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地理考察

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地理について考察した記事をまとめています。
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記事一覧

ずれと戦う改暦 ~ユリウス、グレゴリオ、伊藤~

ずれと戦う改暦 ~ユリウス、グレゴリオ、伊藤~

1898年(明治31年)にこんな勅令が出されています。
「閏年(うるう年)ニ關スル件」です。

現代の日本語に意訳的に直すと、次の通り。

…なぜわざわざ、こんな勅令を
明治政府は出したのか?

1898年、時の総理大臣は伊藤博文。
初代・5代・7代・10代と
4回も総理大臣になった人ですけれども、
その「第二次伊藤政権」の頃のことです。

本記事では「うるう年に関する件」の勅令から
『改暦』に関

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ふわとろだった太陰暦 ~ずれを包み込む~

ふわとろだった太陰暦 ~ずれを包み込む~

太陽を見るより、月を見るほうが安全。

太陽をじっと直視すると
まぶし過ぎて眼が危険です。
月を見るのは比較的大丈夫、ですよね。
ゆえに古来から、月を見ながら
宴を催すことが盛んに行われてきました。

いわゆる「月見の宴」です。

この風習は、中国では唐代の頃に始まり、
「月餅」などを贈り合う習慣がありました。
唐などの風習が伝わった
日本の平安時代の貴族社会でも、
「月見の宴」は盛んに行われてい

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実はゼークトが言っていない組織論

実はゼークトが言っていない組織論

「ゼークトの組織論」をご存知でしょうか?

この4種類に人をタイプ分けして、
組織にとってはどのタイプが
どういう立ち位置にいれば良いか?
について論じたと言われる組織論です。

…そう思いましたか?

しかし、ゼークトは「そうじゃない」と言う。

曰く、有能な怠け者は、
自分が怠け者であるがゆえに
楽をしたがるので、リーダーになれば
他人に役割を振って組織を動かしていける。

有能な働き者は、自

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実はたくさんある門 ~ぐるり東大、門巡り~

実はたくさんある門 ~ぐるり東大、門巡り~

本郷の東大の門…と言えば「赤門」オンリー!
そう思い込んではいませんか?

では、実際にいくつ門があるのか?
ネットで調べてみますと…。

4つどころじゃなかった。実は多い。
そうなんです。赤門だけではないんです!

本記事ではこの「東大の門」について
実地で巡ってみましたので、
レポート風に書いてみることにします。
(下部にリンクを貼った
「本郷の地下喫茶店」レポートの続編です)

上野駅の西、

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孤独の(いなお)グルメレポート ~本郷三丁目の「麦」~

孤独の(いなお)グルメレポート ~本郷三丁目の「麦」~

東京大学の本郷キャンパス、と言えば
「本郷三丁目」という駅が思い浮かびます。

私は関係者でもなんでもありませんが、
一・二年目は「駒場」
三・四年目は「本郷」と
東大のキャンパスが
分かれていることは知っていた。

本郷とは「上野駅」の西の不忍池を越えて、
さらに西に行くと現れる街です。

…ただ元々「本郷」という地名には、
「元々の村・町」「中心街」「センター」
などの意味にしか過ぎません。

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9作目の新作長編小説 ~執筆中です~

9作目の新作長編小説 ~執筆中です~

『居場所とちぎりのレンザンズ』です。

読めば、なぜか「茨●県」と「栃●県」に
詳しくなれる小説を目指しています!
あくまで、フィクションです。
実在の団体・個人などとは関係ありません。

今回は「地理小説」になります。

実は、少しずつ執筆をしておりまして、
だいぶ書き進めてきました。
まだ完成までには長い道のりですが…。

もし完成しましたら、何らかの形で
(前作と異なり、noteやLinke

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シンドバッド、マルコ、ヴェルヌ ~海と陸の交錯~

シンドバッド、マルコ、ヴェルヌ ~海と陸の交錯~

イスラーム、モンゴル、西欧列強!
世界に君臨した大帝国です。
それぞれが隆盛したのは、以下の頃。

◆イスラーム:610年頃~
◆モンゴル:1206年頃~
◆西欧列強:1800年頃~

600年、1200年、1800年。

だいたい600年くらいで
「全世界的に大きく影響を及ぼす」勢力が
この世界に生まれています。
彼らの文化がどんどん広がっていった…。
しかし、これらは特徴も性質も違う。
生育環

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熊本にやってきた黒船 ~進撃のTSMC~

熊本にやってきた黒船 ~進撃のTSMC~

TSMC、とはいったい何の略でしょうか?

