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レントよりゆったりと〔随想録〕

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#随想

偶然、生きてきたし、生きているし、生きていく

偶然、生きてきたし、生きているし、生きていく

「日焼け止めに関する報告書(第2報)」

伸び、良し!
使用感、良し!
肌への刺激、僅か!
テカり、許容範囲内!
肌の乾燥、許容範囲内!
皮膚の反応性湿疹、ほぼなし!
吹き出物、1週間使用で軽症2個
      使用前とほぼ変わらず!
日焼け止め効果、今後検証していきます!

……と、いうわけで1週間ほど前から使い始めた日焼け止めジェルの使用報告でした。
指導官への報告テイストにやってみましたがい

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パンと本を手に踊る木曜組曲

パンと本を手に踊る木曜組曲

7月18日、木曜日、しっとりとした曇りの日。
大気の湿度としっとり度は比例しない。
風はしっとりをさらいはしない。
しっとりするのはパンだけはない。



初めてパン屋に行ってきた。ベーカリーには幾度とあるが、「生」食パン専門店に行くのは初めてだった。

あいにくの天気で写真は映えない。
店内には小さなカウンターと、その日焼き上げられたパンを積んだ棚があるだけ。
それ以外のスペースは全て工場だ。

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朗読の日は雨

朗読の日は雨

詩の朗読をしようと思って、やめた。
雨音がうるさいからでなく、雨音の邪魔をしたくなかったからだ。自ずから然る音に、ただ聞き入っていたい気分になっていた。
雨について想うことは多い。梅雨生まれだし、雨男だし、何かと縁が深い。

人の意志や行動は、人が思っている以上に、天候に左右されているのではないか。晴れているから出かけるとか、雨だから家にいるとかいう、物理的な要因だけでなく、自然現象は人のもっと奥

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はじまりのスキ

はじまりのスキ

以前のように、一枚のCDアルバムを大切に執拗に聞くことが少なくなった。完全にデジタル化されて体積のなくなった音楽には傷がつかない。だから古いCDの傷は愛おしい。
今こうして手にしているスマホにも何百曲、何千曲のデータが詰め込まれている。飽きることないランダム再生。バロック音楽に厳粛な気持ちになった5分後には、SPEEDが流れてきてテンション上がって踊りたくなる。
(あれ、なんだろう? このInst

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ダヴ・ダディダディロ

ダヴ・ダディダディロ

暑い、乾燥、低気圧、雨、寒い、湿気、よく分からないけど花粉?…… 感官が壊れている。体調が悪かった。治らない2週間の風邪の次は胃腸炎。踏んだり蹴ったりだった。体調が悪い日が続くと絶望しがちだ。このまま体調が悪いまま一生過ごすのではないか、何も楽しめず、何も生み出せずに、死ぬことさえ通り越して腐乱していくのではないか、などと不安になった。ふだん絶望の1cm上を浮遊している僕にとって、絶望に陥ること

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雑記と悪口

雑記と悪口

スタンスとして自らの孤独を引き受けてきた。それゆえか、自らの孤独を引き受けることが人を愛することの出発点だと、長きに渡って豪語してきた。
しかし現実的には、物事はそう簡単にいかない。

人と孤独を埋め合いたくもなるし、恋だ愛だの言いながら寂しい自分を人様の声と体温で満たすことだってある。
舐め合っていた孤独がいつの間にか綺麗な結晶に変わって、愛と呼べる日もくるのではないかとも思う。

人生は哲学で

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メトロに乗るのは泣くためなんだ

メトロに乗るのは泣くためなんだ

涙腺がゆるい。著しくゆるい。
ゆるいに「緩い」はしばしば似合わない。
ゆるいはやはり「ゆるい」がよい。

電車での移動中に僕はよく不審者になる。悦に浸って、目を潤ませたり、不気味な笑みを浮かべる。しかし視線の先には、美しい人もセクシーな人もいない。視線の先はもっぱら、スマホの液晶の奥にある動画だ。
乗車前には読書や勉強をする自分を思い浮かべているのだが、いざ腰を下ろすと反射のようにスマホとイヤフォ

