記事一覧
Maternity Eternity 15
ついに、生まれる。
予定日より数週間早くうまれた友人が多くて、私は予定日の2週間前からいつ来てもいいように覚悟しつつ、最後の追い込みとばかりにやっぱり仕事をしていた。陣痛の傾向はまるでなかった。ある朝、ほんのわずかな違和感があった。水が、流れた気がする。話にきいていた破水とは違った。「間違いようがないからわかるわよ。歩くたびにじゃばじゃばって水が流れるから」そう助産師さんは言っていたのだ。念のた
Maternity Eternity 14
安定期黄金期
胎動は結局臨月まで続いた。心音が聞ける機械を返却した。トレーニングも順調で、私はヒールのあるショートブーツでがんがん歩き回るようになった。生まれたらなにもできなくなるってみんな言うから、今のうちになんでもやっておこう。とはいえ、私のやりたいこと「なんでも」は、仕事だった。レコーディング、撮影、ラジオ、打ち合わせ、ロケも行った。ビジネス交流会にも参加して、新しい人と出会い、新しいプロ
Maternity Eternity 13
マタニティトレーニング
安定期も2ヶ月目に突入し、お医者さんには何回も運動していいのか確認した。全然問題ないですよと言われても、信用ならなかった。自分が、信用ならなかった。けれど、身体の中で命が育ってゆくという感覚を作品にしたいという欲求は日に日に高まっていった。私はついにトレーニングを再開することに決めた。一人の意見を信じるというのは怖かった。もしもの時、その人のせいじゃないのにその人のせいに
Maternity Eternity 12
絶対に産めますハンコ
安定期に入った。でも、私は全然安心しなかった。神さま、絶対に大丈夫というハンコがあるなら押してください。
早産の場合、いつからなら助かる確率があがるのか、ひたすら調べた。どうやら26週、7ヶ月後半なら大丈夫そうだ。いや、でも安心できない。家族に言うのは28週、8ヶ月になってからがいい。
初めて妊娠した時は、妊娠22週までなら海外保険に入れるからツアーにもいけるな!と計算して
Maternity Eternity 11
流産を繰り返した女は、流産しそうにない服を着るのか否か。
流産を繰り返したなら、ぜーったいに「流産しそうにない服装」になるような気がする。でも違った。私はこれまでと同じ服装を着るのを好んだ。もちろん、おなかは締め付けないようにマタニティパンツ。体を冷やさないようにヒートテックやらなにやらほかほかグッズ。(ユニクロ最高。日本にうまれてよかった。)だけど、ぱっと見はこれまでのような、黒っぽくて、シュ
Maternity Eternity 10
ついに胎動が始まる。
病院でベビーの心音が聞こえても、次の診察まで毎日が不安だ。自宅で心音が聞ける機械をレンタルして、毎朝確認した。でもこの機械、胎児の負担にならないように使用時間が1,2分に限られている。そして、日によって心音がどこからきこえてくるかわからない。探している間にタイムリミットが訪れることも多かった。そんな日は、一日中そっと行動した。そんなことをしてもたいして意味がない。わかってい
Maternity Eternity 07
海外ツアーの延期・キャンセルを申し入れる。
半ば決死の覚悟で、商談中のプロモーターさんたちに伝える。
妊娠したこと。けれど、私は不育症で今回もどうなるかわからないこと。迷惑はかけたくないこと。だけどとても出演したいと思っていること。
あぁ、すでに何回も仕事をしたことがある人たちだったなら。中には一度しか会っていない人もいた。一度も会わずzoomでしか話していない人もいた。私は泣きそうな顔をしてい
Maternity Eternity 06
フリーランスが妊娠すると、仕事を続けるのが困難になる。
また新しく命が宿ってくれた。とはいえ、度重なる流産を経た不育症の私には、嬉しさと、喜んだらまた悲しくなるかもしれないという不安でいっぱいだった。
これからどうなるかわからない。でも、今話している仕事は半年一年先のツアーのこと。安定期なんて待っていられない。家族にも言っていないけれど、先に伝えなくてはいけなかった。
もしかしたら否定的なこと