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何度も読み返したい素敵な文章の数々vol.10

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#本

「積読」の脅威と、「ふと読み」の至福

「積読」の脅威と、「ふと読み」の至福

 皆さんも経験をしたことはあるはずだ。そうだきっとあるはずだ。それが「積読(つんどく)」。今回のテーマはこの誰がつけたのか、誰が読みをあてたのかわからないけど響きはよい言葉である。

 その意味をWeblio辞書によると

積読 読み方:つんどく 別表記:積ん読
本を購入し、「いつか読もう」と思ってはいるものの、まだ読まずに放置してある(積んである)状態、あるいはその本を意味する語。「積んどく(積

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仕事のための僕の変な本の買い方

仕事のための僕の変な本の買い方

朝8時台に新幹線に乗り東京へ。
あったかいお茶をズルズル飲んでパチパチ仕事してペラペラ本を読む。

いつもの癖で喫煙席側の席を抑えていたが、そうだ禁煙したんだったと思い出す。京都駅の本屋で「一番売れてる文庫本どれですか?」と伺って買った本を読む。

自分では買わないであろう啓発本だった。
毎月そういう買い方をするのでビジネスマンが多い書店で買うと必ず啓発本を読むことになる。
ざっくり言うと「やらな

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noteのサービス設計で参考にしている本

noteのサービス設計で参考にしている本

noteのサービス設計で、参考にしている本など。チームメンバーと価値観を共有するためにも、オススメの本を集めてみました。

経済政策で人は死ぬか? 公衆衛生学から見た不況対策経済危機に国家がどのような経済政策ととったか。それが天然のA/Bテストになりうるという話。本書では、世界中の経済危機や動乱のなか、経済政策や衛生政策の違いで、市民の生死がどのように変化したかを分析した本。危機時に、どのようなテ

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初めて作った雑誌|そしてわたしは、紙をすきになる[第4話]

初めて作った雑誌|そしてわたしは、紙をすきになる[第4話]

大学生のとき、雑誌を作った。
友人から「雑誌一緒に作らない?」と誘われて、「えっ、やりたいー!」と気楽な感じで参加した。
そしたらメンバーが4人しかいないこと、大学がある市から予算をいただいてるから何が何でもとにかく形にしなければならないことが判明した。

引くに引けず、聞いたこともなかった「いらすとれーたー」と「ふぉとしょっぷ」を使ってデザインする担当になった。

正直、あまりにも慌ただしすぎて

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物語の中へ|そしてわたしは、紙をすきになる[第1話]

物語の中へ|そしてわたしは、紙をすきになる[第1話]

どのクラスにも1人は いる、本が好きな女の子。朝の読書の時間に彼女が読んでいる本の表紙をそっと盗み見ると、昨日と違う本に変わっていた。昨日読み始めた本、もう読み切ったんだ。

小学生のころ、たぶんわたしはクラスで1番本が好きな女の子だったと思う。周囲の人間関係にあんまり興味がなくて、友だちと遊ぶよりも本の世界に入っている時間の方がわくわくした。

本の世界の中は、どこまでも自由でやさしかった。

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書評「南の国のカンヤダ」(鈴木敏夫)

書評「南の国のカンヤダ」(鈴木敏夫)

先日、僕はこんなツイートをした。

僕は書評を書くとき、大抵の本は1度読んでから書評を書いています。でも、本書は違います。通して2回、そして、部分的には何度も読んだ上で、時間をかけて書評を書くことにしました。

「南の国のカンヤダ」は、スタジオジブリの鈴木敏夫さんによるノンフィクション小説です。

鈴木さんが描いたのは、タイ人のシングルマザー・カンヤダ。偶然知り合ったカンヤダに鈴木さんはひかれてい

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近代の〈物神事実〉崇拝について/ブリュノ・ラトゥール

近代の〈物神事実〉崇拝について/ブリュノ・ラトゥール

デザインの領域において、「結果にコミットする」ということの捉え方が変わってきているのではないかと感じる。

「参加型のデザイン」といったアプローチが重視されるように、デザインはもはやデザイナーとクライアント(発注者)の閉じた関係において行われる活動ではなくなり、デザインによって目指すべき結果を享受する人たちの参加も得て進められる活動になっている。

しかし、この変化の捉え方を間違えてはいけない。

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分かりやすさへの危機感

分かりやすさへの危機感

子どもの頃、好きなことにしか興味を持てなかった。

大人になってからも、子どもの頃と変わらず、興味関心の幅は狭いまま。

人の尺度はどうでもよくて、自分が心踊るものだけが大好きだった。

本を読むときも、同じようなジャンルばっかり読んでいた。

それでも、もちろん楽しいのだけれど。

でも、なんだか、自分が触れたものが、自分の幅を決めるような気もする。

だから、自分の幅を広げるために、今年はいつ

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本は読むまで分からない

本は読むまで分からない

第1章 本屋のたのしみ (11)

 本を買うとき、「面白い」か「面白くない」か、「役に立つ」か「役に立たない」かが購入時点で約束されることはない。基本的に「面白そう」「役に立ちそう」という予測に基づいて買う。そして、その本が気に入ったからといって、同じものを繰り返し買うことがない。

 これは当たり前のようで特殊なことだ。食品であれば試食もできるし、車は試乗してから買えばいい。シャンプーは髪質に

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遠くの本屋を訪ねる価値

遠くの本屋を訪ねる価値

第1章 本屋のたのしみ (17)

 そう考えると、近所の本屋だけでなく、遠くの本屋にもわざわざ足を伸ばして行ってみる価値があることに気づく。

 あるときまでは、ぼくにも、本屋はどこも同じように見えた。商店街にあるような小さな本屋は、同じような文庫やコミックや単行本と、雑誌の最新号が並んでいるだけだった。ターミナル駅にある大きな本屋は、どこでも「在庫何十万冊」という売り文句を掲げて、同じような品

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読み切れなくても買う

読み切れなくても買う

第1章 本屋のたのしみ (12)

 本は、読めるぶんだけ買うという人もいる。読むためのものなのだから、そちらのほうがまっとうな考え方かもしれない。読むものがなくなりそうなときに、また本屋に行って、次に読む本を買う。そういうスタイルで、たくさんの本を読み続けている人もいる。

 けれど本屋を、一番身近にある世界一周の場であり、本との一期一会の場だと考えるなら、いま読んでいる本を読み終わるまで行かな

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私が「自炊力」を書いた理由

私が「自炊力」を書いた理由

光文社新書から明日(11月13日)「自炊力 料理以前の食生活改善スキル」が発売になります。Amazonでは14日とありますが、確実にお手元に行くのが14日から、ということのよう。私の5冊目の本です。

なぜこの本を書こうと思ったかフードライターとして今まで、いろんな食の記事や本を作ってきました。特に栄養に関すること、そして「手軽&カンタンなレシピ」などの発信はそれなりに多くやってきたつもりです。

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誰かのせいにしていた自分へ。

こんにちは、阿部広太郎です。

ここに書いてあるコラムは、2012年、東京コピーライターズクラブの新人賞を受賞して、それからの5年間の出来事を、そのクラブに寄稿したものです。

行動して、ぶつかって、気付きながら、ひとつひとつ積み重ねています。その中で、「自分らしさ」という感覚に出会えて、今に至ります。

ここに書いたことが、誰かの新しい気付きになりますように。

こんなはずじゃなかった。
ある時

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