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手紙、呟き、かわいい貝殻

手紙、呟き、かわいい貝殻



「れんと君と話しやすかったのはどうしてだろう? おそらく中性的だからだと思います。すごく褒めてます。そういうれんと君の良いところをこれからも伸ばしていけば、むちゃくちゃカッコイイ大人になると信じています」(ある教育実習生からもらった手紙)



昨晩、noteでいつもお世話になっているフォロワーさん達から、「音声あげて」と依頼(?)があり、恥を忍んでアップした。
話すのは苦手だ。頭の中

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燃え盛る嫉妬、そして慈悲

燃え盛る嫉妬、そして慈悲

本投稿は若干語調が激しめです。
どうぞご注意下さいませ。



嫉妬深い方である。初めてのお付き合いは僕の嫉妬深さのせいで終わった。その他にも過去に1度だけ、お付き合いしていた方の浮気が発覚したことがあり、その時は燃え盛る嫉妬心に我を忘れた(お別れした)。noterの素晴らしい投稿を見れば100%賞賛、120%嫉妬である。笑
しかし齢とともに嫉妬心が薄らいできているのも事実で、その激しい感情もあ

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ひとつの音(エッセイ)

ひとつの音(エッセイ)

4月に入ってからnoteに常駐できている。

昔作った曲をいくつか公開して、手持ちが完全になくなったわけではないけれど、一旦打ち止めかと思っている。このまま「過去の作品を上げ続ける人」で終わるのは少し違うかと思った。とりあえず最低でも鍵盤が必要だ。シンプルで良い。音さえ確認できれば。ごちゃごちゃした機能よりも、携帯性と収納性が高いものが良い。もう少し生活に余裕ができたら……というか他にやるべき事が

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吐息のポリフォニー

吐息のポリフォニー

 このテキストは思い込みと妄想を主成分としてテキトーに練り上げた製品となっております。お口に合わない場合のクレームは受け付けておりませんので、先にご了承ください。

 エッセイを書こうとするとき、たったひとつのフレーズから閃いて瞬時に文章が展開することもあれば、ああでもないこうでもないと頭を悩ませながら時間を費やす場合もある。小説や論説で前者のパターンは少ない。詩的というと語弊があるが、エッセイに

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きょうのおみくじ

きょうのおみくじ

 昨日は初詣へ。その足でアウトレットに行き、本当に欲しいものを1点だけ探して買う、というささやかな楽しみを満喫しました。

 2019年、家人は大厄ということでお祓いもしてきました。悪いものを全て落としきったところで[おみくじ]を引いたところ、なんと家人には大吉が、僕には凶がでました。世間には辛辣な運勢を占うおみくじを提供して、身も心も引き締めてくれる神社仏閣もありますが、参拝したところはそうい

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エッセイ「愛についての講義を終わらせようと思う」#執筆観

エッセイ「愛についての講義を終わらせようと思う」#執筆観



注)この文章にはいくつかの読み方がある。数多ある良文に対峙するように「真剣に読む」の他に、「ハロウィンで獲得したお菓子を片手に、ただスクロールする」や「大人になってから中学時代の文集を見るように大笑いしながら」などである。どちらかと言えば後者をお勧めする。このような注を付するのは、筆者の羞恥心ゆえのことなので、どうかご容赦頂きたい。



 思えば「愛」について20年近く考えてきたようだ。

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エッセイ『ある王女の詩の変容』 #執筆観

 僕は言葉の力を信じている。ずっと胸の奥底に眠っていた或る言葉が、ふと目を覚ます瞬間に出くわしたことは、きっと誰にもあると思う。取り出したり、仕舞われたりするたびに、少しずつ意味が変わっていくことも……
 今回は或る漫画のセリフの話題。

 『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』(以下『ダイ』)は1989年から8年間に渡って連載された漫画で、原作者である三条陸氏は多くの人気漫画や実写特撮作

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