…「台湾積体電路製造股份有限公司」です。

たいわんせきたいでんろせいぞう
こふんゆうげんこうし。
英語なら「Taiwan Semiconductor
Manufacturing Company, Ltd.」。
頭文字を取って『TSMC』。

股份有限公司とは「株式会社」、
積体電路とは「集積回路(IC)」のこと。
日本語で表現すれば、
台湾の集積回路

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電気の発見・実用化 ~現代社会への分水嶺~

電気の発見・実用化 ~現代社会への分水嶺~

昔の生活と今の生活、決定的に分けるものは?

自動車、飛行機、コンピュータ…。

色々と思い浮かびますけれども、
私は『電気』が真っ先に思い浮かびました。
電気を生活に実用できるようになった時代を
分水嶺と考えますと、

◆電気実用「以前」
◆電気実用「以後」

これによって、かなり生活の風景が
異なるのではないでしょうか?

例えば「明かり」です。
昔は、火を使っていた。
今は、電気で明かりを灯

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モンゴル帝国と大英帝国を比較してみると…

モンゴル帝国と大英帝国を比較してみると…

陸の王者と海の王者。どちらが強い?

でもこれは、いささか愚問かもしれません。
前提が違う。スタイルが違う。
…「どちらもそれぞれ」強かった!

13世紀は「モンゴルの世紀」です。
1206年にジンギス・カンが世に出て膨張。
その後継者、オゴタイ・カアンの時代、
1241年には東欧にまで攻め込む。

モンゴル高原から、南は中国、西は東欧まで…。
1274年・1281年には
海を越えて日本にまで攻め

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史上最強の二代目 ~オゴタイ・カアン~

史上最強の二代目 ~オゴタイ・カアン~

世界史上「最も強い二代目」と言えば?
私は、オゴタイ・カアンを挙げたい。

この人の父親は超有名人なのに、
彼自身はそこまで知名度がありません。

その通りです。
モンゴルのジンギス・カン!
その三男が「オゴタイ・カアン」です。

(モンゴルの人名はカタカナの表記が難しく
ジンギス・カンはチンギス・ハン、
オゴタイはオゴデイとも呼ばれますが、
本記事ではジンギスとオゴタイで統一します)

モンゴル

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30チームも覚えられる? ~意外と覚えられる~

30チームも覚えられる? ~意外と覚えられる~

例えば私は、以下のように連想していきます。
アメリカのMLB、「メジャー球団」の話です。

日本のプロ野球球団は12チーム。
アメリカのメジャーは30チーム!

確かに30チーム全部を「丸覚え」するのは
難しい、と思うんですね。
…どう「軸」をつくって、自分なりに
どう連想して思い浮かべるか、だと思うんです。

本記事では、メジャーリーグの
30チームについて書きます。

2024年現在、日本人に

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勝つまでやる ~選手、監督、川上哲治~

勝つまでやる ~選手、監督、川上哲治~

日本のプロ野球史上の「名将」と言えば?

…百人いれば百通りの答え。
どのチームのファンかによっても違う。

このうち故野村克也監督は、
古田さん、高津さん、新庄さんなど
多くの選手を育て、後の監督への道を
拓いていった監督として有名です。
栗山英樹監督もID野球のスワローズの一員。
(1回も褒められたことがないそうですが…)

選手としても超一流。名捕手にして好打者。
漫画『ドカベン』を描いた水

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時に分かれて、時に合わさる ~プロ野球再編物語~

時に分かれて、時に合わさる ~プロ野球再編物語~

当初、日本の野球は「学生のもの」でした。

プロ野球選手となり、野球を仕事にする!
…今では違和感のないキャリアですが、
昔は当たり前ではなかった。

戦前・戦中の日本では、そう言われることが
多かったそうなんです。実は。

今は、そんなことは言われない。
プロ野球選手は「凄い存在」。
リスペクト。ジャパニーズドリーム。
メジャーリーガーになり、
アメリカンドリームまでつかむ選手もいる…。

なぜ

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