナオコーラ

          太陽の塔/森見登美彦

          森見登美彦さんといえば?夜は短し歩けよ乙女で有名な作家さん。 初めて森見登美彦さんの作品を拝読したときは、正直よくわからなかった。初めて出会う語り口調と完全に1人称「私」から構成される物語など森見さんの特徴といえる部分が今までの小説になく、内容が入りずらかったのが正直なところ。 ところがどっこい。読んでいくうちにこの語り口調なしでは物足りなく感じる中毒性。 今回は第15回 日本ファンタジーノベル大賞 大賞を受賞した「太陽の塔」を読み終えた。 振られたことを「私を袖にし

          太陽の塔/森見登美彦