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フランス生活

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フランスでの生活の一コマや、経験の記録。フランスについて思うことなどなど
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記事一覧

新しい家と暮らしと家族

新しい家と暮らしと家族

引っ越しから2ヶ月が過ぎた。
新しい暮らしにも随分慣れて来て、買い出しのタイミングと必要なストックの量も分かって来たし、暖炉で火を起こしたり、灰の掃除や薪の補充など一連の作業も、割と楽しんで出来ている。ちなみにうちの暖炉は扉が閉められるタイプなので、薪ストーブに近いかもしれない。これ一つで、2階まで家を丸ごと暖めてくれる。蝋燭の炎などもそうだけれど、昔から炎を眺めるのが好きだった。ゆらゆらと揺らめ

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フランスで家探し 《後編》

フランスで家探し 《後編》

パリから車で一時間半。辿り着いたのは、一言で言うなら個々の割当てを広く取ったキャンプ場のような場所だった。野鳥がいる水辺があり、木々で覆われた広い敷地を、区画ごとに低い塀や生垣で囲ってある。ログハウス、トレーラーハウス、平家、二階建て、大きさもスタイルも様々な、思い思いの住まいが並んでいた。
入り口は開放されているものの、一応私有地なので、たまに車が通っても歩行者に配慮しているのが感じられる。基本

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フランスで家探し 《前編》

フランスで家探し 《前編》

2020年から数年間、コロナのロックダウンの影響で、地方へ流出するパリジャンが多く出たらしい。パリ郊外の通勤圏内は特に、軒並み不動産価格が上昇したと聞いた。さらに銀行の金利は上がる一方で、貸し渋りも増えている。不動産を買うには良い条件とは言えないけれど、諸々の事情で「動くなら今」と意見が一致したのが、今年の春。それから7月末の仮契約へ辿り着くまでの数ヶ月間、本当に色々な「住まい」を見て来た。

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一時帰国の後で

一時帰国の後で

2022年が、あとひと月で終わろうとしている。
10月には3年半ぶりに日本へ一時帰国することができた。遡ること5月末、翌月からの燃油サーチャージ大幅値上げを見据えての、一種の「賭け」だったが、無事に辿り着いた。その時、フランス移住後もずっとメールでやり取りをしていた10年来の友人と、久しぶりに顔を合わせた。前回までの一時帰国ではタイミングが合わず、実に7年ぶり。空港へ迎えに来てくれた彼女と夫とは初

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バルコナージュはじめました

バルコナージュはじめました

昔、誕生日の度に小さなサボテンをくれる友達がいた。私がパソコンを使って絵を描くので、側に置いておくと電磁波を和らげてくれて良いとか、そんな理由だったと思う。3度もらって、3度とも枯らしてしまった。サボテンは手間がかからないが、逆に水やりの間隔が開きすぎて、机の上の只のオブジェと化してしまったのが原因だろう。申し訳ないことをした。3度もらう前に、正直に枯らしたと言うべきだった、いや、もしかして言った

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雨とキャンプと自転車旅行

雨とキャンプと自転車旅行

フランスで初めてしたことの一つに、自転車旅行がある。

2016年:南フランス周遊(アヴィニョン - ニーム - カマルグetc.)3週間
2017年:大西洋沿い(ロシェル - 島2つ - ロシュフォール)6日間
2019年7月:ロワール川沿い古城巡り10日間(記事はこちら)
2019年8月:ドルドーニュ地方11日間
2020年:オーベルニュ地方10日間

毎回夫との体力差には泣かされるものの、過

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夏時間《サマータイム》とフランス語

夏時間《サマータイム》とフランス語

3月初旬にフランス移住したせいか、夏時間→村上春樹→語学習得の振り返りと、見事に話が逸れて行きました。この6年、振り返ればあっという間。

3月の最終日曜日、午前2時になった瞬間、時計の針が3時へ進む。この1時間のワープが欧州の夏時間開始の合図。
今年は不思議と午前2時に目が覚めてトイレへ行き、それから暫くどうにも寝付けず仕方なく本と携帯片手にキッチンへ。オーブンに付いているデジタル時計は4時を過

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戦争の定義

戦争の定義

2020年の春、ロックダウンが始まる前の演説で、フランスのマクロン大統領は「Nous sommes en guerre(戦時中なのです)」と言った。
新型コロナウイルスとの戦争だと。非常時だから、感染がこれ以上拡大しないように、ロックダウンという、人々の自由を大きく侵害する手段を取らざるを得ないと。

1日1時間、自宅から1kmの範囲まで。外出の際は、その理由を記した証明書を携帯する。街には警察官

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2022年を迎えて

2022年を迎えて

最近思うことは、そろそろワクチンに関しては、積極的に情報収集しなくても良いのではないかということ。当初、その効果や安全性について専門家の意見は極端に割れていたが、今は、誰が信頼出来て何を参考にすれば良いか分かる。各国のデータや論文等での答え合わせにより、様々な仮説が事実と間違いに振り分けられた。長期的な部分は未だ明確でないにしろ、大枠でどんな物かということは、自分の中でひとまずケリが着いた。

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ワクチンパスポートがもたらすもの

ワクチンパスポートがもたらすもの

日本でも一部で導入が始まり、話題になっているワクチンパスポートですが、フランスでも最初はごく限られた場所のみでの適用で、所持していなくても特に困らない物でした。
フランスの厚生大臣も「(パスの有無が)差別に繋がる物であってはならない」と明言していましたし、導入時には特別な危機感もありませんでした。

それが今年7月のバカンス直前、ワクチンの大規模接種が始まると同時に適用範囲が大きく変更され、8月以

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ワクチンパスポートの是非

ワクチンパスポートの是非

今、フランスではワクチン接種が大々的に勧められ、6割弱の59.5%の人(16歳以上では73.50%)が既にワクチンを2度接種したようです(7/25現在)。

そして、政府はこのワクチン接種が完了した証明書である「ワクチンパスポート《Pass Sanitaire》」を携帯していないと、カフェやレストラン、映画館、図書館、スポーツ施設、病院(緊急時を除く)など、身近な場所へのアクセス(長距離列車や飛行

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自転車でロワール古城めぐり

自転車でロワール古城めぐり

10日間かけて、古城で有名なロワール地方を自転車で周りました(2019年7月)。フランスの北部に位置するパリからは、南西方面へ電車で2時間くらい。ワインの生産地でもあり、安くて美味しいワインを毎晩飲みながらの自転車+キャンプ旅行でした。

ロワール川流域には数百もの古城が点在しており、世界遺産にも登録されているので、フランスが好きな人は知っている人も多いかもしれない。私も以前からその景観の素晴らし

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ヴァンセンヌの森の鳥たち

ヴァンセンヌの森の鳥たち

パリには、大きな森が二つあります。パリを挟んで東側にあるのがヴァンセンヌ(Vincennes)、西側にあるのがブーローニュ(Boulogne)。この「森」というのが、同じ首都でも東京では想像つかない類の「本気の」森で、人の手が入り整備された、いつも誰かが散歩やジョギングしている、明るい憩いの場だけでなく、奥深くには、昼間でも一人では歩く気にならないような(実際にオススメしません)、鬱蒼としたエリア

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