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🌸華村の短編集🌸

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短編をまとめました。1話読切。
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#小説

短編小説:令和カラフルランドセル 〜かつてピンクでいじめられた私のカタルシス〜

短編小説:令和カラフルランドセル 〜かつてピンクでいじめられた私のカタルシス〜

 かつてランドセルが赤と黒だけだった時代、私のランドセルはピンク色でした。

 平成初期の話です。あの時代、あの頃の私は、たかがランドセルの色がピンクというだけでいじめられました。年号が令和に変わり、世の中もまたずいぶん変わるものですね。

 今の子ども達はピンクはもちろん、水色や茶色、青やオレンジといった自分好みの色を背負うようになりました。そうした色とりどりのランドセルを背負った子ども達を見る

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短編小説:出る杭は打たれるけど、錆びた杭なら打たれない 〜飲み屋のおっさんの深イイ話〜

短編小説:出る杭は打たれるけど、錆びた杭なら打たれない 〜飲み屋のおっさんの深イイ話〜

 「おぅ、にいちゃん、1人か。見ない顔だなぁ。ここァ初めてかぃ。

 しけた顔してんなァ、せっかく若いってのに。まぁ、悩みは若者の特権みたいなもんかぁ。おぅおぅ、悩め悩めェ、若者よォ。

 おーい、親父ィ、ナマと焼き鳥3種盛り、あとタコワサくれぃ。

 ふん、ざっと社会人3〜4年目ってとこか。そうだろう?まだ若さが残ってる割に、仕事にも自信が付いてきたって顔だ。そらァわかるよ。こちとら人間様を60

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短編小説:シンデレラ・お母ちゃん 〜捨てられない妻の遺品〜

短編小説:シンデレラ・お母ちゃん 〜捨てられない妻の遺品〜

 いやぁ、まさかねぇ、自分より先にお母ちゃんが死んじゃうなんて、思ってなかったんですよ。

 うちは姉さん女房で、お母ちゃんの方が二つ歳上でしたけど。ほら、女の人の方が長生きでしょ。お母ちゃんもまさか自分が先に死ぬなんて、思ってなかったんじゃないかなぁ。私、酒飲みだし。

 あ、上がって行ってください。狭いですけど。一周忌も終わって、この間ようやく家の中を少し片付けたんですよ。
 いやぁ、暑いです

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短編小説:便利な世界の不自由な私へ   〜現代社会と戦う子持ち様の話〜

短編小説:便利な世界の不自由な私へ 〜現代社会と戦う子持ち様の話〜

 皆さんは、エジソンという大罪人をご存知ですか。

 そうです。数多の発明品を生み出し、発明王と呼ばれたトーマス・エジソンの事です。彼は配電システムを構築し、電気を普及させた技術革新の功績者でもあります。

 人類が夜遅くまで活動できるようになったのは彼の功績によるものです。一般家庭でも電気が使えるようになり、人類は夜を克服しました。夜の暗闇を照らすこの電灯も、彼の発明と言われているとかいないとか

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短編小説:60点の人生に後悔はあるか。 〜シンママ67歳の生き様〜

短編小説:60点の人生に後悔はあるか。 〜シンママ67歳の生き様〜

 生き様なんて、無様でいい。ただやりたい事をして、生きたいように生きて、それから死にたい。

 名声なんて、いらない。ただ死んだ後も、誰かの心の中に私と一緒に過ごした記憶が残っているといい。

 権力なんて、縁がない。それでも自分の持てる力全部を振り絞って、誰かのために生きられたら最高だと思う。

 お金なんて、全部あげる。死んだらだけど。ただそんなに沢山はないから、その残したお金を私の分身だと思

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短編小説:日本はママには生きづらいでござる。 〜優先席に座れない妊婦達〜

短編小説:日本はママには生きづらいでござる。 〜優先席に座れない妊婦達〜

 なんで私は妊婦なのに、優先席に座れないんですか?

 優先席で寝こけているサラリーマンも、熱心にSNSをチェックしている女性も、イヤホンつけてゲームしている学生も、優先席に座るなら目ん玉ひん剥いて周りをよく見て欲しいです。目の前にマタニティマークをぶら下げた人間が立っているんですけど。元気に会社や学校に行ったり、友達と遊びに行く体力があるなら、その席を私に譲ってくれませんか。

 昨日も誰も席を

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例えばこんな小説を書いています。短編:応援演説。

例えばこんな小説を書いています。短編:応援演説。

 〜応援演説〜

 全校生徒の皆さん、こんにちは。

 突然ですが私は、助けてほしい時に「助けて」と言えるのは、才能だと思っています。

 少なくとも、私の人生の中で「助けて欲しい時は助けてって言うんだよ」なんて、誰も教えてくれませんでした。

 そんな事、学校の授業でも教わらなかったし、家庭でももちろん教わりませんでした。

 だからやっぱり「助けて」と言えるのは、誰かに教わって出来るようになる

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