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エッセイ・コラム・ショートショート等々

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ヘッダー画像は尊敬するナンシー関さんの著書です。
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#思い出

【エッセイ】レンタルビデオ屋の名犬ラッシー

【エッセイ】レンタルビデオ屋の名犬ラッシー

高校何年生だったか定かではないがティンバーランドのナイロンパーカーにユニクロのマフラーを隙間なく巻いていた寒い冬だったことは覚えている。
雪が降ってなかったからその日は自転車で通学した。五時も過ぎれば外はもうすっかり夜の色。僕は自転車のライトを点けていつもの道を家に向かって帰っていた。部活を終え時刻は7時も近かったと思う。
僕はほぼ毎日のようにレンタルビデオ屋へ立ち寄っていた。
朝は返却ボックスに

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【エッセイ】ストツーと半ズボン

【エッセイ】ストツーと半ズボン

昨年、レスリングの吉田沙保里さんが春麗(チュンリー)のコスプレでストリートファイターのCMに出ていた。
ストリートファイターももうⅥ(シックス)なのだなーと画面に釘付けになった。
驚いたのはシリーズの数字だけではなくチュンリーとスマホで入力したら春麗と変換候補で出たこともそうだ。
今当然のようにストリートファイターだの春麗だのと並べているが知らない人にはなんのこっちゃな話である。
遅ればせながら、

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【エッセイ】デパートの屋上遊園地−香林坊大和−

【エッセイ】デパートの屋上遊園地−香林坊大和−

再会

東京の友人と再会した(以下Aくんとする)。
Aくんは小学校の6年間と中学校の1年間を共に過ごした同級生だった。
僕には悲しいジンクスがあった。
仲良しとは長く一緒にいられなかったことだ。
仲良しの友人は親の転勤で遠くの地へ行ってしまうのだ。
Aくんもその一人だった。
PHSも持ってなかった時代、都会へ引っ越していったAくんとは年に一度の年賀状で繋がっていた。
携帯電話を持つ年齢になるとメー

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【エッセイ】僕と「きっちゃてん(喫茶店)」

【エッセイ】僕と「きっちゃてん(喫茶店)」

僕の記憶力はとても頼りない。
してないことをしたとは流石に言わないにしてもいつどこで誰としたのかの詳細の信頼度は記憶が古ければ古いほど低くなる。
特に人の名前を覚えることが苦手で中学生の頃観ていた「さんまのSUPERからくりTV」の人気コーナー「玉緒が行く」の中村玉緒ばりに「うぉほほ、ところであなたどちら様でしたっけ」てなレベルである。
かといって妖怪の名前はドラえもんの暗記パンを食べたかのように

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【エッセイ】忘れえぬ上司

【エッセイ】忘れえぬ上司

底抜けに明るい上司がいた。
かつて派遣として働いていた会社に大柄で大食いで2リットルのペットボトルのミネラルウォーターを垂直にグイグイゴクゴクとラッパ飲みした後すぐに冗談を言ってガハハと重低音で大笑いする私より3つか4つ歳上の男性社員がいた。
その性格の明るさの底抜け具合は底なしだった。
私にはその上司が「少年アシベ」に出てくる体育教師の天堂先生と重なってみえていた。(以下天堂さんと呼ぶ)

学校

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【エッセイ】コナンと風鈴と畳の匂い

【エッセイ】コナンと風鈴と畳の匂い

夏至が梅雨の最中と重なることに気づかず1983年から生きてきた。あまりの一般常識のなさに情けなくて笑えてくる。

夏至が過ぎ夏の入口に立ったか……
いや、まだだな。
梅雨が明けてないのだから。

年々日本の夏は手強くなっている。
どの季節も異常が異常でなくなってきているが、夏はここ数年文字通り我々生き物を仕留めにかかってきている。
好き嫌いの次元ではない(夏も冬もどの季節も好きだし嫌いでもある)

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【エッセイ】残留思念の町

【エッセイ】残留思念の町

お元気ですか?
風邪なんかひいてませんか?
遊んでますか?
勉強してますか?
大型連休………楽しんでますか?

これじゃあまるで知る人ぞ知る中森明菜様のアルバム『ファンタジー〈幻想曲〉』に収録された語りだけのトラック「明菜から……。」じゃないか。と、早速わけがわからない出だしになってるが、要するに5月の大型連休如何お過ごしでしょうか?と、お尋ねしたかったのだ(まわりくどい)。
ちなみにこちら↓が「

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【エッセイ】ハスキーな子守唄

中学校の美術の先生はハスキーボイスの女性だった。年齢は三十代後半だったろうか。当時はもっと大人な女性に写っていたが改めて振り返ってみると今の自分と変わらないのかもしれない。
中坊だった私は今よりも何も知らなくて例えのレパートリーも少なくハスキーボイスの先生に内藤やす子さんの六本木ララバイ歌ってよなんて冗談、思いつきもしなかった。
今ならやす子先生(ここからはそう呼ばせてもらう)にデュエットなんてい

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【思い出】梶芽衣子さんへの詩

【思い出】梶芽衣子さんへの詩

映画「修羅雪姫」をはじめて観た時から僕は【梶芽衣子】という沼にはまっていった。
もがきはしません。
目を閉じてスーッと静かにはまっていきたい。
もっと深くに沈んでみたいと思った。
それほどここちのよい沼だった。
その想いの熱量は今も変わってはいない。

今から5年程前。
僕にある吉報が届いた。
「歌うことが今はとても楽しい」と梶さん。
これからは【歌手・梶芽衣子】の活動に力を入れていきたいと…

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