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ありがとう、ユキ ぼくが出会った奇跡 後編
【後編】
あれから一週間が経ったが水原さんから連絡はなかった。
ぼくもしなかった。これはぼくがどうこう出来る問題でもなく、干渉することも出来ない。ぼくが役に立てることはまずなかった。
この一週間ぼくは彼女のことをなるべく考えないように過ごした。1人の時間を減らそうと、店長に頼んでいつもより長くバイトをしたり、友達と出かけて遅くまでカラオケに行ったり買い物をしたりした。ぼくはめったに自分から
ありがとう、ユキ ぼくが出会った奇跡 中編
【中編】
目覚ましをかけずに寝たのでぼくは彼女の足音に起こされた。カチャカチャと床とつめがこすれる独特の足音。
彼女はぼくが目を覚ましたことに気づくと小走りに近寄ってきて顔中なめまわした。
「おはよ。朝飯食うか?」
今日は日曜日で学校はない。午後からいつものようにバイトが入ってるのでそれまでにバイオリンを直して持って行くことにした。
あのモヤモヤした気持ちは多少残るものの昨日の夜ほどで
ありがとう、ユキ ぼくが出会った奇跡 前編
【あらすじ】
高梨佑亮はごく普通の大学生。2000年の春のある日、彼に2つの出会いが訪れる。1つは美しい音大生、水原さんとの出会い。もう1つは真っ白い犬、ユキとの出会いだ。この2つの出会いによって彼は第3の出会いに導かれていく。佑亮は水原さんに恋をした。内気で気が弱い彼は初めのうちは自分の気持ちに否定的だったのだが次第に自分の気持ちを認めていく。悩み決断し傷つきまた恋をして佑亮は成長していく。白