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詩 『鮫々のように 〜ダークブルーの海へ』

作:悠冴紀

暗く 冷たい 水の中で
独り静かに佇んでいたい
冷ややかな眼差しを持つ あの鮫々のように

笑うことなく
馴れ合うことなく
誰も寄り付かないほどの深みに溺れて……


差し伸べる手など 必要ない
人々が救いと信じるものが
私には死だ

現に私は日に日に崩れ 朽ち果てて
元在る力すら見失ってしまった

己の本質に見合わぬ生ぬるいところへ
無理やりこの身を引上げてしまったからだ

一体どの時点から道を誤ったのか
ずいぶん浅いところに迷い込んでしまった
なんと虚しく 乾いた 浅はかな世界……
これでは泳ぐことすら ままならない


キリと身を引き締める冷たい水底で
私は充分に幸せだった

明るい水面に浮上するのが幸せなどと
一体誰が決めたのだ

陽射しが痛い
眩しすぎる
ここは私の居場所ではない

息ができないんだ
息が……!


戻りたい 今一度
あの鮫々に似た在り方に

泳ぎ出さねばならない 今一度
何の思索も節度もない
快楽至上主義の龍宮城から
感覚を研ぎ澄ます激動の大海原へ

沈み込んでいく
あの懐かしい水底へ

独りになりたい
この背と同じ暗さの海で


そう
誰の手も届かぬほど
深くて 重く 充実した
この身に相応しいダークブルーの世界へ──

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※ 2013年10月頃(36歳当時)の作品。


注)シェア・拡散は歓迎します。ただし、この作品を一部でも引用・転載する場合は、必ず「詩『鮫々のように』悠冴紀作より」と明記するか、リンクを貼るなどして、作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように公開するのは、著作権の侵害に当たります!

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掲載の画像は、いずれも須磨海浜水族園で私自身が撮影したものです📸

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