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悠冴紀/小説家・詩人
2021年8月4日 12:04
作:悠冴紀答えなどはじめからどこにも存在しない誰かの導き出した明確な答えは他の誰かにとっての問いとなる私にも誰にも答えようがないその時どきに見出す小刻みの持論ならすでに幾度となく言葉にしてきた年月を経てそれら全てが問いに帰するだから朽ちない循環により生を得る終局を迎え 落ちた木の葉は残像だけをおいて土にかえる土を踏みしめる誰かが樹を見上げるときそこに
2022年4月8日 19:24
作:悠冴紀その戦場を生き抜いて帰還した後君は友をなくすだろう命からがら逃げ帰ってきた後君は家族をなくすだろう何かを護ろうと戦って何より護りたかったものまで壊してしまう現状に気がつくとき君は自分の何かを置き忘れてきたことを知る鏡を覗くとそれまで相手にしたこともない最強の敵君のその混乱を見て逃げ出さない者はいないだろう生き抜くことだけを考えて生き抜くためだけに強
2022年12月30日 14:34
作:悠冴紀流行病に 閉じこもり生活しばらく離れて暮らす間に皆ずいぶん変わったものだまるで魔法にかけられたかのようあるいは魔法が解けたのか……?人も世界も変わり果てた醜く浅ましく暴力的に以前と同じ姿のまま別人と化してしまった人々友への接し方さえいとも簡単に忘れてしまったこれまでに重ねた月日は一体何だったのか ──?なんとあやふやで脆弱な自己同一性元より
2022年8月26日 18:00
作:悠冴紀都合だ結局すべてが都合なのだ裏切られたとは思っていない期待も信頼も元よりなかった端から明白なことながら政治や社会に良心などない国家というものにも良心はない人の寄せ集めで構成されていながらそれらは しかし 人ではない対して国なき民はあまりに不利で無防備な存在逃げ延びる先々で迫害を知る同情的に扱われるのは最初だけあとは長きにわたり地獄が続く里を追わ
2020年9月9日 21:52
作:悠冴紀私は人の子にあらずとうに自ら放棄した後悔はない今は常に満たされている家族はいない二度といらない母とは大地父とは大気私にはそれで充分だ帰るべき生家はないなくていいすべてを宿しながら何者をも囲わない 無限の宇宙里と呼ぶに相応しい 唯一の場皆はじめからそこにいたのだ影は智光は力思えばずっとそう生きてきた子にはならぬが親にもならず
2022年6月17日 15:22
作:悠冴紀大地に砕けた鋭い硝子片辺りに潜む無数の地雷傷を負わされた人間はその内側に凶器を育む哀しいかな過去の被害者こそ未來の加害者周りのすべてを巻き込んで新たな壊れ者を生み出していく同病相憐れみなど一時凌ぎの幻想だ壊れ者同士で更に壊し合っては足を引っ張り合うだけの末路立場の近い似た者同士の接触は更に危うい火種となる僅かに食い違う価値観は激しい怒りと憎
2020年6月14日 10:56
作: 悠冴紀荒野から荒野へ廃墟から廃墟へ誰も訪れなくなった場所を訪れ乾いた風景を眺め歩くそこはかつて川のあった場所あとから塗り込められた灰色のコンクリートも今は朽ち果てさながら墓地の佇まい川辺を舞っていたあの蛍たちは一体どこへ消えたのか……二度とは戻らぬ初夏の灯火彼等の水は枯れてしまった草木も川も 今はない私はここに 嘆きに来たのか?いや、心は至って穏やか
2021年4月24日 13:30
作:悠冴紀人は何にでも慣れるという苦痛にも 恐怖にも 悲しみにも少しでも楽になろうと望むあまり己の感情を麻痺させる確かに人は慣れていく富にも 貧困にも 死臭にさえも馴染んではならぬものもあるとは考えもせず強さと信じて 慣れていく人は自分で思うほど器用ではないこれほどの変化に馴染めたなら他のどんな変化にも順応できるはずだと驕り 高ぶり 過信する激変に馴染めば馴
2021年4月10日 22:12
作:悠冴紀暗く 冷たい 水の中で独り静かに佇んでいたい冷ややかな眼差しを持つ あの鮫々のように笑うことなく馴れ合うことなく誰も寄り付かないほどの深みに溺れて……差し伸べる手など 必要ない人々が救いと信じるものが私には死だ現に私は日に日に崩れ 朽ち果てて元在る力すら見失ってしまった己の本質に見合わぬ生ぬるいところへ無理やりこの身を引上げてしまったからだ一体どの
2021年6月3日 12:48
作:悠冴紀何人の人間が知っているだろう自由とは完全なる孤立誰にも何も求められなくなったあとの真の孤独を意味すると何人の人間が知っているだろう自由とは責任ある選択の連続誰の導きも 何の保障もない日々手探りの道なき道を意味すると自由を求めて闘うとき人は輝き 高められる自由を得て尚 生き続けるとき人は戸惑い 途方に暮れる得難いものを得た喜びに満たされ今後の期待に胸を
2021年1月9日 22:39
作:悠冴紀過ぎ行く一年の終わりに私はまた 君を振り返っていた巡り来る一年の始まりに私はまた 君を思っていた今では行方も分からない君のために私はこの先どれだけの涙を流し続けるのだろう一年の終わりに 私はまた君にしてあげられなかったことを思い謝っていた一年の始まりに 私はまた君がいなくてはできなかったことを思い君の大きさを実感していた君を失ったことで私はなんと
2020年5月9日 13:42
作:悠冴紀空が泣いている深く深く傷を負った空が黒い涙を頭上から散らし夜の大地に染みていく雨が降る見える者にのみ見える泥づいた黒さで鋭い雨が降りしきる警告のように 罰のように汚れた大地を打ち付けて何が空を切り裂いたのか……昨日の不実か 明日の残酷さか知っていたはずだ我々は証人忘れてはならない加担した雨が見える黒ずんだ雨が空は不気味に赤黒く濁り
2020年3月28日 11:44
作:悠冴紀人類の繁栄と 夢の果て止め処ない人口爆発とグローバル化広がるところまで広がればいずれ自壊して収縮の時を迎える目に見えていたはずのことこれはいわゆる揺り戻しだよもやこんな形でとは知り得なかったが予感と覚悟は常にあったこれ以上はないところまで伸びきった末文字通りに弾けてしまったのだこれもおそらく自然現象の一つヒト科の動物『ヒト』が猛威をふるい汚染し続け
2021年2月10日 11:17
作:悠冴紀かつて私には希望があった同時に身勝手で冷酷だった彼方の永遠を追うあまり目の前の今が見えずにいた不遇に見合う特別さを目指すあまり平凡に見える恵みを軽んじていた残り続けるものに執着するあまり消えゆくものには目もくれなかったそして多くを失った何もないつもりでいながらすでに手の内にあった掛け替えのないものを警告など無意味だ筋違いな敵意を集め無駄に消耗するだ