マガジンのカバー画像

ニューロマン都会編*作品解説

15
運営しているクリエイター

#現代アート

4-3*世代を超えて歌でコミュニケーションするために| 4章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代ではスナックのカラオケでコミュニケーションができないのか|ニューロマン都会編

4-3*世代を超えて歌でコミュニケーションするために| 4章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代ではスナックのカラオケでコミュニケーションができないのか|ニューロマン都会編

世代を超えて歌でコミュニケーションをするために、私は作品を通して三つのアプローチを行なっている。

一つめは、スナックという入りにくい場所をオープンにする試みだ。

2013年に制作した「まぼろし屋台」は、移動式スナックである。しかし飲食物を販売している訳では無い。売っているのは高度経済成長期のまぼろしだ。もちろん、お代もまぼろしで構わない。ポータブルレコードプレイヤーで歌謡曲を流し、そこに集まっ

もっとみる
4-2*日本の歌の原点| 4章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代ではスナックのカラオケでコミュニケーションができないのか|ニューロマン都会編

4-2*日本の歌の原点| 4章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代ではスナックのカラオケでコミュニケーションができないのか|ニューロマン都会編

そもそも「知らない人の前で歌うなんて恥ずかしいし、スナックなんて行かない。歌でコミュニケーションなんてしたくない。」という人も大勢いるだろう。

しかし、いつの時代も歌は私たちのすぐ側にある。

流しがスナックのカラオケになり、カラオケボックスになり、一人カラオケが流行して歌の個室化がより進んでも、人はどこかで歌いたいのである。

なぜだろうか。

今でこそ、歌でコミュニケーションをすることは珍し

もっとみる
3-1*年中行事と行事食|  3章 都会の生活で感じた現代の問題点ー食と住居|ニューロマン都会編

3-1*年中行事と行事食| 3章 都会の生活で感じた現代の問題点ー食と住居|ニューロマン都会編

私は営業時代、朝食と昼食はコンビニで購入し、会社のデスクで仕事をしながら食べていた。

夕食は何を食べていたのか記憶にない。
それ程、食に対する意識が薄かったと思う。

転職して時間の余裕ができてからは、スーパーで食材を買って自炊をするようになった。
旬の食材は安価に購入できるので、旬を意識した料理をするようになった。
すると、季節ごとに食べたい料理や食べるシチュエーションをイメージするようになっ

もっとみる
2-3*現代に提案する豊かな装い|  2章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代の服装は無彩色のコーディネートが多いのか|ニューロマン都会編

2-3*現代に提案する豊かな装い|  2章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代の服装は無彩色のコーディネートが多いのか|ニューロマン都会編

季節ごとに身につけたい色について考えるようになってから、四季のある日本で暮らす生活の幸福感が増した。

そもそも日本に洋服が入ってきたのは明治時代であり、たった150年前のことだ。女性にいたっては庶民が洋服を着出したのは戦後なので、わずか70年の歴史。

それ以前の約1400年もの間、日本人は和服を着ていた。
着物には襲の色目(かさねのいろめ)という重ね着をする衣裳の配色の仕方を年齢、季節、行事な

もっとみる
2-2*モノトーンの流行|  2章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代の服装は無彩色のコーディネートが多いのか|ニューロマン都会編

2-2*モノトーンの流行|  2章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代の服装は無彩色のコーディネートが多いのか|ニューロマン都会編

それではなぜ、現代では黒やグレーなどの無彩色を組み合わせたファッションが多いのか。

黒は、1980年代に従来の服飾美学を否定したファッション革命として大流行した。

80年代に流行したモノトーンが現在まで流行している理由として、無彩色の組み合わせは楽である事と90年代以降の不況が影響すると考える。前述の通り、有彩色同士の組み合わせには様々な配色の法則が存在する。そのため安易に着回す事ができないが

もっとみる
2-1*営業時代から現在までのファッション|  2章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代の服装は無彩色のコーディネートが多いのか|ニューロマン都会編

2-1*営業時代から現在までのファッション|  2章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代の服装は無彩色のコーディネートが多いのか|ニューロマン都会編

 私は営業職時代、黒やグレーなどの無彩色を組み合わせたスーツの着こなしに何の疑問も感じていなかった。休日にカラフルな色のワンピースを着る時もタイツや靴や鞄は黒で統一することが基本であり、お洒落だと思っていた。

しかし、高度経済成長期の文化全般に興味を持つようになると、当時のファッションに比べて現代では黒やグレーといった無彩色のコーディネートが多い事に気付いた。

当時のファッションで黒が頻繁に登

もっとみる
1-5*作品制作の動機|1章 はじめに|ニューロマン都会編

1-5*作品制作の動機|1章 はじめに|ニューロマン都会編

私を救ってくれた昭和らしいコミュニケーション。
そして高度経済成長期に作られた素晴らしいデザインや音楽たち。
それらはすべて現代における過剰な大量生産・大量消費によって失われていったものだった。

今日より明日がもっと良くなると誰もが信じていたという高度経済成長期に憧れている。しかし、過去が良かったとするのならば、私たちが生きる未来は今日より明日がもっと悪くなるばかりだということになるだろう。

もっとみる