#習慣にしていること
エッセイ:大ちゃんは○○である48
週に二回、演技レッスンとボイストレーニングのレッスンは進んでいった。
自分にはあまりないと思っていて、実はひょっこり顔を出していた羞恥心も
徐々に徐々に消えていった。
一番『恥ずかしい!』という感情を抱いたのは何をした時だっただろうと思い返してみたが、
やはりダントツでアレをして、アレになって、アレだった時だった。
アレというのは、あるワンシーンを撮影しながらの演技レッスン。
場所は都営浅草線、浅
エッセイ:大ちゃんは○○である47
竹村から言われたことで印象的だった言葉がある。
「俳優って字はどうやって書く?人に非ずって書いて優れてるって書くだろ?
この字がどういうことを表してるのか、よく考えてみるといい。」
「例えば人殺しの役がきたとする。
その時、僕は人を殺したことなんてないからできません。って言うか?言わないよな?
人を殺したことがなくても、ボクシングをやったことがなくても
馬に乗ったことがなくても、銀行強盗をしたこと
エッセイ:大ちゃんは○○である45
レッスンの中では『一分間エチュード』という時間もあった。
エチュードという言葉。聞いたことがあるだろうか?
知っている方もいるだろうし、初めて耳にするという方もいると思うが、
簡単に言うと台本のない即興劇のことだ。
場面の設定だけがあり、セリフや動作などを役者自身が考えながら行う。
このエチュードに関しては、それこそ役者時代数えきれないぐらいやった。
時と場所を選ばず、事務所メンバーが集まれば
誰
エッセイ:大ちゃんは○○である40
皆が互い互いに顔を見合わせ、竹村の言葉に動揺しているようだった。
おそらく全員が思ったに違いない。
『何言ってんの、このおじさん。
頭おかしいんじゃないの?何だよ、隣のビルの窓を割ってみようかって。割れるわけないじゃん。』
予想していた皆の反応だったのか、チラッと竹村に目を向けると
竹村は口角を上げ、ニヤニヤとした表情を浮かべていた。
「どうしたんだよ、みんな?
自信のあるやついないのか?」
自信
エッセイ:大ちゃんは○○である39
「じゃあ、早速始めていこうか。
とりあえず一人づつ自己紹介してもらって、そっからね。
はい、じゃあ君から。」
指を指された髪の長い女の子は、竹村から指名を受けるやいなや席を立ち
前に出ると、物怖じすることなく自己紹介を始めた。
そのフットワークの軽さたるや、大したもんだ。
僕はやや感心しながら見ていた。
「はい、ありがとう。じゃあ、次君。」
早いテンポで一人一人の自己紹介は続いていく。
自己紹介の
エッセイ:大ちゃんは○○である37
プロダクションのレッスンは半年間のスケジュールになっており、
メニューとしては、演技レッスンとボイストレーニングがメインだった。
オーディションに合格したといっても、この半年間のレッスンの中でさらに脱落者が出るという。
半年後、事務所サイドに難しいと判断された者は
所属には至らず、去らなければならない。
合格者として集められたのは、僕を含め12人だったと思うが
あくまでこの12人はレッスンスタート
エッセイ:大ちゃんは○○である35
旅立ちの日は見事なまでの快晴だった。
何かイベントごとがある時は、必ずといっていいほど雨の祝福を受けていた僕だったが、
そんな雨男の僕が『嘘でしょ!?』とびっくりしてしまうぐらいの快晴。
これはなかなか幸先がいいじゃないかと、空に目をやり微笑んだのも当然だった。
東京行きの新幹線では、窓側の席に陣取った。
その時MDウォークマンで繰り返し聴いていた曲は今でも忘れもしない。
GLAYの『BEAUTI