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ダンスに関する情報・備忘録

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公演や作品の映像、書籍以外のダンスに関する情報です。筆者の備忘録を兼ねています。
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#コンテンポラリーダンス

素人と一緒に何かしたいというアーティストとの付き合い方

ワークショップなどを行ってそれを作品化するアート(ソーシャリー・エンゲージド・アートなどとも呼ばれたりする)は、アーティストが他者を素材にして利用することになるといった危険性が指摘されることがある。

振付家・ダンサーが、ダンスの訓練を受けていない人々のワークショップを行うことはよくあるが、その目的は一様ではないだろう。ただ、振付家・ダンサーが、「自分の踊りや作品に刺激となるような体験を得たい」と

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『闘う舞踊団』金森穣著:Noism(ノイズム)の新潟での奮闘を記録した本

『闘う舞踊団』金森穣著:Noism(ノイズム)の新潟での奮闘を記録した本

海外で活躍後に日本に戻り、海外(ヨーロッパ)と日本の芸術文化の土壌や質の違いを強く意識しながら、それでも日本での意識や現状を変えたいと組織を立ち上げて困難の中でも活動を続けている人といえば、バレエではKバレエカンパニーの熊川哲也さん、そしてコンテンポラリーダンスではNoism Company Niigata(ノイズム)の金森穣さんが思い浮かぶ。

Noismは、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館を

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ダンスワークショップ「世田谷パブリックシアター ダンス食堂 メニュー22 関かおり」

ダンスワークショップ「世田谷パブリックシアター ダンス食堂 メニュー22 関かおり」

「うごうご」。
言葉を聞きながらイメージして動く。
イメージはするが目は閉じない。日常で感覚を使うように、感覚を開いておく。

歩く。
歩きながら、(会場である稽古場内の)行きたい場所に行ってみる。
歩きながら、したいことをしてみる(子どもに戻ったつもりで)。
歩きながら、ほかの人たちを見てみる。

床が土などの柔らかいものであるつもりで動く(大きく動かなくてもよい)。

水の中にいるかのように。

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『美術展の不都合な真実』古賀太著:安易で企画意図がない企画展が増えた理由

『美術展の不都合な真実』古賀太著:安易で企画意図がない企画展が増えた理由

現在は日本大学 芸術学部 映画学科 教授で、かつては国際交流基金で日本美術の海外への紹介、朝日新聞社で展覧会企画を手掛けた著者が、日本の美術展の世界でも特異な実態を解説する本(2020年発行)。

「混みそうな美術展」は展示概要を見ればすぐわかる本書の内容はわりと周知の事実だと思っていたことが多かったが、一般にはあまり知られていなかったのだろうか?著者はあとがき(「おわりに」)で「一般にはほとんど

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ClafT 中央線芸術祭2021:トークイベント「アートと市民・アートとからだ」:経済システムに組み込まれない身体

ClafT 中央線芸術祭2021:トークイベント「アートと市民・アートとからだ」:経済システムに組み込まれない身体

「中央線芸術祭2021」のトークイベント。テーマは「アートと市民・アートとからだ」。

登壇者:
三浦宏之(ClafT フェスティバルディレクター。実演家)
砂連尾理(振付家・ダンサー、立教大学 現代心理学部 映像身体学科 特任教授)
呉宮百合香(ファシリテーター。「TOKYO REAL UNDERGROUND」事務局長、NPO法人ダンスアーカイブ構想「デジタルダンスアーカイブ」コーディネーター。

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「ダンサー・俳優の<表現するカラダ> ~公演ヘルスケアサポートの経験から~」オンライン対談【芸術家のくすり箱】

「ダンサー・俳優の<表現するカラダ> ~公演ヘルスケアサポートの経験から~」オンライン対談【芸術家のくすり箱】

「芸術家のくすり箱」は、「芸術家の多面的なヘルスケアネットワークを構築する」団体。

アーツカウンシルの3年連続の助成により、バレエ団、ダンスカンパニー、劇団の3団体(東京シティ・バレエ団、秋田雨雀・土方与志記念青年劇場、zer◯)に「公演ヘルスケアサポート」を提供した。

今後は、「ヘルスケアピット」を実施予定。

公演ヘルスケアサポートを受けた3団体の5人の芸術家(ダンサー、俳優など)が登壇し

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『リル・バック ストリートから世界へ』スニーカーで爪先立ちして踊るストリートダンス「ジューキン」のダンサーを追うドキュメンタリー映画

『リル・バック ストリートから世界へ』スニーカーで爪先立ちして踊るストリートダンス「ジューキン」のダンサーを追うドキュメンタリー映画

テネシー州メンフィス出身で、ストリートダンス「メンフィス・ジューキン」を踊るダンサー、リル・バック(1988年生まれ)を追ったドキュメンタリー映画。

柔らかい足首でスニーカーを履き、奨学金を得て通ったバレエカンパニーのレッスンで身に付けたテクニックも取り入れて、誰よりも長く「爪先立ち」をしようとダンスする。

子どものころからの映像も残っており、それが挿入されているので、どんどんダンスが進化・深

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「LAND FES DIVERSITY 深川」ダンサー・振付家と一般の参加者が街中で踊るダンス動画

