#仕事
春 空 の ア ク セ サ リ
窓の外は隅から隅まで
青いタイルをぴっちりと敷き詰めたような
快い空です。
カーテンを開け放ち、
部屋に
四月の日差しをたっぷり呼び込んで
アイロン台の前に座ります。
休日の午後2時。
まとめて洗ったシャツやハンカチの
アイロンがけタイム。
襟、カフス、腕、肩、身頃と
シャツのカタチに合わせて
アイロンをすーっと這わせます。
裏に返したり、スチームを使ったり、
アイロン台の先端を使ったり。
窓際の後輩くんはお人好しすぎる
私がはやく職場に着いても、
もう既に一年後輩のヒロタくんは
席に座っている。
彼の席は事務室のドアを開けて真っ直ぐの
窓際にあるので、
部屋に入ると一目で
出社していることがわかる。
小柄に、おっとりした目の温顔で
小岩井のカフェオレをよく飲んでいる。
彼とは係が違うので
朝は特段会話するでもなく、
軽く挨拶を交わすくらいで私は席に着く。
静かな空間と朝の新しい空気の中だと
作業が捗る。
だ
言葉は、春風のように
その言葉をくれたのは、
当時の上司だった。
課長補佐 57歳。
周囲からの印象は
一言でいうと「気難しい人」
だったと思う。
細かい点まで目が届き、
不明な部分を曖昧にしない
責任感の強い方で
整った字を書く人だった。
*
「今日は仕事の話じゃないんだ。ここにいると聞いたから、ひとつ伝えておきたいと思ってね」
復職するための準備期間として一週間ほど、
私は事務室から少し離れた別室で
恩 師 の 背 中 と い う 道 標
心の問題で休職をしていたとき、
私は恩師の元を訪ねた。
**
連絡を取ると
「いつでも話にいらっしゃいよ」と
気さくに返事をくれた。
先生は、いつも笑っている。
約1年半、久しぶりに会ったその日も
ふくふくと可愛らしい笑顔は健在だった。
元気でちょっとお茶目で
たまにそそっかしい。
生徒から愛されている先生だった。
校内にある自販機で
先生は私の分までカフェラテを買ってくれて
生徒の帰った