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教育

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ただそばにいるだけでよく

ただそばにいるだけでよく

人に何かを教えるときは、ついあれこれと言いたくなってしまうものだ。特に自分がうまくできることならばなおさらである。自分の成功体験と言うべきか、これまでの経験をもとに色々と言ってしまう。

もちろん言っている側も悪気があってのことではなく、むしろ逆だ。相手にわかりやすく説明しようという気持ちが強くなる。そしてその気持ちが強ければ強いほど言葉数が多くなる。聞いているほうは、だんだんと混乱してくる。

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叱り役

叱り役

今年入ったばかりの高卒の社員がしばらくお休みしてて、そのまま辞めてしまうかと心配したが、先月から復帰してきて、働いている。当然たが、いきなり難しい仕事はできないので、できる作業を一つひとつ覚えていっているようだ。

彼を教えているのばベテランの社員のかたで、とても仕事ができる人だ。その人に自分も色々と仕事をお願いしているので、自分がお願いしている仕事の中で、新入社員にできる分をうまいこと回してくれ

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こだまでしょうか

こだまでしょうか

昨日、旧秋田商会ビルのことを書いたが、そこの一室で金子みすゞさんの展示をしていた。金子みすゞさんといえば、小学校の教科書に載っていた「私と小鳥と鈴と」の印象が強い。他と比べることなく、みんないいんだよということを歌っている。同じような方向性で「土」という詩もある。

この世にいらないものなんてないんだよ、と、何とも味わい深い詩だ。7音を基調としていることで歌としてのリズムも心地よい。

東日本大震

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プログラミングが自然なこと

プログラミングが自然なこと

昨日、電車に乗っていたときのこと、隣の席に親子が3組ほどいた。母親たちは立って、子どもたちは座っている格好だった。みんなでどこかに出掛けた帰りだったのだろうか、楽しげな様子で色々な話をしていた。

欲しいものの話題になったときに、ある子が「新幹線!」と言った。それなら大金持ちと結婚しなきゃね〜なんて親の一人は応対していた。子どもは小学生と思われたが、なんとなく子どもらしいし、小学生くらいでもそうい

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50人以上のJリーガーを輩出する熊本県立大津高校・平岡総監督のやり方

50人以上のJリーガーを輩出する熊本県立大津高校・平岡総監督のやり方

少し前の記事になるが、目に留まったのでストックしておいた。部活動における体罰問題は、令和の世の中でもちらほらと出てくる。人を指導する、人と人とが関わる環境において、暴力をコントロールすることの難しさを表している。

「人を殴るなんて」「体罰はいけないことだ」などと言うは易しだが、実際の現場でそれが行われているのは、何かしら構造的な問題があるから。先生と生徒の力関係、閉鎖的な空間、勝利する目的を達成

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余白を生み出す取り組み

余白を生み出す取り組み

渋幕というと関東にいたことのある人であれば一度くらいは聞いたことのある学校だと思う。東大への進学実績もあり、高難易度の学校だという認識しかなかった。自由な発想を持つ生徒を送り出せる学校の仕組みがあったようだ。

廃棄されたパソコンからスパコンを製作するという、まさにSDGsを体現したかのような取り組みだからこそ、メディアに着目されたのであろう。もちろん、完成させた本人が素晴らしいことは言うまでもな

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大人の視点、子どもの世界

大人の視点、子どもの世界

先日、会社で掃除をした時のこと、床面に一匹の虫がいた。一瞬、驚いたが、外に近いところだったので、いてもおかしくはなかった。無駄な殺生をするのもなぁ……ということで、近くのシャッターを開けて箒で外に追い出してやることにした。

「虫も殺さぬ」というほど大人しい人間だとは思わない(そもそもこの表現自体はあまりいい表現では用いられない)が、やはり頭のどこかで(虫がいたら)嫌だなと思うのは正直なところであ

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「どうして会津藩が京都守護職を務める必要があったのか」と疑問に思うことが大切だと思った話

「どうして会津藩が京都守護職を務める必要があったのか」と疑問に思うことが大切だと思った話

昨日の話の続きになる。新選組は幕末の京都で活躍したわけだが、その元締めは京都守護職、会津藩の松平容保である。では、なぜ会津藩が京都に?という疑問が出てくる。

まず、そもそも会津が親藩だったことを理解しなければならない。会津藩の祖は保科正之、徳川秀忠のいわば隠し子だった人物だ。それでも3代将軍の家光から可愛がられ、会津の土地を与えられたということだ。その正之が、家訓として「将軍家への忠誠を失えば我

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体験と教育

体験と教育

いくら口で説明しても伝わらないことはよくある。でも、体験してみればよくわかる。百聞は一見に如かずというが、言って聞かせるより実際にやってみなはれ、ということだろう。

たとえば魚を食べることに対して「命を頂いている」という感覚は、普通だと持ちにくい。スーパーに並んでいる、数々の魚。刺身、切り身、干物などなど。あれだけしか見たことがない子どもは、魚がどのように泳いでいるかをわかるはずもない。「魚は〇

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沈黙を恐れない

沈黙を恐れない

人に何かを教える時、ついついたくさん喋ってしまうことはないだろうか。自分としては、良かれと思って、思っていることを全部喋るのだが、聞いている相手としては、長話になってしまい、何も残らないなんてことがある。

年齢が上がれば上がるほど教える機会そのものが増えてくると思うし、経験した分、伝えられることも増える。しかし、それはあくまで自分が体験したからわかることであって、人の話を聞いて得たことばかりでは

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テストは何のため

テストは何のため

年末なので、2学期末のテスト時期である。もう終わっているところもあるだろう。0点を取ってママに叱られるのは、のび太くんのパターンだが、そうでなくても結果に一喜一憂した経験は誰でもあることだろう。

結果が悪かった時に、本人が落ち込むのもよくないことだが、周りがガミガミ言うことも問題である。結果が悪かったから叱られると思うと、次のテストに向けて勉強しようという気がなくなってしまう。

だが、考えてみ

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「こういうもんだから」で済ませない

「こういうもんだから」で済ませない

とある資格試験問題でわからないところを教える機会があった。解答のイメージはわかるのだが、さて、どうやって噛み砕いて説明しようか、という点は教わる側の知識・感覚によって異なるので、いつも考えながら発言する。この問題の、どういうところがネックになって解けないのか。それを明らかにしていくことが、問題の解き方を教えるということだと思う。

ところが、教える人によっては「これはこういうもんだから」という一言

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勝ち続ける組織の作り方

勝ち続ける組織の作り方

青森山田高校サッカー部を選手権2度の優勝に導いた黒田監督の著書。25歳から同校で指揮を執る黒田監督の考えが随所に記されている。

本書で面白いと思ったところは、黒田監督が名付けた「高体連現象」と呼ばれる項目である。高校生が所属するチームには大きく分けて2つあり「高体連」と「Jユース」である。簡単にいえば、高体連は高校の部活動、JユースはJリーグの下部組織である。Jユースの入団テスト

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説明力をチェックする

今日、とある装置の使い方を説明する機会があった。色々と操作があって、さらに操作を間違えると怪我の危険もあるので、手順を確認しながら実演した。手順通りやれば、危ないことはないのだが、人間どこでミスをするかわからないので、最悪の場合はこう、というようなことも話をした。

同じ説明をしても、その言葉ですんなりと理解できる人と、そうでない人がいる。それ自体は仕方がない。最初の説明で理解できなければ、言葉を

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