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散文

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空の公園|写真|散文

空の公園|写真|散文

なぁ…… どっか行かないか?

僕のなかの誰かが、そう言ったのは
きっと、忙しい日々のなかで
忘れそうになっている大切な何かを
取り戻すためだったんじゃないかな……

空へと続いていくような場所に
優しい香りの花が咲いていた……

チラシに騙された、と不貞腐れたキミの
拗ねた横顔に思わず笑みがこぼれる

牡蠣はどこ?

小さな唇をツンと尖らせて僕をにらむ
ごめんごめん、僕だって騙された側だよ
けど

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オーマイ、ママ!|散文

オーマイ、ママ!|散文

あの子と遊んじゃイケません
友達は選びなさい
あなたのために言ってるの
あの子はマイナスになってるわ

うちのママというひとの言葉ときたら
なんと酷い言いぐさなのであろうか

これは僕の人生なんだ
友達まで親に決められてたまるかってよ

ママがその気ならこっちにだって
考えってもんがあるんだよ
家になんか帰ってやるもんか
ママのお小言なんて糞くらえってんだ

落ちていく、堕ちていく……
全ては自由

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いいのか? それで……|散文

いいのか? それで……|散文

消えたい、今すぐに……

ここから、いや全ての人の記憶から
姿形なく忘れ去られてしまいたい
もとより無かったものとなれば
私が抱えてしまったこの感情すらも
綺麗さっぱりと
跡形もなく消えてしまうはずだから

防衛本能の最終手段……

世渡り下手で済ませてんじゃねぇぞ
個性とかで片付けてんじゃねぇぞ

あんたの大切なひと、死ぬかもよ?

まだ、足りぬ。|散文

まだ、足りぬ。|散文

夢をみていた……

記憶のなかに鮮明に残るその部屋は
きっと僕の命が最も寂しくあって
そして、優しさを全身に浴びていた場所

行きたい処がある、そう言った
僕が寝たふりをしているその隣に座って
誰よりも素早く姿を変えていく君に
なにかしてあげたいと夜に駆け出した

時間がない……

ノイズが肩甲骨や腰のあたりから湧いて
暴れるように真ん中へと集まっていく

真っ暗な夜の闇のなかで見つけた灯りに

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天真爛漫、君は素敵だ。|散文

天真爛漫、君は素敵だ。|散文

貴方はとてもいい人ね、……だけど
顔が嫌い顔が嫌い、
貴方の顔が、嫌いなだけ……!

強烈な歌詞がスポットライトの中に咲き
取り巻きたちを払い除けて僕は走った
いちばん近い場所で彼女たちを観たい

中学の僕からすれば高校生の彼女は憧れ
その中でも僕のいちばんは『お恭さん』
すらりと高身長な彼女は、常にクール
近づくものに媚びることのない鋭い瞳は
もう、格好よすぎ……の一言に尽きる

金色の長髪、そ

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その、理由。|散文

その、理由。|散文

星よりも速く流れる街の片隅に
君の姿を捉えたとき
僕の足はその一歩すら踏み出せずにいた

それは君が守られるように
ひかりの腕の中に眠っていたから
そして、
疲れきったようなその寝顔は
泣きはらした後のものだと気付いたから

『おまえか、』

ひときわ強い光の筋が僕の額を貫く瞬間
確かに僕にはそう聴こえていた
低く、とても落ち着いた様子でいながら
確実に狙いを定めたような響きだった

瞬時に僕は理

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La. mama|散文

La. mama|散文

多くを語らずとも読み解ける、君のこと

どこからともなく懐かしい顔ぶれが
僕のもとへと集まってくる薄暗い部屋
それは心なしか寂しそうにも見え
けれども勇気づけられる雰囲気でもある

流れ込んでくる相手の近況や感情
それは決して前途洋々な物ではなかった
僕の顔をみて黙って肩を組んでくる者
無茶苦茶なふざけかたで笑いを誘う者

あいつ、心のなか泣いてるな……

そんな奴に限って、無駄にあかるい
そして

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物申す|散文

物申す|散文

例えば、それが彼氏であったり
旦那であるかもしれないし
もしかしたら親子であったりする訳で

絶対的な絆だと信じている……
そんな関係性なわけじゃないですか?

