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たかぱん
2024年7月2日 11:32
10年くらい前だったか、自分にミスが多くなったことを感じ始めた。生活上のこともそうだし、仕事の上でもそうだった。年齢によるものか、とも思った。以後、小さなことにもできるだけ気を付けるように心がけた。すると、慎重にすることで、ミスそのものは減った。 尤も、ミスというものは、自分で気づけばまだよいのであって、そもそも自分のミスに気づかない、というミスについては、どうしようもない。何か事が起こり、あ
2024年6月12日 11:43
私は、京都に住んでいるときには、自動車運転免許証の必要を感じなかった。そもそも、限られた石油を自分の欲望のために消費する自動車というものに、拒否反応を懐いていたのである。しかし、福岡に戻るという道が示されたとき、運転できるようにはなっておきたいと思うようになった。子どもたちを育てるためですあるが、いまはそのことを細かくお伝えする必要はない。 京都の自動車学校に入った。市の中心部に住んでいたので
2024年5月19日 10:21
牧師自身の心は、誰が世話をするのだろうか。 プロテスタント教会では、牧師という。礼拝説教を担う。教会員の魂の配慮を司る。教会を訪ねる人を迎える。中には、心を病んだ人も来る。そもそも自分の罪に気づいたからこそ、聖書や教会を求める、というのが筋だ。心の悩みをもつのは当然かもしれないし、実際精神疾患を患っている人も来るだろう。 だから牧師は、カウンセリングも学ぶらしい。「牧会心理学」などの名前で
2024年5月11日 11:19
当然、と言ってもよいと思う。2022年7月8日の安倍元首相銃撃事件から、毎日新聞社に、ひとつの取材が始まった。 宗教とは何か。これを問うことも始まった。特にその狙撃犯が位置しているという「宗教2世」という存在に、世間が関心をもった。次第にその眼差しは、彼らを被害者だという世論を巻き起こしてゆく。そして、子どもに宗教を教えてはいけない、というような風潮が、「無宗教」を自称する人々により、唯一の正
2024年4月23日 10:39
これは、テーマが重い。サブタイトルが「自殺の心理学」である。いまは「自死」という言い方が広まっており、すでに「自殺」という語が刺激の強すぎる語だと認定されつつある。だが、中高生にこの言葉を突きつけることになる。ちくまプリマー新書は、本来そこをターゲットに据えているからである。恐らく出版社側でも議論があったことだろう。だが、出した。その気概と向き合いたい。 著者はもちろん心理学畑の人である。まだ
2024年4月15日 12:09
熊本地震から8年が経つ。最初の揺れは、塾での授業中だった。生徒のスマホが一斉に警報音を鳴らしたため、机の下に頭を入れるように叫んだ。 今年の正月まさに元日に、能登半島に特に大きな被害を与える大地震が起きた。半島という地形が、人の動きを塞いだことは苦しかった。阪神淡路大震災でも、鉄道と高速道路のダメージが激しかったし、現地へ車で乗り入れるということも当面難しかった。熊本は、幹線道路は比較的走って
2024年4月9日 12:11
「すずめの戸締まり」がテレビ放映された。地上波で初放送だった。「君の名は。」のヒットから、「天気の子」も、夫婦で映画館でまず観た。それまで地味な活動を続けていた新海誠監督は、これらの作品でメジャーになり、アニメ界でトップクラスの地位に就くこととなる。 いずれも、災害がモチーフになっている。その災害に向き合う方法の主軸として、神道色の強い作品である。神楽が重要な意味をもったり、稲荷神社や気象神社
2024年3月28日 09:15
聖書に「心」と訳されている語は、原語ではひとつとは限らない。感情的なもの、心臓からくるもの、理性のようなもの、魂と呼んでもよいようなもの、もし日本語で別に訳そうとすればいろいろ可能な場合がある。しかし、それほどきっぱりと分かれるとは決める必要もない場合が多く、「心」と書いておけば、都合が好いのかもしれない。 英語でいうと、mind,spirit,heart,soul という例を挙げると、ここで
2024年3月10日 10:18
幼稚園が廃れている。午後2時にお迎えというスタイルに、働く親が対応できなくなってきているのだ。夕方まで預かる保育園に、次々とシフトしていく。夕方に迎えに行けるならまだよいほうで、夜にずれこむこともあるようである。 幸い、私は2時のお迎えができた。車で行く必要のあることもあったが、たいていは、歩いて往復できた。これは恵まれていた。途中、舗装された道路を通ることもできたが、たいていたんぼ道を歩いた
2024年2月19日 11:27
『戦争語彙集』という本が出版された。ウクライナで、戦禍の市民の声を詩人が聞きとった言葉が集められたものである。各方面から支持され、話題に上っている。日本語版では、ロバート・キャンベル氏が訳し、2023年12月に岩波書店から刊行された。だが、本の紹介は、いち早くNHKがすでに8月に大きく取り扱っている。 いまその本の紹介をしようとするのではない。その中の、ごくわずかな箇所だけに注目してみようと思
2024年1月16日 13:56
今年もこの日がくる。1月17日である。あの時も寒かった。とはいえ、私がその寒さの中で震えていたわけではない。被災者の姿である。私はぬくぬくとしていた。でも、あの姿を見ていたことは、忘れられるものではない。 だが今年は、また別の思いも駆け巡る。神戸よりもさらに寒い地域で震える方々のことだ。雪が積もる風景の中に、人々がビニルハウスの中で過ごしている。人は野菜ではないのに。 地震は、住むところを
2024年1月8日 10:25
成人式には出席しなかった。確か花園にラグビーの試合を見に行ったのがその日だったような気がするが、記憶違いかもしれない。ずいぶん昔のことである。 2000年から、現今のように、祝日としての成人の日は移動祝祭日となったが、それまでは1月15日と固定されていた。それは、母の誕生日であった。そのため、母の誕生日は毎年祝日で休みがとれ、実家を訪ねるのが普通だった。子どもたちもまだ大きくなかったし、孫の顔
2024年1月6日 08:36
人間が決めた暦など、自然は知る由もない。正月、しかも元日という、日本で特異な時、激しい地震が起こり始めたことは、特殊な被災状況をつくってしまった。東日本大震災も強烈だったが、私には阪神淡路大震災が重なって見えた。都市建築と比較的近代的な住宅が並んだ関西と比較して、古民家的な特徴の目立つ石川県の町々の被害は、実に痛々しい。熊本地震でも、民家の被害は大きかったが、被害の度合いはさらに増す。阪神淡路大震
2023年12月19日 11:56
猫を地域の中で育もうという運動に、陰ながら参加している。広い公園に、猫が百匹近くいるという。ボランティア団体があり、朝に夕に、餌を配し、住まいを調えている。雨の日も、風の日も。 今年、何匹かの猫が、虹の橋を渡って行った。虹の橋――これは、愛する猫が亡くなることの、ひとつの雅語である。 それまで親しくしていた相手が亡くなるのは、辛い。猫でも、情が通じると、そう思う。肌の温もりを知っていたら、