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#高校生
女の子になりたかった。
男の子だとか、女の子だとか、ゲイだとか、レズビアンだとか、
みんな
他人に名前を付けられたがっている
みんな
自分1人じゃ、自分に名前を付けられなくて
自分1人じゃ、生きていけなくて
だれとだれがおなじだなんて
だれとだれがちがうだなんて
そんなに大事なことなの
わたしの傍にはいつも、必ず女の子がいる
傍に女の子がいると、わたしは安心できる
でも、もう1人のわたしがこう言うの
んん、
断りきれない。ああ、貉。
「影は、私を掬ってくれる?」
自分の身体が恐ろしいほど強烈な浮遊感に襲われているような感覚に、身震いした。
腕にも力が入らない。頭は、頭痛とは違った"違和感"に悩まされ、わたしは奇妙さを覚える。
痛くはない。
ただ頭にある"核"みたいなものが、自分の身体の外へ放り出され、ひとりでに動いているような、そんな感覚だ。
わたしは次第に生きている心地さえしなくなり、街を有象無象に駆けゆく人々は、
Intangible Sense.
「ねえ。触れられないものに、触れたくなるときってない?」
と、微かに滲んだ目をした君が、虚ろにこちらを向いて、そう呟く。
「わからなくもないな。」
「でしょ。」
はっきりいって、ぼくには彼女の言ったことは何も分かっていない。でも、なんとか自分の頭にある言葉の糸を、一つひとつ、絡みとってみた。
「うん。例えば、ぼくは女の子の気持ちがよく分かるし、そのままそっくりに演じることだってできる。でも