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詩 『黒い雨』

作:悠冴紀

空が泣いている
深く深く
傷を負った空が

黒い涙を頭上から散らし
夜の大地に染みていく

雨が降る
見える者にのみ見える泥づいた黒さで
鋭い雨が降りしきる

警告のように 罰のように
汚れた大地を打ち付けて

何が空を切り裂いたのか……
昨日の不実か 明日の残酷さか

知っていたはずだ
我々は証人

忘れてはならない
加担した

雨が見える
黒ずんだ雨が

空は不気味に赤黒く濁り
見覚えのある闇を垂れ込める

あの闇こそ
すべての起点


あの黒さ あの濁りを忘れては
道はたちどころに見失われるだろう

光は闇の中から生み出され
闇は光を得て初めて形を成す

雨を見つめる
黒い雨を

やがて訪れる白い朝と
表裏一体の黒い雨を ──

* * * * * * *

※ 2012年10月(当時35歳)の作品。

注)シェア・拡散は歓迎します。ただし、この作品を一部でも引用・転載する場合は、必ず「詩『黒い雨』悠冴紀作より」と明記するか、リンクを貼るなどして、作者が私であることがわかるようにしてください。自分の作品であるかのように公開するのは、著作権の侵害に当たります!

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