実行性を担保するための「各種計画書への記載必須事項(撤退条件設定)」考察
昨今、中長期経営計画というフレーズ、特に「中長期」という言葉が死後に成りつつあるような印象を感じています。皆さんの会社、グループでは如何でしょうか。
あまりにも、企業、ビジネスを取り巻く環境の変化が激しく、数年先を読むという難しさが増しているということが言われています。特に、ビジネスのグローバル化進展に伴う「株主重視発想」という観点から、短期での収益(投資回収)確保への動きが進んでいるということが挙げられるかもしれません。(ビジネスのグローバル化が避けられない時代にあっては、日本人特性の「細く(収益率は低くても)長く(安定)」を求めた取り組み方(経営)が難しい時代と言えます。1980年代の「JAPAN AS №1」時代が懐かしい…..)
ただ、「企業を経営する」という観点で、「計画作り」は無くてはならないものであるということに、異をとなえる方は少ないと思います。「投資をする」、「投資を募る」ためには、必須のことです。さらに、期待する成果を得る期間の短さとは関係なく、あらゆる計画の「実効性担保(期待する収益獲得)」の重要性が高まっているものと考えています。
そこで、今更ではありますが、改めて「計画の立案(投資回収が出来るかという判断材料)」にあたり、盛り込むべき要件について考察したいと思います。良く言われているように、「5W1H」は言うまでもありませんが、それに加え、「2A1K1F」を加えた考え方を提唱したいと考えています。
特に、KPIとして、「撤退条件」を明確にしておくことが重要であると考えています。
以下に、その項目内容、その記載目的などについて紹介します。
当たり前のこととして、既に取り組まれているということではあるとは思いますが、再検証して頂く際のひとつの材料になればと考えています。
同じような取り組みとして、「PDCA」という考え方がある思います。
「Plan・Do・Check・Action」ですが、取り組み方の表現としては少し粗いという印象を持っていました。語り言葉としては、非常にわかりやすいのですが、具体的に内容を規定する際には、マチマチ感が否めない(人によって記載事項が異なってしまう)のではないでしょうか。
ということで、各社に於かれて「A+5W1H+K+A+F」の10項目が最低限網羅がされているかを、改めて確認、検証して頂ければと考えています。
特に、これも日本人特性によるところが大きいと考えていますが、「成功思考型」発想が主流であり、成功する(黒字化)まで「投資を継続してしまう」傾向が高いということが挙げられます。それにより「負債」が膨らみ、二進も三進もいかなくなって、初めて「撤退」という2文字が語られることになってしまうことが起こっていなかったでしょうか。
そうした「無理・無駄」を防ぐためにも、今後は、開始(決裁)するにあたり、「撤退条件」を明確にしているかを判断ポイントの一つとしておくということが重要だと考えています。そうすることで、余計な投資を避けるとともに、新たな取り組みへの「余力」を残すということが必要な選択であると考えています。
もちろん、これまでも投資回収期間を設定(「いつまでに」を設定)していることで、回避可能と考えられると思われているかもしれません。しかし、その時期が来てもなかなか「やめよう」「やめるべき」ということを言い出せる環境、雰囲気が持てない場合が多かったのではないでしょうか。特に、その時に「権力を持っている人が推進していること、そういう方が支持していること」だったりすると……。また、「もう1年、もう少しで……」という言葉にすがりつく(誰も赤字のまま終了させたくない、責任を少しでも軽減したい・・・・)傾向が高くなっていなかったでしょうか。その要因の一つが、「成功型」での思考で承認されることであり、明確に「撤退条件」を宣言していないからではないかと考えています。(計画時に、撤退条件などが記載されていると、それだけで「後ろ向き」「消極的」などと思われてしまうことの回避)
皆様の会社では、如何でしょうか?