「LAND FES DIVERSITY 深川」ダンサー・振付家と一般の参加者が街中で踊るダンス動画

ダンスのワークショップでは、ちょっとしたワークが作品の一歩手前に近づくことがある。そんな瞬間を切り取った映像群。

1本5分で、美しく編集され見やすい。見ているとなぜだか涙がにじむ。人間のよさを信じたくなる、そんなダンス。

1曲のオリジナル楽曲から多種多様なダンスが生まれているのも面白い。

東京の各地域の特色ある風景を舞台に、一般の方々が、年齢、性別、出身、ダンス経験、障がいの有無などのさまざ

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「チャレンジ・オブ・ザ・シルバー2020年度成果発表」ダンサー安藤洋子×一般のシニアたちのダンス動画

「チャレンジ・オブ・ザ・シルバー2020年度成果発表」ダンサー安藤洋子×一般のシニアたちのダンス動画

注目していた&対象年齢だったら絶対参加したかった高齢者ダンスプロジェクトの成果発表の動画が公開されていた。

本来は舞台で発表する予定だったが、コロナ禍で映像作品となったらしい。

シニア×ダンス コロナ禍で挑む2020年度の表現
世界の第一線で活躍してきたダンサー・安藤洋子が、神奈川県の60歳以上のシニアの方たちと新たなダンス表現を創り出すプロジェクト「チャレンジ・オブ・ザ・シルバー」では、今年

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「耳が聞こえない感覚」をダンスに――振付家・アーティスト南村千里さんインタビュー

「耳が聞こえない感覚」をダンスに――振付家・アーティスト南村千里さんインタビュー

メモです。

イギリスのラバン校でコミュニティダンスを学び、同国のCandoco Dance Companyで活躍した南村千里さん。

ロンドンを拠点に、振付とダンスに携わり、美術館で手話による芸術解説も行う。

ろう者である感覚を自身の作品に生かしている。

「新たな劇場シンポジウムvol.3 文化芸術×デジタル ~オンラインによるトークセッション~」

「新たな劇場シンポジウムvol.3 文化芸術×デジタル ~オンラインによるトークセッション~」

ダンサーにバレエを踊ってもらって(著作権切れの古典作品。『白鳥の湖』など)、モーションキャプチャシステムを使って3D映像にしたり、デジタルを駆使して制作したもので振付のレクチャーをしたり(?)といった、3Dモーションデータの研究をダンサー・振付家たちと行っている曽我麻佐子氏(龍谷大学先端理工学部准教授)のお話が特に面白かった。

シンポジウムの1つ目の発表を聞き逃し、その後もながら聞きだったが、メ

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「ダイイング・スワン・プロジェクト」:「瀕死の白鳥」をテーマにした17人の振付家によるドイツ発のダンス動画

「ダイイング・スワン・プロジェクト」:「瀕死の白鳥」をテーマにした17人の振付家によるドイツ発のダンス動画

Theaterhaus Stuttgart(シュツットガルトの劇場)のレジデンスカンパニーであるGautier Danceの動画シリーズ作品「ダイイング・スワン・プロジェクト」がYouTubeで公開中。

ミハイル・フォーキンが、バレリーナのアンナ・パヴロワのために、サン=サーンスの組曲『動物の謝肉祭』第13曲『白鳥』(Le Cygne)に振り付けたバレエ作品「瀕死の白鳥」をテーマとする。

振付

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「全国劇場・音楽堂等職員アートマネジメント研修会2021」講義動画の視聴メモ

「全国劇場・音楽堂等職員アートマネジメント研修会2021」講義動画の視聴メモ

2021年は劇場スタッフ等でなくても参加できるオンライン講義の形式で開催。本当は実際に集まれた方がよいと思うが、専門家や従事者でなくても「参加」できるのは利点だ。

ごく一部のみのメモ。

「公立劇場と民間劇場等との連携を通したダンス公演の可能性を考える」約1時間35分の講義動画。

<講師>
唐津 絵理(愛知県芸術劇場 シニアプロデューサー・Dance Base Yokohama アーティスティ

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「ダンス井戸端会議」運営のWebサイト「idobata.space」:コンテンポラリーダンスや身体についての考察を発信

「ダンス井戸端会議」運営のWebサイト「idobata.space」:コンテンポラリーダンスや身体についての考察を発信

「ダンス井戸端会議」は、2018年10月に発足した、立教大学の映像身体学科卒業・在学の有志を中心とする「雑談会」。現在は舞踊史や関連学問などの勉強共有会としても機能している。とのこと。

そのウェブサイト「idobata.space」(イドバタドットスペース)が登場。

コンテンポラリーダンスや身体について話し考えるイベントの開催情報や、そこで出た話やそこから派生する考察をまとめている。

かなり

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