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書評

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文学、芸術、歴史を中心に、書評だけでなく、そこから思い付く思想を展開します。
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#日記

短編小説集出版のお知らせ(宣伝です)

短編小説集出版のお知らせ(宣伝です)

 この度、Amazonのkindleストアから、電子書籍として二冊の短編小説集を出版しました。一つは、長年書き溜めてきたクリスマスストーリーから9編を選んだ『クリスマスストーリーズ』。もう一つは、J.D.サリンジャーの『ナインストーリーズ』や中井英夫の『とらんぷ譚』(特に『幻想博物館』)のような作品をイメージした、九つの短編を選んだ『九つの物語』です。 

 これまで、noteでいくつかの作品を投

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<書評>『パウル・クレー 造形思考への道』

<書評>『パウル・クレー 造形思考への道』

 『パウル・クレー 造形思考への道』 ウェルネール・ハフトマン著 西田秀穂・元木幸一訳 美術出版社 1982年(原著は1957年)

 20世紀に登場した数々の前衛芸術家の中で、コンポジション(構成、造形)と称される抽象絵画を中心に活躍したクレーについての研究書。クレーはまた、まるで書家のような筆使いの、一種プリミティヴな作品も晩年に多く残している。

 本書はクレーの芸術家としての歴史を追ってい

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<書評>「現代思想 総特集 親鸞」

<書評>「現代思想 総特集 親鸞」

「現代思想 総特集 親鸞」 青土社 1985年。

 日本でもっとも信者が多く、もっと広く普及している浄土真宗の開祖である親鸞について、多方面の研究者の評論を集めたもの。親鸞について、仏教という枠組みを超え、哲学や民俗学の領域などから考察を加えている。それは同時に、日本人の宗教観や心性を研究することにもつながっている。

 本書に収められている各論考を読み進めていくうちに、いくつか思いつくことがあ

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<書評>『神智学 超感覚的世界の認識と人間の本質への導き』

<書評>『神智学 超感覚的世界の認識と人間の本質への導き』

『神智学 超感覚的世界の認識と人間の本質への導き』 ルドルフ・シュタイナー著 高橋巌訳 イザラ書房 1977年

 神智(人智)学で著名なシュタイナーが、神智学を紹介するために最初に出した本。この内容をより詳細に述べたものとして、『神秘学』を後に出版している。巻末にある本人の自歴と解説を読むと、シュタイナーは、19世紀末オーストリアという、当時の知的世界の最先端の地域で、カントからヘーゲル、そして

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<書評>『錬金術 タロットと愚者の旅』

<書評>『錬金術 タロットと愚者の旅』

『錬金術 タロットと愚者の旅』 ルドルフ・ベルヌーリ著 種村季弘訳 青土社 1972年

 錬金術及びタロットについての研究書。訳者は、日本でこの分野の研究をしている第一人者で澁澤龍彦と並ぶ研究者。澁澤がフランス語なら、種村はドイツ語を基本にしていることが二人の相違になっているが、内容はかなり重複しているように思う。

 一方、錬金術という言葉や概念は、私が中学の歴史の教科書に書かれていた記述を未

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<芸術一般>マンレイと写真について(『ユリイカ』1982年9月号「マンレイ特集」から)

<芸術一般>マンレイと写真について(『ユリイカ』1982年9月号「マンレイ特集」から)

 1982年の雑誌『ユリイカ』はマンレイの特集をしたが、文芸誌では日本で初めてマンレイを特集したと説明されている。私は、シュールレアリスムに関心があったので、たまたまこの時に『ユリイカ』を買い求めたが、当時の日本でマンレイとは、シュールレアリスムの本流から外れた(主に肖像)写真家というイメージが強かったように思う。

 一方、私のマンレイの写真で当時知っていたのは、この有名な「バイオリンダングル」

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<書評>『都市の肖像』

<書評>『都市の肖像』

『都市の肖像―ヴァルター・ベンヤミン著作集11―』 ヴァルター・ベンヤミン、 岳澤静也、藤川芳朗、柴田翔各訳、編集解説 川村二郎
原著は、Walter Benjamin, Werke 11、Suhrkamp Verlag K G, Frankfurt

