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エッセイ:大ちゃんは○○である39

「じゃあ、早速始めていこうか。
とりあえず一人づつ自己紹介してもらって、そっからね。
はい、じゃあ君から。」
指を指された髪の長い女の子は、竹村から指名を受けるやいなや席を立ち
前に出ると、物怖じすることなく自己紹介を始めた。
そのフットワークの軽さたるや、大したもんだ。
僕はやや感心しながら見ていた。
「はい、ありがとう。じゃあ、次君。」
早いテンポで一人一人の自己紹介は続いていく。
自己紹介の途中、竹村がレッスン生に質問することはなく
順番に繰り返される自己紹介のそれぞれを、何も言わずにただジーっと見ているだけだった。
全員の自己紹介は本当にスムーズに終わった。
経過した時間にして15分も経っていなかったんじゃないだろうか。
「これで、全員かな。はい、みんなありがとう。
大体のところは分かりました。」と竹村は言った。
皆の顔は緊張を保ったままだ。
次は何をやらされるんだ?一挙手一投足を注視されているような感覚。
きっとそう感じていたのは僕だけじゃないだろう。
「じゃあね、次は全員立ってもらおうかな。
あっ、その場で立ってもらうだけでいいよ。」
全員が竹村の声に反応し、その場で席を立つ。
「みんなね、右側を見てもらってもいいかな。
道路を挟んだ向かい側にビルがあるよね?
とりあえず全員であのビルの窓を割ってみようか。」
ニヤニヤしながらそう言う竹村に困惑を隠せなかったのは
これまた僕だけではなかったはずだ。

つづく

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