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閑話休題

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いわばエッセー。雑談。ブレイクタイムの茶飲み話です。ということで始まったのですが、他のマガジンで扱えない話題・内容をこのマガジンで扱うようになりました。またそういう経緯で、最近は…
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2024年3月の記事一覧

<閑話休題>英国由来スポーツが雨でも実施される理由

<閑話休題>英国由来スポーツが雨でも実施される理由

 私の好きなラグビーでは、「英国紳士(ジェントルマン)たる者は、一度決めたことは何があっても約束を守る。だから、雨が降ろうが槍が降ろうが、一度やると決めたラグビーの試合は、何があっても実施する」という、まるで「武士道とは死ぬことと見つけたり」式の戦陣訓のような言葉が信望されている(さすがに、現在ではかなり緩やかになってきているようだが)。

 またこの言葉は、ラグビーを優れたスポーツであることの代

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<ラグビー>2024年シーズン(3月第五週)

<ラグビー>2024年シーズン(3月第五週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

〇 2024年は3月31日がイースター(復活祭)で、29日がグッドフライデー(イエスが磔刑になった日)、4月1日がイースターマンデー(イエスが復活・昇天した日)になる。「復活」というのは、キリスト教におけるイエス(ヘブル⦅ヘブライ⦆語の「ヤーウェ」は、救いを意味する「ヨシュア」に関連した、ギリシア語「イエソウス」に由来する言葉

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<覚書>『現代思想 総特集 ウィトゲンシュタイン』

<覚書>『現代思想 総特集 ウィトゲンシュタイン』

『現代思想 総特集 ウィトゲンシュタイン』1985年12月臨時増刊 青土社

 いつものような書評ではなく、難解な哲学論文が多数入っていることもあり、その中から私の琴線に触れた部分を抜き書きしたい(特に私が重視した部分を太字にした)。特に、文学や芸術との関連は強く興味を惹かれたが、言語に関する論考も同じくらいに興味を惹かれた。

 なお、最後の日本の哲学者たち3人による鼎談において、ウィトゲンシュ

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<閑話休題・哲学>『論理哲学論考』の最後の言葉と「沈黙」について

<閑話休題・哲学>『論理哲学論考』の最後の言葉と「沈黙」について

 ルートヴィッヒ・ウィトゲンシュタインLudwig Wittgenstein の『Tractatus Logico – Philosophicus』は通常『論理哲学論考』と翻訳されている、彼の最初の哲学書である。その後ウィトゲンシュタインは、一時哲学を止めて田舎の小学校教師になるなどの紆余曲折を経て、この初期の概念を解消・発展させていき、「言語ゲーム」という概念に到達したと見られている。もとよりウ

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<閑話休題>自己陶酔と自己中心、そして自己満足

<閑話休題>自己陶酔と自己中心、そして自己満足

〇 12月のある日曜の夕方、地下鉄のホームへ降りる長い階段を、老夫婦が手を取り合い助け合って、ゆっくりと降りている姿を見た。とても微笑ましい姿であり、また年を重ねて、夫婦で助け合い信頼しあってきた時間の流れがにじみ出るようで、とても美しいと思った。もっとも、その脇を無作法な人たちが駆け足で、老夫婦にぶつかりそうになりながら駆け下りている姿には、まったく閉口したが。

 しかしこれが若い男女が手を

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<閑話休題・芸術>美食と芸術の関係

<閑話休題・芸術>美食と芸術の関係

 ある人が、「安いラーメンを食べた後の演奏より、高級な寿司を食べた後の演奏の方が、より素晴らしく演奏できたと、多くの音楽関係者がいっている」と述べるのを読んだ。「ふーん、そんなものか・・・」と思ったが、しばらくすると、なにか違うような気がしてきた。

 例えば、おそらく安いラーメンには見向きもせず、普段から高級な寿司を食べているその人にとっては、良い演奏をするためには高級な寿司などを食べなければだ

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<ラグビー>2024年シーズン(3月第三週)

<ラグビー>2024年シーズン(3月第三週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

(先週の「ヨーロッパ」の続き)
 ヨーロッパというのはギリシア神話のエウロパから来ているが、またこのエウロパは木星の大きな衛星で、生命維持に必要な水が十分にあることが最近確認されている。一方、神話のエウロパはフェニキアの王女だったが、クレタ島という「西」へ行ったため、「西にある地域」がエウロパ=ヨーロッパと称されるようになった

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<ラグビー>2024年シーズン(3月第二週)

<ラグビー>2024年シーズン(3月第二週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 1993年のマースリヒト条約によって、現在の27ヶ国まで拡大したEU(欧州連合またはヨーロッパ連合)は成立したが、その成立に先立って、日本人の中には、第一次世界大戦及び第二次世界大戦という二度の世界戦争、及び19世紀までに度重なったヨーロッパ各国同士の戦争の歴史から、「つい最近まで戦争にあけくれていた国同士が、いきなり統合す

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<閑話休題>息抜きとリズム

<閑話休題>息抜きとリズム

 以前、noteに定年後の一日のスケジュールを掲載した。

 そう当時から現在も、不十分な年金を補填するためのパートタイムの仕事を探していることを含めて、私の毎日はほとんど変わっていない。しかし、こうして日々決まったスケジュールを自らに課す生活をしていると、やはりマンネリというか、息抜きが必要になってくるようだ。

 公園散歩については、悪天候もあるため毎日はやっていない。散歩をしない時は、朝の体

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<書評>『ヨブへの答え』

<書評>『ヨブへの答え』

『ヨブへの答えAntworr Auf Hiob』カール・グスタフ・ユング著 林道義訳 Carl Gustav Jung ラシェールフェルラーグ社、チューリッヒ Rascher Verlag, Zurich 1952年、日本語版は、みすず書房 1988年。

 旧約聖書の中で、最も報われない不幸の連続に遭う可哀そうな代表が、「ヨブ記」のヨブだ。なにしろ、ヨブは熱心に神を信仰するのだが、信仰が進むにつ

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<閑話休題・哲学>リチャード・ローティ、そして近代科学とジョルダーノ・ブルーノ

<閑話休題・哲学>リチャード・ローティ、そして近代科学とジョルダーノ・ブルーノ

標題の画像は、ロンドンナショナルギャラリーに展示のデジデリウス・エラスムス(15世紀の著名な人文学者=ユマニスト)のハンス・ホルバイン作の肖像。

1.リチャード・ローティ NHKの「100分で名著」でリチャード・ローティというのをやっていて、「ドナルド・トランプ大統領の出現を予言した哲学者」、「伝統的な西洋哲学を葬り去った」、「理性をもつ存在こそ人間という哲学の基礎付け主義が、現代の虐殺やヘイト

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