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コラム

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コラムをまとめました。良くも悪くも適当です。
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#秋

東風

東風

 古来より、東から吹き流れる風のことを東風と言った。そのままである。捻りもない。だが関西にて生を受けた僕は上京する際、この東風を捲ってやろうと、本気で考えていたのだ。

 特に何に優れるでもなく、優秀な頭を持つ訳でも、品格がある訳でもない。この時代に大阪も東京もあったものではない。しかしながら、やはり東の言葉には鼻につくような違和感を感じてしまう僕だった。まだまだ未熟だった。

 数年前に意気揚々

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阪急電車の情緒

 思えば今年、電車に乗って移動した記憶というのがほとんどない。4月から在宅勤務となり会社から普段の電車移動を禁じられていた為、ハンドルを握る機会が、明らかに多くなった。年の前半には毎日眺めていた筈の中央線沿線の風景......関西生まれの私にとっては新鮮な物の一つだったにも関わらず、それも僅か半年間で風化してしまったらしい。

 しかし、関西を走る短い私鉄からの眺めであれば、目を閉じればすぐにでも

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台風14号

台風14号

雨、雨、雨。
最近の天気予報は、雨曇の使い回しをしているらしい。それとも晴れのフォントをどこかに紛失してしまったか。少なくとも、洗濯機を回したくとも回せない状況は続きそうである。

そういや、洗濯機で思い出した。
近所にある銭湯の主人が、ようやく隠居されるとのことだった。仕事は息子が引き継ぐとして横付されたコインランドリーはどうなる。
以前に聞いた話であれば、ボンクラ息子は銭湯の内装を全て改装して

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電子書籍のお知らせ / 再掲載:日記に書くべき事とは

電子書籍のお知らせ / 再掲載:日記に書くべき事とは

皆さん、こんばんは。
夕刻となり、やっと目が冴えてきたKHです。

note『文章・創作のサークル』にて、電子書籍短編集が発売となりました。

サークル内の素晴らしい書き手さんと一緒に、私の過去作品を綴じて頂く事となりましたので当短編を再掲載致します。

いつも適当な記事を投稿している私にしては珍しく、ほぼ実話の作品となります。
十代の頃によく遊んだ友人との小旅行、そんな遠い記憶がこの状況下におい

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眠気が襲う

眠気が襲う

朝から晩まで眠い日がある。起きて歯を磨き、寝癖を触っている間に睡魔が訪れている。もう一度ベッドに横になり目を閉じてみれば、時刻は15時を過ぎた頃、まだ眠気は頭にしっかり残っていて、身体を動かすのも億劫である。

仕方がないので、色々なことを思考することにより空腹感を紛らわす。楽しい事、悲しい事、笑える事、真面目な事......意識はしっかりとしているはずなのだが、どうも視界がおかしい。そして、自ら

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【りりかるさん 秋の朗読週間】 秋の失恋は、少しこたえる。

【りりかるさん 秋の朗読週間】 秋の失恋は、少しこたえる。

十代の頃を思い返すと、この肌寒い時期に振られた記憶の数々が蘇るのはなぜだ。

という訳で、たまにコメント欄に遊びに来てくれるりりかる(Lyrical Spirit)さんに、失恋を題材にした文章を朗読いただきました。
本当にありがとうございます。

内容としては、ただ女の子に振られるときの台詞を文章に起こしただけなんですけど、やはり実際に声に出して頂くと、生々しいです。
恋愛経験が豊富なりりかるさん

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せかせか動け、秋の夜

せかせか動け、秋の夜

と、そんな大層なことでは全くないんですが、外も涼しくなってきた頃なのでランニングをしてみようかなと考えています。
今のところは、考えるだけで満足しています。

家の近くに外周がちょうど5kmの公園があります。東京に来た時分は、よく走ったものですが、梅雨の時期になると一ヶ月以上のお休みを余儀なくされるわけです。
結果、夏も暑いし走るの面倒臭いな〜となって培ったすべては蝉と共に消えていきました。
でも

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肌の記憶

肌の記憶

タイトルだけ見れば、妙に色っぽい印象がありますが、内容は全然違います。
こんばんは、KHです。

ここ数日で随分と気温も落ち着いたようで、夜に外へ出ると涼しい風が心地よくあります。
季節の感触というのがあるかは分からないけどこの時期に必ずと言っていいほど連想してしまうもの......そう、合唱コンクールですよね。
友人は、体育大会と言ってました。
まぁ、それもあるか。

最近、合唱というものが好き

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最後の蝉が落ちるとき

最後の蝉が落ちるとき

 気分展開も兼ねてベランダにビニールチェアを置いた。未だ残る湿気が少し鬱陶しいものの前のめりで座る癖に気を付けて、もたれてみれば視界は秋空。決して晴天とは言えない空を眺めていると、庭先に立つケヤキから聴こえた、夏の残党。まだ居たか。
 昼飯のサンドイッチを頬張りながら、孤独に鳴く蝉の姿を眺めていると、外の気温はやけに肌寒く感じるのだから不思議だ。少し短い袖を伸ばしてみれば、弛んだ布は情けなくなびく

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縦の糸はどなた? ※横の糸は私

縦の糸はどなた? ※横の糸は私

 誰かが私の名を呼んでいる気がした。それが隣に住む女子大生であれば、この心にも少しの波風が立つはずだろうが、勝手に期待をされる彼女が少し不憫に、哀れにも感じた雨の休日。耳を澄ませて周囲の音を聴いてみれば、雨どいを流れ行く水の勢いは、なんと力強いものか。その濁流に身を任せてみれば、自然の生み出す騒音は、なんと壮大なものか。それらの源と成り得る秋雨の、なんと寂しげなことか。

 水滴が下に落ちる間、そ

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秋の幸福論

秋の幸福論

木曜日にもかかわらず、アルコールが入ったグラスを少し傾けた僕は、心地の良い背徳感と酔いの狭間に誘われるのでした。
今日も、投稿する為の記事を書きます。
気が向けば、ニュースでも見よう。
気が向けば、肴の一つでも作ってみせよう。
そんな思考で一杯になってしまうのが世の常。
結局TVのリモコンは触らずじまい。真新しいフライパンは、未だ焦げ目のなんたるかを知らず悠々と台所に転がっているのでした。

お茶

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空白の夏

 八月が終わり、また一枚カレンダーを捲る。当然の事ながら明日は九月で、再延長となった在宅勤務をどのように行うかを、考えなければならない。

 今年の夏は、例年にも増して遅かった。遅刻分を取り戻すかの如く、太陽は燦々と輝いて、禄に遠出すら出来ない世間の頭上に、まだまだ居座るのかもしれない。蝉を含む夏虫の出勤日も、まだまだ足りてはいない。
 ベランダから、仲良く飛ぶアゲハ蝶のつがいを見た。彼らもまた、

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さよなら八月、またきて九月

さよなら八月、またきて九月

この連休が過ぎれば、次に八月を迎えるのは、一年後となりますね。当たり前な話だけれど、なんとなく確認したかったのです。また夏が来るという事実を......。

さて、皆さま。こんばんは、KHです。
突然ですが、問題を出します。
三十一日で終わってしまうのは、なんだろな。

答えは、八月です。
一説によれば、一月、三月、五月、七月、十月も、そうらしいです。
人によっては十二月も、そうらしいのです。

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