マガジンのカバー画像

まんぷく万福

11
食べ物の話。「まんぷく」になるおいしいものエッセイ。
運営しているクリエイター

記事一覧

焼き菓子好きの夢を叶えてくれる!横浜・「クッキー博覧会」

焼き菓子好きの夢を叶えてくれる!横浜・「クッキー博覧会」

前日から続いた雨があがり、
私はクッキー博覧会へ向かった。

大好きな洋菓子屋さんのSNSを見て知ったのだが、「クッキー博覧会」の文字列を目にした瞬間、もう、猛烈に行きたくなった。

博覧会とはなるほど、だ。
最近のクッキーは、缶をはじめとしたパッケージも、詰め合わせも芸術的だし、進化も目覚ましい。たくさん並べて見比べたい。

そして、「365日クッキーに溺れたい。」という攻めたコンセプトも素敵す

もっとみる
本と喫茶の幸せループ 鎌倉ひとり旅

本と喫茶の幸せループ 鎌倉ひとり旅

甘いものを食べたら、次は辛いものを食べて、
口が辛くなったら、また甘いものを食べたくなる…
無限ループにはまる。

同じように、
本を読むと、お茶や珈琲が飲みたくなって、
お茶や珈琲を飲んでいると、本を読みたくなる。

というのは、私だけでしょうか。

そんな幸せなループを、思う存分味わいたい!
ということで、
一泊二日で、本と喫茶を巡るひとり旅へ行ってきました。行き先は、今年も鎌倉です。

よく

もっとみる

味見係だった私と、母の肉じゃが

リビングにペタリと座り込み、
夕方のニュースを見ているふりをしながら、
小学生の私は自分の名前が呼ばれるのを、今か今かと待っていた。

晩夏の夕刻。
簾をかけているにも関わらず、隙間を縫って入ってくる西陽が眩しい。
腿にあたる籐のゴザは、ヒヤリとして気持ちがいい。

けれど、それ以上に気になって仕方ないのは、
部屋に漂ういい匂いだ。

 絶対に夕飯は、あれだ。私の大好物。
 間違えるわけない。

もっとみる
ひとり天ぷらランチ、という選択

ひとり天ぷらランチ、という選択

「天ぷらをお店で食べる」というと、
敷居が高く感じるのは私だけだろうか。
定食屋で、蕎麦の横についている天ぷらではなく、
天ぷら専門店の天ぷら。

関西人だった私が思い浮かべるそれは、寿司以上の高級品だった。
縁遠い「江戸の料理」で、さらに言えば、
銀座や神楽坂などの高級店だけで食べられる
選ばれし大人の料理というイメージだった。

✴︎
わが家は先週末に、初めて、
自分達でテントを建てるキャンプ

もっとみる
おばあちゃんの味は、あんドーナツ

おばあちゃんの味は、あんドーナツ

おばあちゃんの味、
というとどんなものを思い浮かべますか?

母の味はいろいろあれど、おばあちゃんの味です。

夫の場合は、なめこの味噌汁。
食べる度、「これを食べると、おばあちゃんの家を思い出すなぁ」と言います。
都会暮らしの夫の家では、なめこはなかなかお目にかからない食材だったようで、その素朴な味をおばあちゃんの味として覚えているみたいです。

私の場合は、あんドーナツ。
一口かじると顔がほこ

もっとみる
のぶしな玄米珈琲と薪窯ラスクと、ものを買うことについて

のぶしな玄米珈琲と薪窯ラスクと、ものを買うことについて

最近どうも、珈琲との相性がよくない。

味も香りも大好きで、
お菓子のお供になくてはならない存在だったのに。

飲んでいる時はいい。
変わらず美味しく幸せな気持ちで飲めている。

問題はその後だ。
胃のあたりが重たくなって、
一緒に気分も重たくなってしまう。

これはダメだ。
珈琲を飲めないのは悲しいけれど、
現実を受け入れて、前に進まなくっちゃあいけない。

新しい、お菓子の相棒となる飲み物を探

もっとみる
洋菓子屋さんのワンコインクッキーと、思い出の洋館

洋菓子屋さんのワンコインクッキーと、思い出の洋館

誰かとゆっくり話したい。

そんな気持ちを満たすため、
北欧暮らしの道具店のインターネットラジオを
愛聴しています。
店長の佐藤さんと、よしべさんの繰り広げる緩やかなトークが心地いいんです。
トークテーマについて、私ならどんな話をするかな?と考えてみるのも楽しい。

そこで、先日「500円以下で叶う、ささやかな楽しみ」というトークテーマの日がありました。

私が真っ先に思い浮かんだのは、
洋菓子屋

もっとみる
いつかのお豆さん

いつかのお豆さん

豆類を、実家では「お豆さん」と呼びます。

慣れ親しんだ和風お豆さんの思い出と、
ストウブで炊いた洋風お豆さんの話。

ウスイエンドウの思い出私の豆好きは母譲り。
特に母の大好物だったのは、
筍(たけのこ)とお豆さんを炊いたん、です。

この時のお豆さんは、エンドウマメ。
正式にはウスイエンドウと言うようです。

莢(さや)を外して食べる、グリーンピースの一種です。
春に関西を中心に出回り、
一般

もっとみる
パン屋さんの嫁になりたい

パン屋さんの嫁になりたい

昔、私が語っていた青い夢の一つです。

「だって、焼きたてのパンが毎朝食べられるから」
半分冗談で、半分本当。
パン屋の人が聞いたら、呆れ返るかもしれません。

今なら、
別に結婚するんじゃなくて、自分がパン屋になればよかったんじゃない?
と思うのですが、

大好きな人が作ってくれた
大好きなものを、
朝食に食べられたら最高、

と単純に思っていたのだと思います。

実家は米を作っている農家だった

もっとみる
粕汁と母の思惑

粕汁と母の思惑

私の実家は木造建築に、瓦屋根という、
田舎の一軒家なのですが、
冬の冷えは相当なものです。

朝はすぐには起きれません。
もうこれ以上寝ていたら学校に遅刻してしまう!
というギリギリに布団から飛び出し、
半纏を着込んで、石油ストーブにあたりに行く。

外から帰ってきたら、冷たい床をつま先で歩き、
こたつにもぐり込む。

という毎日です。

そんな寒い寒い家の中ですするのが、
「粕汁(かすじる)」で

もっとみる
たたずむ水無月を見つけた日

たたずむ水無月を見つけた日

京都にいた頃、
流れる季節とともに、
食べる和菓子にも移ろいがありました

3月、お彼岸だなぁと思えば、ぼたもち。
4月、開花の速報が流れると、桜餅。
5月、新緑綺麗に輝きだすと、ちまき。
6月、梅雨が近づくと、水無月。

というふうに。

実家は4人とも、和菓子好きでした。

家から少し行けば、古い街道があり、
その道沿いに、とても流行っているようには見えない和菓子屋さんが、いくつもありました。

もっとみる