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『未来』は子どもたちのためにある

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ボクとしては、熱いまなざしを持ってみてくれる子どもたちを信じたい。 未来は子どもたちのためにあると思います。  ――石ノ森章太郎
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2023年11月の記事一覧

体験欠乏症

「お金もらうわけにいかないし、晩飯だけ食べさせて」という約束で家庭教師をしていたことがある。指導することになったその子の状況について、家族全員に説明していたところ、その子の妹が不思議そうに「なんで文章みたいに話せるの?」と聞いてきた。

その家族の会話は、ほとんど単語で終わっていた。「ねえ、○○は?」「おい、△△しろ」その場の状況から察することができるから、単語で事足りる生活をしていた。状況から察

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子どもに怒るのと叱るのは違うと考えるのは危険

子どもに怒るのと叱るのは違うと考えるのは危険

少し前に話題になっていてネットで目にしました。子どもが何か問題行動をした時に

怒るは感情が入っているからダメで叱るはしつけだけだから良い

みたいな話でした。色々な議論がなされていましたが、私はこういう考えはとても危険だと感じています。なぜなら一番大切なことが抜け落ちているからです。それは、

子どもから見たらどっちも一緒

っと言うことです。怒られようが叱られようが子どもからしたら一緒ですよ。

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動かない子どもの動かし方

先回りすると子どもの意欲を奪う、だから後回りだ、ということをつぶやいたところ、「よーし後回りだな!永遠に後回りしても子ども動かないな!保育園の時間がー!まだ食べてもいない!着替えてもいない!先回りするしかないやんかー!」という悲鳴が聞こえた。

さあ、この現実にどう対処したら?

「ご飯だよー!」と言っても全く動こうとしない子どもたち。マンガや本を読むのに夢中。そこで少し「思枠」をずらすことに。

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「子どもの発見」ならぬ「大人の発見」

ルソーは、子どもが大人とは全く異なる存在であることを発見し、子どもは子どもに適した接し方をすべきであるという、「子どもの発見」をしたことで知られる。でも私は、もしかしたら「大人の発見」をせねばならないのではないか、という気がする。

私が最初に書いた本は部下育成本だから、すでに大人になった部下の育て方を論じたものだけれど、その書評に興味深いものがある。明らかに新しい指導法なんだけど、どこかで見たこ

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子どもが能動的に学習するまでの事例集

どうやったら子どもが勉強するようになるのか?という質問が複数。いくつか事例を紹介してみようと思う。
私の父は二つの小学校のガキ大将(どうやって?)だったのだけど、一緒に遊んでた悪ガキが、中学に入ってしばらくすると学年でダントツの1位になったという。

その同級生は、父親から「中学生になったら、お父さんと机並べて勉強するぞ」と言い渡されていたという。で、仕方なく毎晩机に向かっているうちに、宿題でもす

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子育ては「汝自身を知る」こと

横山光輝「三国志」では、「自分のことは自分が一番わかる」という発言をする人物が結構現れる。私は「いやいや、そんなことあるまいよ、自分のことってビックリするくらい分かっていないよ」と一人で突っ込んでいた。実際、私たちは自分のことが思いのほか分かっていない。それが子育てにも反映する。

今回バズったツイートは、「親が先回りすると子どもはやる気を失う」というもの。これ、みなさん、よく自覚されていること。

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観察・仮説・工夫に驚く

子どもの成長や工夫に驚き、喜ぶ話をすると、共感の声を上げ、「ほめて伸ばす、ですね!」とコメント頂くことが多々。
せっかく共感してくれたら、そこは「そうですね」と合わせるのがマナーだけど、理系のサガなのか、「いえ、『ほめる』のとは違うんですわ」と揚げ足を取ってしまう。申し訳ない。

「ほめて伸ばす」には、二つ課題があるように思う。親がほめてつかわす「価値基準」がすでに用意されていること。もう一つは、

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もしも学校内の事件に巻き込まれたら?:転校生のバットと私の記憶

もしも学校内の事件に巻き込まれたら?:転校生のバットと私の記憶

文部科学省は「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」を毎年公開している。小・中学校の不登校の実態をまとめたレポートだが、背景、要因についてほとんど触れられていない。活きた情報ではないので、何らかの事件が発生しても役立てることができない。

自分の子供が同じような被害にあった場合、どのような策を講じればいいのか。今回は、私の事例を交えながら、この問題について言及してみたい。

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