そいつら、平気で裏切ってくる訳ですよ
え? あぁ、夢のなかの話なんっすけどね

こちとら悶々とした目覚めからの日常
……え、なんか
やってらんなくない? ってならない?

あんた、よくも裏切ってくれたよねって
言いたくもなったりするわけで

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幸せ詐欺にご用心|散文

幸せ詐欺にご用心|散文

生きていればいい事あるから、なんて
何故にそんなふうに言うてくれるか
あたかも「幸せしかないよ」みたいで
それじゃまるで嘘つきになってしまうが
……よろしいか?

涼しい顔して無責任とも取れよう言葉で
突き放さないで貰えると僕、喜びます

生きていればいい事も悪いこともある
強いていうならば、不幸のほうが
どうしたってひとの記憶にこびりつく

物事を悪いほう悪いほうへと想像する
そして何も起きては

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そのこどこのこ|散文

そのこどこのこ|散文

めぐみは、元気に笑っているか……

とある病院の待合室でのことらしい
偶然にもわたしと同じ苗字だったひとが
見知らぬ男性から声をかけられた、と

見たところ男性はかなりのご老人で
あまり身体の強そうな方ではなかったと

えっと、どこのめぐみさんの事で……?

声をかけられたほうもそれなりの年輩
すぐに頭に浮かぶめぐみさんは、居らず
それも致し方ないこと、わたしと彼は
血縁関係にはない単なる顔見知り

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曲者んじゃねぇよ、サンタだよ!|散文

曲者んじゃねぇよ、サンタだよ!|散文

ジングルベル、ジングルベル。

はたしてサンタクロースというものは
この世に存在しているのだろうか……

と、毎年この季節がやってくると
何処からともなく浮上するお決まり疑惑
そんな大袈裟な?
そう、大袈裟にしたくなる僕は……

なにを隠そう、
宇宙人は実在している! 派なのです

……と、いうことは。
さぁ、どういうことだと思います?

我が家の親は現実を突きつける派だった
いかん、いかんよそん

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ほっとしてグッときて、アイフル。|散文

ほっとしてグッときて、アイフル。|散文

興味なんてものはありはしなくて
観てるんじゃなくて視えているだけで
もっと極端に言うとするならば
それは勝手に流れているだけの番組

ふとした折に耳に入ってくる音
それに、くすっと心が笑った瞬間に
斜め後ろくらいの角度あたりから
ぷっ……と吹き出す気配を感じたとき

あぁ、独りじゃないんだ……

なんて気づけたらとても幸せだって
特になにを話すわけでもなくて
ましてや愛のことばなんてものは
もとも

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Ah-hoo!|散文

Ah-hoo!|散文

生きていて良かった……

ひとは生きている間に、何度くらい
そんなふうに感じる事があるんだろうね

んでもって、また
そんな風に感じた瞬間を鮮明に覚えてる
そんなことって何れくらいあるのかね
常に新しいからこその感動なのだろうか
はたまた単なるバカなのだろうか……

にんげんってヤツは不思議なイキモノ
楽しかった記憶は確かにあるはずなのに
どうしても辛い記憶を蘇らせたがって
落ち込んで……堕ち混ん

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月に祈りを、干物女ver.|散文

月に祈りを、干物女ver.|散文

なぁ、俺は死ぬんかな……

……は?
なにを馬鹿なことを言っておるのだ、と
顔をみれば彼は至って真面目な面持ちで
あたかも死の宣告でも受けて参りました
のような絶望の眼差しを僕にむけている

……何があったのか話してみろ
とでも訊いて欲しいのであろう、沈黙
さすがの僕でもそうするべきだと読めた

中学んとき行方不明になったあいつ……

……あいつ? あ、思い出した
たしか彼と仲良しだった友達のうち

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