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#日記
<書評>『神智学 超感覚的世界の認識と人間の本質への導き』
『神智学 超感覚的世界の認識と人間の本質への導き』 ルドルフ・シュタイナー著 高橋巌訳 イザラ書房 1977年
神智(人智)学で著名なシュタイナーが、神智学を紹介するために最初に出した本。この内容をより詳細に述べたものとして、『神秘学』を後に出版している。巻末にある本人の自歴と解説を読むと、シュタイナーは、19世紀末オーストリアという、当時の知的世界の最先端の地域で、カントからヘーゲル、そして
<書評>『錬金術 タロットと愚者の旅』
『錬金術 タロットと愚者の旅』 ルドルフ・ベルヌーリ著 種村季弘訳 青土社 1972年
錬金術及びタロットについての研究書。訳者は、日本でこの分野の研究をしている第一人者で澁澤龍彦と並ぶ研究者。澁澤がフランス語なら、種村はドイツ語を基本にしていることが二人の相違になっているが、内容はかなり重複しているように思う。
一方、錬金術という言葉や概念は、私が中学の歴史の教科書に書かれていた記述を未
<芸術一般>マンレイと写真について(『ユリイカ』1982年9月号「マンレイ特集」から)
1982年の雑誌『ユリイカ』はマンレイの特集をしたが、文芸誌では日本で初めてマンレイを特集したと説明されている。私は、シュールレアリスムに関心があったので、たまたまこの時に『ユリイカ』を買い求めたが、当時の日本でマンレイとは、シュールレアリスムの本流から外れた(主に肖像)写真家というイメージが強かったように思う。
一方、私のマンレイの写真で当時知っていたのは、この有名な「バイオリンダングル」
<書評>『Dracula吸血鬼ドラキュラ』その3
原書が長編であることや、内容が多岐にわたっていることもあり、長い論考になってしまった。それで、1.序論、2.各論、3.結論の3部構成にし、また、(項目ではなく分量から)3回に分けて掲載した。その3回目。
3.結論
(1)日本語版で読んだときの印象から
中学3年だったと思う。『吸血鬼』ドラキュラの日本語に翻訳した文庫本を買ってきて、数日かけて一気に読んだ。最初のハーカーがドラキュラ城で恐怖
<書評・芸術一般>『Duchamp love and death, even(デュシャン 愛と死、さえも)』
『Duchamp love and death, even(デュシャン 愛と死、さえも)』 Juan Antonio Ramirez ファン・アントニオ・ラミレス著 1998年 Reaktion Book Ltd. London 原著は1993年にスペイン語で発行され、1998年に英訳が発行された。
20世紀を代表する芸術家マルセル・デュシャンの研究書。Henri Robert Marcel
<書評>『シンボル形式の哲学』
『シンボル形式の哲学』全4巻 エルンスト・カッシラー 生松敬三、木田元、村岡晋一訳 1989年 原題は 『Die Philosophie Der Symbolischen Formen』 Ernst Cassirer 1923年
第一巻「言語」、第二巻「神話的思考」、第三巻「認識の現象学(上)」、第四巻「認識の現象学(下)」にわたる大著である。もともと内容が難解なドイツ語原文を日本語に翻訳して
<書評>『トリックスター』
『トリックスター』ポール・ラディン 皆河宗一訳、カール・ケレーニイ 高橋英夫訳、カールグスタフ・ユング 河合隼雄訳、山口昌男解説、晶文社 1974年
原書は、”The Trickster—A study in American Indian Mythology” Paul Radin, Karl Kerenyi, C.G.Jung, 1956 Routledge & Kegan Paul, Lon