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想い入れ。

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#エッセイ

彼の人生ごと愛しているから

彼の人生ごと愛しているから

恋人は常にフラットで感情的にならない人なのだけど、最近、彼の人間らしい一面を久しぶりに見た。

あれほどわかりやすいのは珍しいのでとても印象的だった。

最近転勤になった職場の先輩(上司)のことを彼はかなり慕っていて、「転勤になるみたい」という話を私に話してきたときの表情から滲み出る寂しさとか不安とか、珍しいから尚更かもしれないけれど見ていて私まで切なくなった。

転勤の理由は売上を上げるための引

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あなたの言葉で語って

あなたの言葉で語って

お久しぶりです。しばらく書かないと言ってからどのくらい経ったでしょうか。もうそろそろ書かなきゃ存在を忘れられちゃうなと思い、書き始めました。

しかし何を書けばいいのだろう。書きたいことが色々あるはずなのに、いざパソコンの前に向かうと、なかなか手が進まない。

もし私がいなくなったらさびしく思ってくれる人がいるのだろうか。いるのにいないと言ってしまうのはとても失礼なことの気がするので「いるだろうと

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本当の美は、未完成なものを完成させようとする心の動きにある

本当の美は、未完成なものを完成させようとする心の動きにある

結果論と過程論、どちらを重視するか。

仕事に限っては結果論として、ある程度の成果物や数字が価値の尺度となる。

けれど人生は仕事じゃない。

生きる事は何かを完成させることが目的じゃない。

他者と人生を歩む場合、残念ながらお互いの事を100%理解し合うのは絶対に無理だ。

同じ人間は存在しない、してはいけない。

理解し合えないのに社会的な生き物だなんて、随分と酷な矛盾を押し付けられたものだと

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教育実習生

教育実習生

高校2年か3年の時。
私の学年に教育実習生がいた。

ここで学年がふわふわしているのは、私自身はその教育実習生の授業を受けていなかったからだ。

同じバンドを組んでいた同級生が鼻の下を伸ばして「教育実習生が可愛い」と言っていた事だけが鮮明に頭に残っている。

高校1年生の時は、私のクラスに教育実習生がいたからよく覚えている。

その実習生は保健体育を担当していた。
保健の授業でやたらと班を組ませた

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雑談(承認欲求、創作で結果を残すこと)

雑談(承認欲求、創作で結果を残すこと)

ツイッターで女性がホストに行くのは性欲でしょ?みたいなツイートを見た。このようなテーマの言い争いはツイッターではよく見かける。それに対してそれは承認欲求だと言ってる人を見た。なるほどなぁと思いつつ、それを性欲って言うんじゃないのかなとも思った。

承認欲求についての文章を書きたいとずっと思っていたけれど、なかなか言葉にできなかった。欲求って一貫性がないし、そのときそのときで考え方が変わってしまう。

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朝はいつだって過不足なく満ちている

朝はいつだって過不足なく満ちている

春が近いと感じる。まだまだ寒いけれど快晴の日に当たる陽の温かさとか柔らかさとか、外から聞こえる自然の音とか。

目を閉じると草木が揺れる音がもうすぐそこに聞こえてくるような気がする。目を開ける時自然と口角が上がる。

冬は外がとても静かだし陽が沈むのが早い。けれど雪が降りよく積もった日は、手元や足元が電灯なしでもよく見えるほど明るい。それがものすごく好き。

朝起きて、温もりを溜め込んだベッドから

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「かわいくなりたい」という呪いから解放された話

「かわいくなりたい」という呪いから解放された話

学生時代から20代前半まではもうそれはそれは容姿の良さに囚われて「可愛くなりたい」という自分が自分にかけた呪いに半殺しにされていた。

誰かに暴言を吐かれたとか、トラウマになるような悪口を言われたとか、そういう特別ななにかがあったわけではなく、ただ「何もないくせに容姿もこんな醜いのね」と自分をひたすら嫌っていた。

中身に関しても人間として素敵だという認識は到底なかったし「何もない」とひたすら泣い

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嫌いだ 全部 好きなのに

嫌いだ 全部 好きなのに

この街の電車はいつも、人よりも上を走っていた。

今、私が住んでいる場所は地下鉄が最寄りだから、余計に街中の光を浴びて人々の頭上を走っていくこの街の電車が少し異様で、まだその光景を見慣れなかった頃は銀河鉄道みたく見えていた。

光の上に光がある。

色の上に色がある。

重ねられて、塗りつぶされて、影が出来て、また別の光になって、何度でも何度でも、この街を照らしている。

その光の間を切り裂くよう

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雑談(恋愛のわからないこと、人を好きになること)

雑談(恋愛のわからないこと、人を好きになること)

誰かを本当の意味で好きになることなんてないような気がする。

正直、みんなが言う恋愛のアレコレは全部嘘だと思ってた。なんとなく告白されたから付き合ってるのだと思ってたし、異性だったら誰でもよくて告白してるんだと思ってた。

プレゼントをあげるとか、クリスマスを一緒に過ごすとか、デートをするとか。恋愛ってこういうものだよね、って謎の風潮があるから、みんなよく分からずとりあえずそうしてるのだと思ってた

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彼と私が生きる朝

彼と私が生きる朝

一緒に住む恋人の生活を観察してみた感想はとにかく「朝が早い」だった。

普通は休日に5:00に目を覚ましたら、大体は二度寝するだろう。しかも前日の夜0時過ぎに寝ていたのなら尚の事。だが彼は二度寝をしない。

私も朝は早い方だけれど「私より朝強い人いるんだ…」と驚くほど彼は朝型人間…

と思いきや、別に夜寝るのが早いわけでもないのである。(である)。生活習慣が整っている彼も、お酒を飲んで夜更かしした

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金木犀とわたしと

金木犀とわたしと

キンモクセイの香りがする。

一瞬、神経が研ぎ澄まされるような感覚になる。

ふっと、振り返る。
キンモクセイの木を探す。

キンモクセイの香りに気づく。
キンモクセイのことを考える。

そんなふうに、ん?と。
穏やかに、でも、集中して、
一瞬だけはそのことしか考えていない。

そんなふうに、何かを感じて、
そこから、「好き」の原点を探すみたいな、
そういう一連の流れが好きなのかもしれない。

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わるい顔を見せることの意味

わるい顔を見せることの意味

「その、わるい顔を見せられる人を好きになりなよ」

8年ぐらいの付き合いになる人と食事に行った時、あることを話していたら言われた言葉。

その時は意味が分からなくて、「どういうこと?」って笑いながら返したっけ。「じゃあ、どうして俺にはできるの?」って聞かれたから、何も考えることなく「別に嫌われてもいいから」ってまた軽く笑いながら言ったら、「おい」って突っ込まれた。

「別に嫌われてもいいから」

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忘れない

忘れない

爆弾でこの街が爆破される妄想をしなくなって、ただなんとなく虚しさを抱えたままわたしは何も書けなくなってしまった。

2025年の夏、世界が終わるらしいから、若いうちにどれだけ痛々しくいられるかを試したい。本当は、きらきらよりもキラキラと、キラキラよりもギラギラとしていたい。その辺の女の子と同じになりたくない。平仮名多めのほわほわツイート、ネイルを見せるために持たれたぬいぐるみ、わざとカバーを外した

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