 原著のフランクフルトでの発行年は未詳だが、ベンヤミン自身は1940年にパリから逃亡途中のスペインで自殺している。そして、本書を構成する各文章の作

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<書評>『Dracula吸血鬼ドラキュラ』その3

<書評>『Dracula吸血鬼ドラキュラ』その3

 原書が長編であることや、内容が多岐にわたっていることもあり、長い論考になってしまった。それで、1.序論、2.各論、3.結論の3部構成にし、また、(項目ではなく分量から)3回に分けて掲載した。その3回目。

3.結論

(1)日本語版で読んだときの印象から

 中学3年だったと思う。『吸血鬼』ドラキュラの日本語に翻訳した文庫本を買ってきて、数日かけて一気に読んだ。最初のハーカーがドラキュラ城で恐怖

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<書評>『Dracula吸血鬼ドラキュラ』その2

<書評>『Dracula吸血鬼ドラキュラ』その2

 原書が長編であることや、内容が多岐にわたっていることもあり、長い論考になってしまった。それで、1.序論、2.各論、3.結論の3部構成にし、また、(項目ではなく分量から)3回に分けて掲載した。その2回目。

2.各論の途中から

(3)ロンドンにおける人種・宗教・文化の関係など

 ロンドンにいるアイルランド系の人たち(キリスト教カソリック)。トランシルヴァニアの吸血鬼(一応、キリスト教オーソドク

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<書評>『Dracula吸血鬼ドラキュラ』その1

<書評>『Dracula吸血鬼ドラキュラ』その1

 原書が長編であることや、内容が多岐にわたっていることもあり、長い論考になってしまった。それで、1.序論、2.各論、3.結論の3部構成にし、また、(項目ではなく分量から)3回に分けて掲載した。

1.序論

『Dracula吸血鬼ドラキュラ(文字に忠実に発音するのなら、ドラクラ?)』 Bram Stokerブラム・ストーカー著 1987年 掲載画像のものは、Collins Classicsの201

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<書評>『裸体の森へ』

<書評>『裸体の森へ』

『裸体の森へ』伊藤俊治著 筑摩書房 1985年

 現代美術及び写真評論を主としている著者曰く、「二十世紀の裸体」というテーマで、「『ヌードとは我々が何者かであること―それも我々自身にすらまったくなじみのない何者かであること』を我々に気づかせてくれるものなのだ。本書はその何者かであることを探すひとつの試みである」として、1984年に各種雑誌に寄稿した論考を集めたもの。

 私にはナチスドイツの時代

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<書評・芸術一般>『Duchamp love and death, even(デュシャン 愛と死、さえも)』

<書評・芸術一般>『Duchamp love and death, even(デュシャン 愛と死、さえも)』

『Duchamp love and death, even(デュシャン 愛と死、さえも)』 Juan Antonio Ramirez ファン・アントニオ・ラミレス著 1998年 Reaktion Book Ltd. London 原著は1993年にスペイン語で発行され、1998年に英訳が発行された。

 20世紀を代表する芸術家マルセル・デュシャンの研究書。Henri Robert Marcel

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<書評>『シンボル形式の哲学』

<書評>『シンボル形式の哲学』

『シンボル形式の哲学』全4巻 エルンスト・カッシラー 生松敬三、木田元、村岡晋一訳 1989年 原題は 『Die Philosophie Der Symbolischen Formen』 Ernst Cassirer 1923年

 第一巻「言語」、第二巻「神話的思考」、第三巻「認識の現象学(上)」、第四巻「認識の現象学(下)」にわたる大著である。もともと内容が難解なドイツ語原文を日本語に翻訳して

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<書評>『トリックスター』

<書評>『トリックスター』

『トリックスター』ポール・ラディン 皆河宗一訳、カール・ケレーニイ 高橋英夫訳、カールグスタフ・ユング 河合隼雄訳、山口昌男解説、晶文社 1974年
原書は、”The Trickster—A study in American Indian Mythology” Paul Radin, Karl Kerenyi, C.G.Jung, 1956 Routledge & Kegan Paul, Lon

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