菅沼朋香
生活芸術家。昭和の高度成長期と自身の関係をテーマに人生の再現ドラマ「ニューロマン」シリ…
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4-3*世代を超えて歌でコミュニケーションするために| 4章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代ではスナックのカラオケでコミュニケーションができないのか|ニューロマン都会編
世代を超えて歌でコミュニケーションをするために、私は作品を通して三つのアプローチを行なっている。 一つめは、スナックという入りにくい場所をオープンにする試みだ。 2013年に制作した「まぼろし屋台」は、移動式スナックである。しかし飲食物を販売している訳では無い。売っているのは高度経済成長期のまぼろしだ。もちろん、お代もまぼろしで構わない。ポータブルレコードプレイヤーで歌謡曲を流し、そこに集まってきた人とのコミュニケーションを生むことを目的としている。 二つ目は、現代の生
4-2*日本の歌の原点| 4章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代ではスナックのカラオケでコミュニケーションができないのか|ニューロマン都会編
そもそも「知らない人の前で歌うなんて恥ずかしいし、スナックなんて行かない。歌でコミュニケーションなんてしたくない。」という人も大勢いるだろう。 しかし、いつの時代も歌は私たちのすぐ側にある。 流しがスナックのカラオケになり、カラオケボックスになり、一人カラオケが流行して歌の個室化がより進んでも、人はどこかで歌いたいのである。 なぜだろうか。 今でこそ、歌でコミュニケーションをすることは珍しく思えるが、子どもの頃は誰でも一度はおしゃべりをするように歌ったはずだ。 日本
4-1*流行の加速と日本語の崩壊| 4章 都会の生活で感じた現代の問題点ーなぜ現代ではスナックのカラオケでコミュニケーションができないのか|ニューロマン都会編
スナックでのアルバイトを通じて、見ず知らずの人と歌でコミュニケーションできる歌謡曲の素晴らしさを知った。しかし、そのコミュニケーションに参加できるのは概ね年配層に限られている。 なぜ、若者はスナックのカラオケでコミュニケーションすることができないのか。 その理由は大きく分けて二つあると考えている。 一つめは、流行の加速化により、世代を超えて共有できる歌が少なくなっていることだ。 大ヒットや大歌手が出にくくなったことにより、世代を超えて曲や歌手を共有することが難しくなって