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詩集A(10代の頃に書いた作品群)

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作家の悠冴紀が幼少時から書き溜めてきた山ほどの詩作品から、最も旧い(主に十代の頃に書いた)作品を、このマガジン内に投稿していきます。拙い表現が目立ちますが、当時の思いや視点が伝わ… もっと読む
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記事一覧

詩 『木漏れ陽』 (⚠️10代前半の頃に書いた旧~い作品)

作:悠冴紀 地球が踊り 北半球と太陽が視線を合わせる頃 私は森の中へと歩を進める 法も規則もない世界 流れる風に囁きかけるように 緑の大地が波打っている 翼を持った森の住民たちが 自慢の歌声を交わしている 木洩れ日が舞い降りる 背高い木々の合間から 辺り一面に光の柱 その温もりは やがて森中に染み渡り 眠れる森の全生命を甦らせる ********** ※1990年(当時13歳)のときの作品。 これまた懐かし~い昔の作品の登場です A^_^;) 表現の端々に

詩 『白銀の瞳』

作:悠冴紀 夜の深みの彼方より 真っ直ぐに地球を見下ろす宇宙の眼 その白銀の眼差しに洗われて 夜の世界が今 輪郭をあらわにする 混沌の闇の底から モノトーンの街並みが浮かび上がる 主張を成さず鏡となり 陽を映して天地を見通す 流れゆく星までもが その超然たる姿に感銘を受けたように 夜空にはっきりと軌跡を残していく 地表を取り巻く大気までもが 圧倒されたように沈黙を保っている 白銀の眼差しに洗われて ── ********* ※1995年(18歳当時)の作品。

詩 『水の声』(⚠️10代の頃に書いた拙い作品)

作:悠冴紀 夏のはじまり 草木の淡い香りが漂う中 水の声が辺りに響く 小刻みに揺れる波の上 水の妖精たちが踊っている そっと手を触れると 透き通る水が肌を撫で 不思議なトーンで囁きかける 若草色と深緑が混ざり合う岸辺が背景 円かな 密かな ここだけのオアシス 汚れない水の声が広がっていく 水面に 大気に ゆっくりと…… ------------ ※この詩は、私がティーンの頃(たぶん1993~1994年頃)に書いた古~い作品です A^_^;) 10

詩 『君の道 私の道』

作:悠冴紀 本来なら私達は​​ 誰より多くを共有できる 真の友になれるはずだった あの事件を機に 2つに別れた 君の道 私の道 君のその道には今 何が見える? 激しく いがみ合い 激しく 罵り合い 各々の悪夢へと帰っていった 11歳の幼い胸に 同じ孤独を抱えたまま 君のその道には今 何がある? 他人に悪役を負わせるのが得意だった利口な君 赤裸々な態度で波風を立てる トラブルメーカーだった愚かな私 どっちもどっちだったね うまく大勢の同情を引いたけど 何一つ得ら

詩 『風』

作:悠冴紀 風はいつも冷静で どんなにうまく自分を隠しても 思いのすべてを見透かしてしまう 風を冷たく感じるとき 自分は風より温かく 風を暖かく感じるとき 自分は風よりも冷たい 風はすべての人間に平等に吹く 人がまるで檻の中で凍える獣のように冷たいとき 風は暖かく吹き巡り 人がまるで煮えたぎるマグマのように熱いとき 風は冷たく吹き荒ぶ それはまるで 神々の呼吸のように …… そしてまるで 裁きのように …… ------------ ※1992年(当時15歳

詩 『月明かりに照らされて』

作:悠冴紀 今日も私は深い夜空の下に立ち 月明かりに手を差し伸べる 静寂の夜の中 ゆっくり真っ直ぐな線を描いて 降り注いでくるその光は 今 この手の上で弾け 大地に一つ影を落とす 眠りについた者たちを 起こさないよう気遣いながら この手をかたどった影を一つ 静かにそっと地球の上へ ── *********** ※この詩は高校生頃(1993~94年頃?)に書いた作品です。 作風としては、物悲しい雰囲気と捉えられることが多いのですが、私自身はとても心地よい気分で書きま

詩 『思い出の色~ファントム・ブルー』(10代半ばの作品)

作:悠冴紀 視界をいっぱいに埋め尽くすあの海は 幻色 瞳を閉じて耳を澄ませば 世界は懐かしいスクリーンになる 波は私の心のサウンド 記憶の川を溯り あの頃の私を呼び戻す 波に揺られ浜辺を彷徨う貝殻 耳を当てると 思い出の中に生きる人達の 笑い声が聞こえてくる あの頃のままの姿で 私に囁きかける 遠い笑顔で 囁きかける 次の夏も その次の夏も あの青い空の下で海に向かえば きっとまた あの懐かしい人達に会うことができる それは 今瞳に映る 期限に支配された世界より確か

詩 『嵐の訪れ』

作:悠冴紀 狂風にうねる褐色の巨人群 地表に砕け散る鬼神の涙 モスグリーンの空には 世界を切り裂く白色の竜 その叫びは天地を揺さぶり 我等人類の深淵より 原始の心を呼び覚ます 絶え間ない動きとリズム 太古から続く生命のチューン 石化していた我等の魂に 地球の鼓動を思い出させる 変わらぬリズムで 変わらぬ心で ************ ※1992年(15歳当時)の作品。  今日の大阪は、ギョッとするほどの荒れ模様です ☂ 🌀 外ではビュービュー、ゴーゴーと風が

詩 『ヤドカリ』

作:悠冴紀 何をそんなに怖がってるんだい? 一度思い切って外へ出て 好きなだけわがまま言ってごらん 人目なんか気にせずに 思い切り恥をかいてみればいい 悩みも笑いに変わるから 深刻に考えて赤い顔してないで ほんの冗談さって言えるくらい 軽い気持ちで生きてごらん そうすればきっと 縛られた心も楽になるから いつまでも家の中に閉じこもってないで 顔を見せてごらんよ そうしているうちに ほら また夏が行ってしまう 堂々と胸を張って歩いておいで そんなところにいたって世界は見

詩 『終わりのない夢』

作:悠冴紀 おじさんは星を見るのが好きだった 夜が来るといつも 星たちに微笑みかけていた 陽の光が優しく注がれる初春の午前 斜め前の家の中 おじさんは夢の世界から抜け出せなくなっていた 発見したのは 訪ねてきたおじさんの弟 窓ガラスを割って家の中へ 「兄貴! 兄貴!」 何度呼んでも返事はない 沈黙、頼りない足取り、 寂しい背中、涙…… こんなに陽の溢れる美しい日に おじさんは逝ってしまった 桜の花も 見ないまま── おじさんは星を見るのが好きだった 空の星た