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「読書家レスラー」と「7年前の確信」
「みんなが本を読めば争いごともなくなると思います」
↑は新日本プロレスの社長・棚橋弘至選手のコメント。書店で働く本好きににとって励みになる一言です。ありがとうございます。
彼はかなりの読書家です。確信したエピソードをひとつ紹介させてください。
2017年の夏に開催されたG1クライマックス。棚橋選手はバッドラック・ファレ選手にリングアウトで勝ち「枯れた技術の水平思考」というコメントを出しました
「本屋に『○○○』は必要か?」を考えさせてくれた一冊
何度となくオススメ本について書いています。
私のnoteがキッカケで読んだ、購入したという方が時折いらっしゃいます。嬉しいです。いい本だから多くの人に届けたい。そんな想いを込めて発信しているので。
一方で懸念していることもあります。それは「万が一、このnoteがキッカケである本がバズったら」ということ。
著者や出版社、あと大型書店の経営陣は大歓迎でしょう。でもお店の最前線で働く身からすると必
ハードボイルド書店員が読みたい「第171回直木賞候補作」
またこの季節が来ました。
今回は直木賞候補について。
真っ先に読みたくなった作品はこちら。
青崎有吾(あおさき ゆうご)さんの「地雷グリコ」です。発売は昨年11月で出版社はKADOKAWA。「本格頭脳バトル小説」という煽り文句に惹かれました。5作が収録されていますが、あらすじを見ると同じ主人公(勝負事に強い女子高生)による連作っぽい。
「カイジ」の「限定ジャンケン」みたいな世界観をイメージ
ハードボイルド書店員日記【190】
「すいません、円城塔さんの本はどこですか?」
大柄な女性。学生ではないだろう。腰まで伸びた波打つ黒髪に同じ色のロングTシャツ、そしてデニムのスキニーパンツ。目元とリップが赤い。
「当店は作家別ではなくジャンルごと、出版社ごとに置いています」
「あ、そうなんですね」
「お探しのタイトルがございましたら」
「実は読んだことないんです。友達に勧められて。デビュー作とかありますか?」
「ございます」
「東の新栄堂、西の芳林堂」といわれた街
西武池袋本店、2025年1月から段階的にリニューアルオープンするとのこと。
ヨドバシカメラの出店に伴い、百貨店の売り場面積は半減。特に衣料品や家具のそれが著しく縮小する。一方で高級ブランド品や化粧品、食料品などを扱うエリアはむしろ広がるようです。
いくつかの記事をチェックしましたが、別館に入っている三省堂書店・池袋本店に関するものは見当たりませんでした。ひとまず現状維持ということでしょう。
「復活の是非」と「朝までウイスキー」
↑の記事、面白いです。ただ「このテーマでいちばん取り上げないといけない作品に触れていないのでは?」と感じました。
私と同世代の方ならピンと来たでしょう。↓です。
ジャンプコミックス全34巻。名作です。
この最初のシリーズだけでも、3回死んで3回蘇ったキャラクターが複数存在します(正しくは死んでいなかった)。なかには千度の高熱を誇る硫黄泉へ頭から突っ込んだ人もいました。
しかも、いかに一命を
これからの「本屋」と「リアルタイムのお客さん」
出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によると、今年3月時点で書店ゼロの自治体は全国で27.7%。しかし、この数字は大手取次と契約している本屋に限った話らしいです。つまり出版社と直接取引している独立系書店やブックカフェ、古書店、シェア型書店が含まれていない。
全国レベルのデータを示してくれるのはありがたい。でも実態を正しく反映したものを出さないと逆効果なのも事実でしょう。もし私が他の業界で働いて
レスラーも書店員も「プラスアルファ」が違いを生む
昨年2月、東京ドームで武藤敬司選手の引退興行がおこなわれました。主催はプロレスリング・ノア。全日本プロレスの宮原健斗選手は、第4試合の6人タッグマッチに出場しました。
宮原選手といえば、曲をフルコーラス使い切る入場の華やかさが売りのひとつ。しかし、この時はまさかのショートバージョン。大人の事情があったのでしょうけど「そりゃないだろ」と客席でうなだれました。
だから6月15日におこなわれる「AL
ハードボイルド書店員日記【189】
「おお、いたいた!!!」
夏の前髪を視界に捉えた平日の午後。棚卸に供された返品の山を心ならずもダンボールへ詰め込み、カウンターに駆け込む。ハヤカワ文庫用のカバーが足りないと気づいた矢先に、海外文学を愛する常連さんが大股で近付いてきた。グレーのハンチングを被り、ジョン・レノンみたいなレンズの丸い眼鏡をかけた声の大きい老紳士である。
「いらっしゃいませ」
「アンタに訊けば間違いない。夏葉社ってある
「失われた時を求めて」を巡る冒険②
数日前に↓を読了しました。
まさに名作文学。人間描写の厚みというか、誰もが秘める二面性のリアリティが素晴らしかったです。たとえば貴族に批判的でありつつ、実はいわゆるスノッブ(上級国民に憧れ、連中の真似をしたがる俗物根性みたいな意味)の顔も持つルグランダン。しかし語り手は、彼を不誠実な人物とは考えていません。
己のウィークポイントや課題を、案外自分がいちばんわかっていない。
権威を批判し、前例
イチ書店員が「閉店時間を過ぎても帰らないお客さん」に思うこと
いまは早番が中心ですが、前の職場はほぼ遅番でした(誰もやる人がいなかったから)。全体のキャリアだと、だいたい半分ずつかもしれない。
閉店時間になると「蛍の光」を流す職場もあったし、アルバイトが「まもなく閉店します」と言いながら店内を歩いて回るところもありました。
大抵のお客さんはすぐに会計をしてくれます。しかし何度声を掛けても↑で紹介されているように「ちょっと見るだけ」と言って帰ってくれない人
私が「フランシスコ・アキラ」を応援する理由
全参加レスラーが素晴らしい試合を見せてくれる「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」は過酷なリーグ戦です。怪我はやむなし。将来のある選手ゆえ、ムリに出て悪化させるよりはしっかり治して今後に備えてもらえれば。
いまは新日本プロレスを主戦場としていますが、かつてフランシスコ・アキラ選手は全日本プロレスに留学生みたいな形で参戦していました。その頃から注目しています。後出しジャンケンではなく、絶対スターに
★2023年★全国紙5紙に選ばれた7冊(新聞書評の研究2023)
はじめに筆者は2017年11月にツイッターアカウント「新聞書評速報 汗牛充棟」を開設しました。全国紙5紙(読売、朝日、日経、毎日、産経=部数順)の書評に取り上げられた本を1冊ずつ、ひたすら呟いています。
https://twitter.com/syohyomachine
なんでそんなことを始めたのかは総論をご覧ください。
全紙に掲載された7タイトル本稿で取り上げるのは、新聞掲載日ベースで20
「先頭打者ホームラン」と「非正規書店員の時給」
「何でホームラン打つんや」
結果論に支配されない考え方、勉強になります。
岡田監督としては、森下選手に一発狙いの大振りをしてほしくない。ボール球に手を出さず、しっかり見極めて塁に出ることを求めている。だからこそ1番に置いたのでしょう。
この先頭打者ホームランで連敗をストップできたのだから、並みの監督なら「森下に救われました!」と絶賛するところ。でも岡田さんはその時の勝利と同時にその後の展開も