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派遣社員あすみの家計簿/青木祐子

幸せって何だろう。

20代の時に幸せをバロメーターであらわすためには、有名な企業に就職、良い男と付き合う、ブランド品を身に着ける、女としてチヤホヤされる。そんなことにすがりながら幸せをアピールしたい。でも一体誰に?

自分が何も持っていないのではという不安から焦り、何かを持っている人と関係があることで自分の価値を求めてしまう。そんな主人公あすみが寿退社した直後に婚約者に逃げられ、どん底から這い上がっていく物語。

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名前を言えばだれもが知っている会社に勤めているものの、仕事内容はつまらない。でも、この会社に勤めているという事が自分の価値を上げてくれている気がする。会社だけではない。流行っているブランドや新しい物を身に着けていること。高級なパーティーに呼ばれる人脈があること。何か夢に向かって進んでいるわけではない自分は装備をしっかりしないと価値が見いだせなくなってしまう。そんな経験は誰にでもあるのではと思う。

あすみが婚約者に逃げられ、仕事もお金もないどん底から這い上がるサクセス?ストーリー。とっても読みやすくて、あっという間に読んでしまった。家計簿をつけることや日雇いの仕事先での出会いで、あすみ自身がどんどん変わっていく、というより本来の自分を取り戻していく感じが、爽快!

お金を持っている「勝ち組」の男の人に選ばれることが自分にとって価値があると思い込ませていたことなど、自分がしたかったことではなく、周りからこう見られたい、こんな女子だと幸せだと思われそうという基準で判断していたあすみ。心のどこかで違和感を感じながらも自分と向き合えていなかったから”楽”な方に流されていた。どん底を経験したことで、自分が本当に大切にしたいものに気が付いていく。そんな、あすみの成長ぶりに勇気をもらえる、そんな作品でした!

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